
こなれ感爆上がり。ヴィンテージ風Tシャツでいつものコーデも個性的に
古着シーンが近年盛り上がりを見せている。それもあってヴィンテージ風Tシャツへの関心も急上昇中だ。その魅力や注目アイテムなど、知りたいあれこれに迫ってみよう。
古着ブームの今、ヴィンテージ風のTシャツが人気です
これまでにも古着シーンが熱を帯びていた時代はたびたびあった。希少性が高いだけにつけられる値は右肩上がりで、ジーンズやスウェットシャツに加え、Tシャツも人気銘柄のひとつとして注目されている。’90sリバイバルやアメカジといった、昨今のファッションシーンのトレンドも少なからず影響しているだろう。ただ、欲しいアイテムと出会える確率やサイジングの問題もあり、なかなか良い出会いには恵まれないもの……。その救いとなっているのが、ヴィンテージ“風”なTシャツである。
なぜヴィンテージ風Tシャツは大人を惹きつけるのか?
なぜ今、ヴィンテージ風Tシャツがこれだけ、しかも大人たちを中心に好まれるのか。それは過去への懐かしさも背中を押しているのは間違いない。そのうえ、昨今の無地Tシャツ一強時代から脱却を図るかのようにひとクセあるアイテムへの注目度が日増しに高まりつつあることも一因かもしれない。改めてその理由を読み解いていこう。
理由1
古着のようなこなれ感が醸し出せる
個体数に限りがあり、程度の良し悪しによって値動きも激しく、いまだ根強いマニアが数多くいるヴィンテージTシャツ。時を経たことで浮かび上がる風合いや味わいもまた、周囲を惹きつける理由だろう。しかし、今は技術が進み、その風合いや味わいをリアルに表現したTシャツが豊富にラインアップ。労せずしてそのこなれた風合いを手にできるとあっては、古着好きならずとも注目せずにはいられないはずだ。
理由2
こだわりがある着こなしに見える
ひと昔前、数多あるデザインの中から選ぶTシャツは名刺代わりのようなものだった。自分が嗜好するアーティストのバンドTを着用し、好きな写真家が撮影したフォトTをみんなこぞって手に入れたもの。映画や地名、ブランドなど、手にする一枚には自身のアイデンティティが透けて見えていたからだ。それが同じ価値観を共有する者たちと意思疎通を図る手段にもなっていた。その名残が今のヴィンテージ風のTシャツにも感じられる。
理由3
取り入れるだけで個性的な雰囲気を演出できる
言わずもがな、ヴィンテージTシャツと新品のTシャツとはあきらかに風情が異なる。前者は、時の経過による風合いや味わいが唯一無二の存在感を放つ。そして、生産された当時の社会的背景も、風情の深みを生む要因となっている。だからこそ、Tシャツ1枚をコーディネートに取り入れるだけで、いつもの一般的なTシャツでは醸し出せない空気感を演出することができる。その空気感を新品のTシャツに注入したのが、ヴィンテージTシャツだ。新品でありながら、個性的な雰囲気を醸し出すのはそれゆえ。
ヴィンテージ風Tシャツって、どんなもの? 代表的な3つの特徴をチェック
古着屋へ足を運べばヴィンテージTシャツは手に入れられる。ただ、新品として並ぶヴィンテージ“風”のTシャツは、実際に目の当たりした際にどれを基準に選ぶべきか迷ってしまう人も少なくない。そこで、代表的なポイントを3つに絞ってみた。ここに挙げた指標を参考にしながら、それぞれの理想の一枚を手に入れてみてほしい。
特徴1
かすれプリント
プリントTシャツは、1930年代に大学側から授業時に学生へ貸し出したものが始まりとされる。その後、学生の間に広まり、1939年には映画の宣伝にも一役買うことになったという。1960年代になると印刷や転写技術が発達。そのひとつが生地表面にインクをのせるラバープリント。生地内にインクを入れる染み込みプリントとは異なり、生地の色味に左右されずきれいな色を出せるが、時とともにはげ落ちてしまう。その経年変化をリアルに表現したのがかすれプリントだ。
特徴2
褪せた色味
