
クロノグラフの魅力とは? 時計以外の機能や使い方、名作やおすすめ品まで深掘り
腕時計の中でも人気のカテゴリであるクロノグラフ。とても身近な存在ですが、その本来の意味はご存じですか? 使い方やうんちく、おすすめ品などとともに解説します!
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スポーティな面構えが魅力。クロノグラフの腕時計が支持される理由
腕時計が好きな人もそうではない人も、クロノグラフという言葉は聞いたことがあるはず。クロノグラフはそれだけポピュラーな機構で、時計に内蔵されたストップウォッチ機能のことを指します。支持されている理由は、経過時間を実際に計測できるということだけではありません。その独特なデザイン性についても支持されているポイントといえるでしょう。乗り物のメーターなどを想起させるインダイヤルはスポーティなムードを振りまき、また見るからにギミック満載のガジェット感も魅力。シンプルな時計とは一線を画す存在感が、大人なコーディネートのアクセントとして重宝するのです。
顔立ちによって印象が変化。クロノグラフの代表的なタイプは2つ
クロノグラフは2~3個のインダイヤルが外見上の特徴。そのレイアウトによってタイプは2つに大別できます。細かい違いに見えますが、そのデザインによって印象が大きく変わるので、横目と縦目それぞれの特徴を把握しておきましょう。
タイプ1
重厚感を醸し出す「横目」
メインのインダイヤル2つが横に並んでいるのがいわゆる横目と呼ばれるもので、クロノグラフの主流となっているタイプ。どっしりした重厚感や安定感があり、それが高級感にもつながっています。オーセンティックなデザインで、『ロレックス』の「デイトナ」をはじめとする名作の多くは横目のレイアウトを用いています。
タイプ2
スマートで若々しい印象の「縦目」
メインのインダイヤルが縦に並んでいるのは縦目と呼ばれています。スマートで軽やかな印象があり、クロノグラフならではのスポーティなムードが高まっているのもポイントで、フレッシュな雰囲気を演出できます。もちろん、他のデザインやディテールでも印象は左右されますが、クロノグラフを選ぶ際はインダイヤルのレイアウトをチェックするのも楽しみ方のひとつでしょう。
他の機能にも注目。クロノグラフから派生したストップウォッチ以外の3つのメーター
クロノグラフはストップウォッチ機能のことを指しますが、経過時間を計測する機構を活用しながら、他のメーター機能を搭載していることも珍しくありません。クロノグラフの腕時計にプラスされていることが多い3つの機能をここでは解説するので、時計を選ぶ際の参考にしてください。
メーター1
平均速度を計測する「タキメーター」
1kmを何秒で移動したかによって平均速度を割り出すのがタキメーター。パイロットウォッチから人気に火がついた機能です。使い方は簡単で、ストップウォッチをスタートさせ、1kmを通過した時点でストップボタンを押すだけ。平均速度がわかれば目的地へ到着する目安も割り出せるため、飛行機のパイロットやレーサーにとって便利な機能として浸透しました。
メーター2
光と音で距離を計測する「テレメーター」
光と音の速度の違いを利用し、距離を割り出すために生み出されたのがテレメーターです。大砲などの閃光と発射音によって敵までの距離を割り出す役割を果たしていました。今なら、雷が落ちた地点までの距離が計測できます。基本的な使い方は、雷などが光った瞬間に計測をスタートし、音が聞こえたらストップするだけ。テレメーターを搭載した時計はレトロなデザインが多いのも特徴です。
メーター3
脈拍がチェックできる「パルスメーター」
脈拍を計測できるのがパルスメーターです。医療用クロノグラフに備えられていたもので、脈拍数が30回に達する秒数から1分間の脈拍数を計算することができるため、昔の医療現場では重宝されていたようです。似たような機能としては呼吸数が計測できるアズモメーターもあります。
まず知っておきたいのはこの8本。クロノグラフウォッチを象徴する名作コレクション
優れた機能性に加え、スポーティかつメカニカルなルックスも男心をくすぐるクロノグラフ。ディテールやデザインだけではなく、名門ブランドの名品からセレクトするという選び方もおすすめです。今回は8つの名作をピックアップして解説します。
名作1
『ロレックス』コスモグラフ デイトナ
