
フランス発の大人ブランド。アナトミカの魅力を知りたい
パリの伝説的バイヤーであるピエール・フルニエ氏を中心に立ち上がった『アナトミカ』。服好きにこそ響くこのブランドの魅力について、詳しく解説していきます。
パリのカリスマが立ち上げた、伝説的セレクトショップが原点の『アナトミカ』
1994年の設立以来、ベーシックで大人の風格漂うアイテムを生み出している『アナトミカ』。その中心人物が、世界のファッションシーンに大きな影響を与えた1人として知られる伝説的バイヤーのピエール・フルニエ氏です。
同氏は1975年に「グローブ」、1979年に「エミスフェール」という伝説的なセレクトショップを開店し、その審美眼の高さや美しい陳列方法は現在のセレクトショップの基盤となったともいえるものでした。
その後、これまでの経験を生かし、1994年に新たなセレクトショップを設立。オリジナルブランドを作るにあたり、海外生産や工程の簡略化により品質が急激に低下した外部委託生産を一切取りやめました。そしてフランス生産にこだわって作り上げたオリジナルブランドが『アナトミカ』です。
『アナトミカ』の魅力は、“ヨーロッパから見たアメリカ”というミスマッチ
フルニエ氏が伝説的バイヤーとして知られるようになったのが、欧州でいち早くアメリカ物の魅力を伝えていったこと。例えば『リーバイス』や『リー』のジーンズをアメリカ式に洗濯して縮ませた後で販売したのもフルニエ氏ですし、『オルテガ』のチマヨベストを世界に広めたのも同氏の功績です。「グローブ」や「エミスフェール」では『ザ・ノース・フェイス』や『ヘインズ』、ミリタリー物のデッドストックなど、今でこそ当たり前に知られているアメリカ物が扱われていましたが、1970年代のパリにおいては極めて異質な存在。さらに女性向けにミリタリーアイテムの着こなしを提案するなどと、当時のパリっ子たちが衝撃を受けたのは想像に難くありません。
また、ラルフ・ローレン氏がスタイリングを務めた1977年公開の映画『アニー・ホール』で、ネクタイやチノーズなどメンズアイテムを取り入れたダイアン・キートン氏のファッションが“アニー・ホール・ルック”として話題になりましたが、それとほぼ同じか先駆ける形でユニセックスな着こなしを提案していたことにも驚かされます。その精神は現在の『アナトミカ』においても健在で、メンズとレディースでラインは分けられていてもユニセックスな着こなしが可能なアイテムが多いのも同ブランドの特徴です。
▼モディファイドラストを見い出し、欧州に『オールデン』を知らしめた立役者
そんなフルニエ氏の審美眼がよくわかる例が『オールデン』の「モディファイドラスト」をファッションに取り入れたこと。今では定番のひとつとなったこのラストですが、1980年代までは矯正靴専門店のみで販売されていた特殊モデルでした。そんな靴をフルニエ氏が蚤の市で入手したことをきっかけに、製造元であった『オールデン』にモディファイドラストのVチップを別注したことで欧州にも『オールデン』の存在が知られるようになったのは知る人ぞ知る話でしょう。
フルニエ氏がそこまでモディファイドラストの『オールデン』に魅了されたのはアメリカ靴らしいぽってりとしたシェイプではなく、トゥが内振りで土踏まずが引き絞られた美しいシルエットだったから。ヨーロッパの解釈でアメリカ物を捉えているからこそ、良い意味で泥臭さがないきれいめなスタイルが『アナトミカ』の魅力です。そしてその真骨頂といえるのが『アナトミカ』別注の『オールデン』なのです。
▼フレンチメイドへのこだわりと日本の職人の技術が産んだオリジナルアイテム
設立当初から完全フレンチメイドのコレクションをラインアップしていた『アナトミカ』ですが、2008年に常連客であり世界的なヴィンテージコレクターである「サーティファイブサマーズ」の寺本欣児氏と出会って意気投合。それまで手がけてこなかったアメリカンヴィンテージウェアをベースにしたモノづくりに興味を持ち、日本の生産背景を生かしたアイテム作りをスタート。普遍的でベーシックなアイテムに加えて、キャンバススニーカーを中心としたスポーツラインにあたる『ワクワ』をスタートし、そのバリエーションを増やしています。
『アナトミカ』といえばコレ! 定番からコラボまで注目アイテム10選
定番品に加えてシーズンコレクションやブランドとのコラボレーションも発表している『アナトミカ』。その中でもまずはコレ、というべきアイテムを10種類に絞ってご紹介します。
アイテム1
『アナトミカ』618 オリジナル
フルニエ氏と寺本氏をつなぐきっかけとなった本作。USネイビーのデッキパンツから着想を得たパターンであり、縫い目が少ない分しなやかな履き心地を備えているのが特徴で、サイドシームレスを採用。黄金比に由来するモデル名の通り、随所に1:1.618の比率が用いられており、極めて普遍的で美しいシルエットを備えていることで知られています。
アイテム2
『アナトミカ』チノII
1940年代のアメリカ軍のチノーズをベースに、より製法を頑丈にアップデートした2代目モデル。シルエットはやや細身になった1960年代のシルエットを採用しており、割れにくく移染しにくい尿素ボタンやタフで光沢のあるウエポンクロスを使用するなど、素材やパーツにも抜かりありません。