ジーンズなどからもわかるように、着用して洗濯を繰り返すほどに生地の色味は抜け落ちていく。時とともにそれらを繰り返してきた古着の大半は、その変化がわかりやすい。しかも、当初はハリやコシのあった生地にクタッとした質感が表れ、より着やすい柔らかさとなりそれも独特な渋さを後押しする。それを実際に生み出すべく、洗い加工を繰り返すことで、何十年も着たかのような色や質感を表現したものも狙い目だ。
特徴3
ダメージ加工
長年着続けたものであれば、それなりに生地も傷んでくる。体の動きに合わせてよりダメージを受けやすい箇所であればなおさら。それはある意味、時を経たことをにわかに表す目印にもなる。例えば、リブの縁や裾などに見られる破れ。強度に定評のあるコシの強いアメリカ古着であればあるほど、それは時間の長さを表す目安にもなる。それらを忠実に再現したものであれば、労せずして古着独特の味を手に入れられる。
今着こなしたい、おすすめヴィンテージ風Tシャツを厳選してご紹介
今から自分のサイズと嗜好性に合う古着のTシャツを探すとなるとやや面倒。だとするならば、労せずして古着Tの魅力を手にできる“風”なTシャツを探すほうが効率的といえる。そこで、今からでもすぐに手に入れられる、センス溢れるアイテムを厳選してお届け。リアルな風合いはもちろん、デザインにも着目しながら選んでみてほしい。
アイテム1
『エムピー ストゥディオ』ビッグシルエットヴィンテージ加工ロックT
デザイナー、メイソンとプリンス兄弟が手がけるユニセックスブランドは、2019年の日本初上陸以降、ジワジワとその知名度を上げている。コンセプトに掲げるのは“NEO STREET STYLE”。その一端は、こちらのTシャツからも。ビッグシルエット&ドロップショルダーで力を抜いたストリートらしい雰囲気を醸している。そこにド直球なフォトプリントと加工による古着っぽさが加わり、古着っぽくもどこかモードらしい雰囲気に仕上げられている。
アイテム2
『ハキュラ』アントールドヴィンテージT
今、NYでもっともホットなブランドかもしれない。アートシーンで一際注目を集める現代美術アーティスト、ハリフ・グズマンと中国系アメリカ人の実業家でありクリエイティブディレクターのジョン・クーンにより誕生した『ハキュラ』。その代名詞といえばポップかつヒステリックなグラフィック。こちらでは、NYの街の歴史と架空の世界観が融合したビジュアルがユニークだ。さらに、研究を重ね表現したダメージ感も秀逸。
アイテム3
『スリフティールック』スリフティ“マイケル・ジャクソン”T
2018年春夏デビューとブランドとしてはルーキーの域ではあるものの、斬新なアプローチが話題を呼んでいる『スリフティールック』。その名の通り、まるで古着のように愛着を抱きながら袖を通せるベーシックなアイテムをアレンジ。新たな息吹を吹き込みながら古き良きアメリカに敬意を込めたアイテムを製作する。こちらは5年着続けたサマをイメージし、水とオゾンの反応で酸化させることで生地を傷めることなく色落ちさせている。
アイテム4
『スラッシャー×ジャーナル スタンダード』半袖 加工Tシャツ
1981年に創刊されたアメリカを代表するスケート雑誌「スラッシャーマガジン」。そこから誕生したアイテムは、ヒネりの利いたスローガンのプリントなどもありストリートを中心に大きな支持を得て、進化を続けながら今なおシーンから受け入れられている。そのシンボリックなロゴを配した一枚は、ブリーチ系の加工や手作業によるダメージ加工によりヴィンテージさながらの趣。
アイテム5
『グッドロックスピード』オーバーサイズバンドT
アメカジテイストのグラフィックや着古されたヴィンテージ感が印象的だが、古びた様子は感じさせない。その独特なコレクションが人気の新進気鋭カットソーブランド。このアイテムからもその魅力は存分に伝わる。中央へとあしらったのは、2003年にロックの殿堂入りを果たした伝説的ロックバンドAC/DCのグラフィック。顔料染め後に加工を施すことで、まるで当時のものと思わんばかりの味わい深さを放っている。
アイテム6
『グッドウェア』ディズニーコレクション