スポーツ系クロノグラフの代表格として外せない名作が1963年に誕生した『ロレックス』の「デイトナ」。名前の由来はデイトナ24時間レースで、『ロレックス』は1960年代からスポンサーを務めています。プロのカーレーサーのために開発された機能性が大きな特徴。さらに、均整の取れたダイヤルが誕生から60年を経た今でも圧倒的な存在感を放っています。このモデルは2016年に登場した「Ref.116500」。1960年代初頭から70年代の半ばまで流通していた通称ポール・ニューマン ダイヤルを連想させる色使いなどで人気です。
名作2
『オメガ』スピードマスター
1969年の有人月面着陸の際、NASAの公式装備品に採用されたことでムーンウォッチという愛称でも呼ばれている名作が『オメガ』の「スピードマスター」。「シーマスター」をベースにして1957年に登場した当時はレーシングクロノグラフというカテゴリでした。タキメーターをベゼル上にレイアウトした最初の腕時計としても知られ、その姿はほとんど変わらず現在にいたっています。バリエーションが多彩でコラボモデル、記念モデル、限定モデルなどが登場。2022年には『スウォッチ』とコラボした「ムーンスウォッチ」をリリースし、発売前から長蛇の列ができるほどの人気となりました。
名作3
『タグ・ホイヤー』カレラ
『タグ・ホイヤー』はモータースポーツとの親密な関係を築いてきた名門。1860年に創業して以来、自動車の進化に着目しながらF1グランプリをはじめとするレースなどの計時に注力してきました。そして、1963年に誕生した名作が「カレラ」。スペイン語でレース、コース、キャリアなどを意味し、たまたま同じ名前のシリーズを展開していた『ポルシェ』とのコラボレーションも実現しています。『タグ・ホイヤー』の「カレラ」は他にもモータースポーツをコンセプトにしたモデルを多数リリース。スポーティな縦目のモデルも多いですが、自社製キャリバー・ホイヤー02ムーブメントを搭載したモデルは横目が特徴です。
名作4
『IWC』ポルトギーゼ
1868年に誕生した『IWC』の中でもっとも歴史が長く、人気も高いコレクションが「ポルトギーゼ」です。特徴的なネーミングは依頼主である2人のポルトガル商人が由来。高精度な航海用時計であるマリンクロノメーターに匹敵する精度の腕時計を作ってほしいという要望に応えて開発されたのですが、依頼から発売まで9年もの時間が費やされています。懐中時計のムーブメントを活用したこともあり、ケースが大きめなのが特徴的。このモデルも41mmとやや大ぶりで、存在感はそれ以上です。当初と同じインダイヤルがひとつのタイプも展開していますが、主流は2つ。このモデルは縦目でスマートな印象です。
名作5
『ブライトリング』クロノマット
『ブライトリング』には2つの定番クロノグラフがあります。1952年に登場した「ナビタイマー」は、対数式計算尺を航空目的にアレンジしたのが画期的。回転ベゼルの中に組み込みつつ、小さなビーズで囲んで操作しやすく工夫されています。そのベースとなったのが1942年に誕生した「クロノマット」。世界で初めて回転計算尺を備えた名作です。ネーミングはクロノグラフ×マスマティクス(数学)の造語でしたが、『ブライトリング』が100周年を迎えた1984年に生まれ変わり、クロノグラフ×オートマティックの造語として再定義されています。新生「クロノマット」はエレガントで汎用性が高く、人気を集めています。
名作6
『ウブロ』ビッグ・バン
スイスの高級時計ブランド『ウブロ』のフラッグシップコレクションが「ビッグ・バン」です。ラグジュアリーなゴールドとカジュアルなラバーを組み合わせたフュージョンがコンセプトのデザインが話題を呼び、2005年に登場するとすぐに人気を獲得。それまで経営難に陥っていた『ウブロ』の救世主となりました。サイズもビッグで存在感は圧巻。「ビッグ・バン」は単なるクロノグラフの域を超えた独創性すら感じさせます。ちなみに、ブランド名の『ウブロ』はフランス語で舷窓(船体にある小さな窓)という意味。ビス留めしたベゼルが舷窓をイメージさせます。
名作7
『ゼニス』クロノマスター
マスター・オブ・クロノグラフを自認している1865年生まれのスイスブランドが『ゼニス』。代名詞となっているコレクションが「クロノマスター」で、多彩なバリエーションを誇っています。ケースのサイズやベゼルのデザイン、ダイヤルの装飾、インダイヤルのカラーなどの種類が豊富に揃っていますが、エレガントなムードなのはどれも共通。この「クロノマスター スポーツ」はケース幅41mmと大きめで、色味の異なる3つのインダイヤルがさりげなく個性を振りまいてくれます。
名作8
『ロンジン』ヘリテージクラシック クロノグラフ