アイテム3
『アナトミカ』シングルラグランⅠ
1960年代頃までの『バーバリー』のヴィンテージピースを参考に仕上げたステンカラーコート。オリジナルと同じく高密度で織られたコットンギャバジンは程良い撥水性と玉虫のように見る角度や光加減によって変化する深い色合いを持ち、ゆとりのあるAラインシルエットに仕立てられています。
アイテム4
『アナトミカ』US アーミー 1940 デニムジャケット
1940年代のアメリカ陸軍で捕虜の作業用に支給されていたデニムカバーオールをベースに11オンスのセルビッジデニムで再現。メタルボタンや不均一なステッチなど当時の雰囲気を再現しつつも、どこかフレンチワークジャケットのような品の良さを感じさせるのが『アナトミカ』らしいポイントです。
アイテム5
『アナトミカ』ビーチクロスベスト
1930年代に富裕層向けのハンティング&アウトドア用ウェアとして人気を博した『ブラウンズビーチ』。ウールとコットンを混紡した独特の風合いはヴィンテージ市場でも人気が高いですが、その代表作であるベストを復刻。生地感や保温性はそのまま、どこか品の良さを感じるシルエットに仕上げています。オリジナル同様のソルト&ペッパーのほか、赤や黒といったバリエーションカラーを用意しているところもポイントです。
アイテム6
『アナトミカ』×『ロッキー マウンテン フェザーベッド』ダウンベスト
フルニエ氏が開いた最初のセレクトショップ「グローブ」でも人気のアイテムだった『ロッキー マウンテン フェザーベッド』のダウンベストを、クラシックなカラーリングで別注オーダーしたもの。ウエスタンかつヘビーデューティな1970年代の雰囲気溢れるアイテムを、シックに再解釈しています。
アイテム7
『アナトミカ』デタッチャブルラウンドカラーシャツ
19世紀前半に実在したアメリカの某ブランドのシャツをベースにアレンジ。木製のボタンでつけ外しできるデタッチャブル仕様の襟を採用し、ラウンドカラーとバンドカラーの2通りの着こなしが楽しめます。ウエスタン風のバックヨーク、独特なラウンド形状の裾など、当時の雰囲気を再現したディテールも目を惹きます。
アイテム8
『アナトミカ』ビッグAシャツ
フルニエ氏が所有する1960年代のヴィンテージをモチーフに限定生産されたシャンブレーシャツ。前立て幅は39mm、3本針から2本針に縫製を変更し長めの襟を採用することで、品のある雰囲気を加えています。綿100%ながら綿麻混紡のようなシャリ感のあるシャンブレー生地も特徴です。
アイテム9
『アナトミカ』プルオーバースウェットパーカー
1940~50年代のスウェットに見られるフリーダムスリーブ仕様を採用し、縦縮みを防止するために生地を横使いするリバースウィーブで仕立てられたプルオーバーパーカー。杢以外にレタリングやロゴが入らないシンプルなボディのため、コーディネートを選ばずデイリーに着こなすことが可能です。
アイテム10
『アナトミカ』チノショーツ
1959年にアメリカ海兵隊に支給されたチノショーツを復刻。インタックとダーツを組み合わせたウエスト周りは程良いボリュームやドレープを備え、ジッパーフライのため気軽に履きこなせます。また、トロピカル仕様のオリジナルをベースに再現しているため、ポケットスレーキにメッシュを採用している点もポイントです。
この記事の掲載アイテム一覧(全10商品)
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『アナトミカ』 618 オリジナル
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『アナトミカ』 チノII
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『アナトミカ』 シングルラグランⅠ
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『アナトミカ』 US アーミー 1940 デニムジャケット
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『アナトミカ』 ビーチクロスベスト
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『アナトミカ』×『ロッキー マウンテン フェザーベッド』 ダウンベスト
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『アナトミカ』 デタッチャブルラウンドカラーシャツ
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『アナトミカ』 ビッグAシャツ
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『アナトミカ』 プルオーバースウェットパーカー
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『アナトミカ』 チノショーツ
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