ヴィンテージTのひとジャンルとして確立しているディズニーシリーズ。ミッキーマウスをはじめ、根強いファンを持つことでも知られるが、こちらも彼らの琴線に響くこと請け合い。アメリカンカットソーブランドの代表格である『グッドウェア』。その特徴でもあるコットン100%の肉厚なボディに描かれているのは白雪姫に登場する7人の小人たち。そのキャッチーなプリントもさることながら、程良く毛羽立たせた生地感やフェード感も魅力。
アイテム7
『ゴールデングース』AdamoTシャツ
イタリアの伝統を背景とした質実なモノ作りが多くの目利きをうならせるシューズブランドの『ゴールデングース』だが、その本気度はTシャツにおいてもいかんなく発揮されている。オリジナルのグラフィックは、ヴィンテージのバンドTと遜色のないデザイン性と着古した感。襟ぐり、袖口、裾口にいたっては擦り切れたようなダメージを加える手の込みようである。1枚でもコーディネートの主役として十分な存在感だ。
アイテム8
『カーハート WIP』ネルソンTシャツ
デザインは左胸にそこはかとなく落とし込まれたお馴染みのスクエアロゴのみ。潔いデザインながらどこか印象的なのは、やはり独特なその風合いとフェード感によるところが大きい。ピグメントダイ加工によるまるでヴィンテージのような佇まいがとにかく秀逸だ。しかも、ワークブランドならではの厚手のコットン生地は頼もしく、着心地の良さだけでなく吸水性にも優れるうれしいポテンシャルも秘める。
アイテム9
『MSML』デストロイヴィンテージT
メキシカンカルチャーをアメカジに落とし込んだ独自スタイルが特徴の『クライミー』。“BORN TO ROCK”を標榜したツヤのあるロックスタイルを提案する『コードナンバーエイト』。その両者に、現役ミュージシャンを招き入れたトリプルコラボコレクションがこの『MSML』。その楽しいアプローチによるアイテムは、ミュージシャンのアイデンティティが色濃く出て実に面白い。また、熟練職人による加工で表現されたリアルな風合いもいい。
アイテム10
『ヴェイパライズ』ダメージTシャツ
2022春夏の『ヴェイパライズ』は、1970年代にNYのアーティストたちによって巻き起こったNYパンクムーブメントをフィーチャーしている。当時、音楽シーンのメインストリームに乗り切れなかった若者たちが抱いた音楽的反抗心。その魂の叫びを、『フルーツオブザルーム』のボディに落とし込んでいる。それはメッセージプリントと襟ぐりなどへ入れたダメージからも伝わってくる。
アイテム11
『OY』ピグメントスクリプトロゴT
今や注目度は右肩上がりの韓国ブランド。その代表格で知られるのが『OY』である。中央に描かれているのは、ブランドの新ロゴとして定着しつつある“SCRIPT LOGO”。さらにそこへ、特殊溶剤と顔料を使って生地を染色するピグメント加工を施すことで、一般的なTシャツとは一線を画す、渋みのあるビジュアルに仕上げられている。インナーとしても、これ1枚で着ても存分に活躍してくれる。
アイテム12
『ナノ・ユニバース』ピグメントクルーネック5分袖T
鮮やかなカラーリングに消極的な人にこそこちらのアイテムを推薦したい。コットン100%のハリのある生地感に頼り甲斐を覚えるこちらは、ピグメント加工で風合いと味わいを高めた1枚。カラフルな色合いを退色させたことで、派手色にありがちな過度な主張は程良く抑えられ、普段のコーディネートにすんなり取り入れられる。ゆとりのあるシルエットや5分袖により、リラックスして着られるのもうれしい。
ヴィンテージ”風”Tシャツの上手なコーデ術は本物志向の上級者から学ぼう
アイテムを手に入れたなら、それをどう使いこなすかが重要。学ぶなら、それを実践している上級者たちの着こなしが参考になる。しかも、普段から本格的なヴィンテージTシャツを取り入れている人からこそ、ヴィンテージ”風”Tシャツの合わせであっても学びが多い。彼らのコーディネート術からコツをいち早くつかみ今夏に存分に生かしたい。
コーデ1
清々しいカラーがカモ柄のアクを弱める妙手に