クロノグラフの発展に大きく貢献してきたのが『ロンジン』。1832年から続く歴史の中で創出してきたアーカイブに敬意を表しつつ、最新の技術を組み合わせたコレクションが「ヘリテージクラシック」です。クロノグラフも多数ラインアップ。「1938」「1946」「1954」「1968」などと、ベースとなった名作の誕生年を名前に入れたモデルが象徴的です。ここでピックアップしたモデルは1940年代の歴史的な傑作がベース。タキシードをイメージした色使いが気品を感じさせつつ個性も放っています。オリジナルのバランスをキープするためにAutomaticなどの表記を省いたデザインが今はむしろ新鮮です。
おしゃれで機能的。普段使いにおすすめしたいクロノグラフ8選
クロノグラフの腕時計は人気が高く、さまざまなブランドがリリース。モダンなタイプから個性的なデザインまで多種多様に揃っています。その中から、コストパフォーマンスも考慮しながら普段使いしやすい逸品を厳選してみました。オンからオフまで使えるクロノグラフを見つけて、外出時の相棒にしましょう!
アイテム1
『セイコー』8Tクロノグラフ SBTR013
クロノグラフのエントリーモデルとしておすすめなのが『セイコー』の今作。信頼の日本ブランドでありながら、クォーツ式だからこその驚異的なコストパフォーマンスを実現しています。当然ながら普段使いとしてのスペックは申し分なし。デザインもスタンダードで、ビジネススーツにもカジュアルなコーディネートにもマッチします。全10パターンとカラバリも豊富で、さりげなく個性を演出可能です。
アイテム2
『シチズン』エコ・ドライブ電波時計 CB5874-90E
こちらも日本が誇るブランドからの逸品で、多彩な機能が大きな魅力です。まず、光発電のエコ・ドライブを搭載。室内のわずかな光さえも電気に変換して充電してくれるので、定期的な電池交換は不要です。さらに電波時計も装備。誤差が10万年に1秒といわれる原子時計がベースの標準電波を世界4エリアで受信し、時刻やカレンダーを自動で修正してくれます。また、ワールドタイム機能や日付表示機能も搭載しています。
アイテム3
『ツェッペリン』ジャパン リミテッド クロノグラフ ZEP-88922
1987年にドイツで創業した『ツェッペリン』は、ドイツ式時計ならではのクオリティが魅力。ブランド名の由来は1900年に開発された硬式飛行船ツェッペリン号で、その印象の通りクラシックなデザインもMIXされています。このクロノグラフもまさにクラシックな雰囲気。実は日本限定のシリーズで、ブラックを基調にしたカラーリングが質実剛健かつクールな印象です。
アイテム4
『ナバルウォッチ』別注 クロノグラフ メタルバンド
1800年代にスイスで生まれたミリタリーウォッチブランドの『ナバルウォッチ』が、「ローワーケース」のプロデュースによるアーバンな新コレクションをローンチ。さらにこのクロノグラフはセレクトショップ「エディフィス」による別注品で、名作をベースにしながらアップデートしています。特徴的な蓄光塗料をベージュにすることでヴィンテージ感を表現しているのがポイント。全体としてはオーセンティックで幅広いシーンに対応します。
アイテム5
『テンデンス』ガリバー ラウンド クロノグラフ
2007年にスイスで創業した『テンデンス』は、大胆で個性的なイタリアンデザインが最大の魅力。カラフルなアイテムが多いからこそ、ブラックのワントーンスタイルが新鮮です。着けこなしやすい落ち着きも感じさせますが、最大幅50mmのビッグなケース、立体的で一部が埋没したインデックス、ベゼル外側にあしらったダイヤ型の凹凸など独創性が溢れ出ています。
アイテム6
『ハミルトン』カーキ アビエーション コンバーター オート クロノ
クロノグラフらしいメカニカルな面持ちが魅力的な逸品。両方向回転ベゼルの回転計算尺を利用することで、飛行に必要な計算や単位変換ができるギミックを搭載しています。スイスのテクノロジーとアメリカのスピリットを融合したプロダクトを提案している『ハミルトン』らしいモデルで、大空への冒険心を掻き立てるような出来栄え。普段使いはもちろん、旅行などで飛行機に乗るときにも身に着けたくなります。
アイテム7
『アニエスベー』LM02 FCRD996
複雑でメカニック感のあるデザインが主流のクロノグラフを、シンプルでクラフト感たっぷりのデザインにまとめた意外性が魅力。おしゃれなエスプリが利いています。無駄な要素を省きつつ、インデックスを手書き風にすることでクラフト感を演出。また、矢印型の短針もムードを高めています。縦目のインダイヤルが軽快感を醸し出しているのもポイントです。デザイン性だけではなくソーラー充電などの実用性もハイレベル!