以前はアメリカ古着が主流だっただけに、ヴィンテージTシャツと軍パンはウマが合う。とはいえ、カモ柄の一本だと個性派同士のマッチアップだけに相容れない可能性も。その不安は夏らしいカラーリングのTシャツが救ってくれるだろう。持ち前の清々しさにより、カモ柄の武骨な印象が和らぎ、ロールアップにより軽快感もプラスできる。色モノに不得手な人でも、色褪せているため通常よりもマイルドに見えるその手の取りやすさが背中を押してくれるに違いない。
コーデ2
ヴィンテージTの味がゴキゲンな柄も受け止める
何年も着続けられたことで生まれる風合いは、そのままこなれた印象も運んでくれる。そして、漂う風格は時として浮き足立ちそうな柄モノも受け止める度量を示してくれる。その際考慮すべきは、シャツとの色合わせ。バランスを取るのであれば馴染みのある色をセレクトし、その周辺のアイテムを定番モノでフォローさせるのがベスト。逆に、個性を強調させるなら、暖色系のTシャツを選ぶと良いだろう。
コーデ3
いつものモノトーンに利かせるスパイスとしてヴィンテージTを
古着を着こなす中でもっともアプローチしやすく、古くさく見せない手段のひとつにモノトーンコーデが挙げられる。普段から馴染みのある色だけにすぐにでも着手できるが、気をつけたいのは淡白さ。そこへヴィンテージTを1枚加えるだけでも大きな変化が見込める。例えば、黒と相性の良い赤T。黒ベースの着こなしに、ピリッとスパイスが利き、良いアクセントになるはずだ。
コーデ4
トリムTの味付けがTイチコーデに深みを生む
暑い夏にもなるとトップスは最小限にとどめたい。増えるのは“Tイチ”スタイルだが、そこへパンツを合わせたワンツーフィニッシュの着こなしでは少々心もとない。改善する手立てを挙げるなら、まずはトリムTだろう。1980年代に若者たちから支持を得た、ボディと異なる色を襟や袖に配した1枚はさりげなく挿し色を取り入れるうえでうってつけ。そのぶん、ボトムスは親しみのあるチノパンなどで落ち着かせよう。
コーデ5
たっぷりめな1枚がド定番の着こなしに今っぽさを運ぶ
Tシャツとデニム。まさに王道中の王道といった着こなしである。だからこそ年齢を重ねても取り入れやすく、ヴィンテージTの良さも生きるというもの。ただ、そこへさらに今っぽさを覗かせることができるならベストだろう。そこで着目すべきはシルエット。トップスをたっぷり、ボトムスをジャストに仕上げることで、昔馴染みの着合わせをアップデートすることができる。
この記事の掲載アイテム一覧(全9商品)
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『エムピー ストゥディオ』 ビッグシルエットヴィンテージ加工ロックT
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『ハキュラ』 アントールドヴィンテージT
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『スリフティールック』 スリフティ“マイケル・ジャクソン”T
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『スラッシャー×ジャーナル スタンダード』 半袖 加工Tシャツ
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『カーハート WIP』 ネルソンTシャツ
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『MSML』 デストロイヴィンテージT
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『ヴェイパライズ』 ダメージTシャツ
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『OY』 ピグメントスクリプトロゴT
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『ナノ・ユニバース』 ピグメントクルーネック5分袖T
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