アイテム8
『エディフィス』タイムトラベラー
横目と縦目のクロノグラフを順番に紹介してきましたが、最後は斜めのレイアウトの1本をご紹介。バランスの取れたデザインで、アナログとデジタルのバランスも秀逸です。見た目はアナログのクロノグラフですが、専用アプリケーションを通じてスマートフォンとの連携が可能。時刻の修正、ワールドタイムの設定などが簡単に行えます。さらに、ソーラー充電システムをはじめとする機能も充実。『エディフィス』のコレクションには、高機能なクロノグラフが他にもたくさん揃っています。
ちょっと補足。クロノグラフの歴史が物語る人類の願い
機械式のクロノグラフ時計に関しては、歴史的な背景やストーリーも魅力のひとつ。ということで、最後に少し歴史の話を補足しましょう。そもそもクロノグラフとは、ギリシャ語で時間を意味するChronosと、記す、記録する、などを意味するGraphosを組み合わせた造語。主にストップウォッチ機能のことを指しています。そんなストップウォッチ機能を機械式の腕時計に組み込むまでには、かなりのハードルがありました。
クロノグラフの起源は18世紀の初頭。クロノグラフの父とも呼ばれるイギリスの時計職人ジョージ・グラハム氏がクロノグラフ(ストップウォッチ)の原型を考案。ただし実用化にはいたらず、1816年になってようやくフランスのルイ・モワネ氏が経過時間を針の位置で示す1/60秒カウンターを完成。それが世界初のストップウォッチだといわれています。
しかし、その機能を時計に組み込むには大きな課題がありました。時計の動力を計測時だけストップウォッチ部分に接続し、計測が終わったら切断する仕組みを作るのが困難だったのです。解決できたのは1876年。スイスのアンリ・アルフレッド=リュグラン氏が特許を取得し、翌1877年に『アメリカンウォッチカンパニー』が懐中時計として製品化しました。
1913年、ついに『ロンジン』が初めてクロノグラフを腕時計に搭載。1915年になると『ブライトリング』がプッシュボタンで手軽に操作ができるクロノグラフ腕時計を完成させました。その後、1934年には『ブライトリング』がスタート&ストップとリセットの機能を2つのボタンに分けたクロノグラフを開発。これが現在のクロノグラフ腕時計の基本形となっています。現在では当たり前になっているクロノグラフの腕時計ですが、より手軽に正確に時間を計測したいという人類の願いを具現化した叡智の結晶ともいえるのではないでしょうか。そう考えるとロマンがあり、クロノグラフの腕時計を身に着ける意味も変わる気がします。
この記事の掲載アイテム一覧(全16商品)
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『ロレックス』 コスモグラフ デイトナ
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『オメガ』 スピードマスター
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『タグ・ホイヤー』 カレラ
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『IWC』 ポルトギーゼ
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『ブライトリング』 クロノマット
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『ウブロ』 ビッグ・バン
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『ゼニス』 クロノマスター
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『ロンジン』 ヘリテージクラシック クロノグラフ
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『セイコー』 8Tクロノグラフ SBTR013
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『シチズン』 エコ・ドライブ電波時計 CB5874-90E
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『ツェッペリン』 ジャパン リミテッド クロノグラフ ZEP-88922
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『ナバルウォッチ』 別注 クロノグラフ メタルバンド
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『テンデンス』 ガリバー ラウンド クロノグラフ
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『ハミルトン』 カーキ アビエーション コンバーター オート クロノ
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『アニエスベー』 LM02 FCRD996
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『エディフィス』 タイムトラベラー
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