
人気のインディアンジュエリーはアーティストで選ぶ。8名のおすすめ作家
ファッションアイテムとしてもコレクターアイテムとしても多くのファンを擁するインディアンジュエリー。その基本を押さえつつ、おすすめ作家と作品をご紹介します。
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今人気のインディアンジュエリーって、そもそもどんなもの?
インディアンジュエリーの歴史は、18世紀にインディアンたちが西洋人から手に入れた鍛治道具を使い、同じく白人が持ち込んだ硬貨を鋳潰したシルバーを素材に、さまざまな装身具を作りはじめたことに由来します。
卍やアロー(矢)といった伝統的な模様や、インディアンにとって財産そのものであったターコイズなどを使って彩られたジュエリーは交易品として人気を博し、日本においては80年代以降のアメカジ人気に乗って定着。作家ごとに異なる個性を持ち、ジュエリーにセットされるターコイズも鉱山ごとにオリジナリティが豊かなため、ファッションアイテムとしてだけでなく、コレクションアイテムとして収集欲を刺激するのもインディアンジュエリーならではの魅力でしょう。
部族ごとに異なるデザインの特徴を知っておく
一口にインディアンといっても、平原部に暮らす部族から北部森林地帯に居住する部族まで、それぞれによって生活様式から宗教までさまざま。もちろんジュエリー製作においても部族ごとに異なる特徴を有しているため、それらを知ることでお気に入りのジュエリーを見つける手助けになるでしょう。以下では部族ごとの大まかな特徴について解説します。
その1
スタンプワークを得意とする、最大勢力の「ナバホ族」
インディアンの中でももっとも人口が多いのがナバホ族。アリゾナ州北東部からニューメキシコ州にまたがる砂漠地帯に居留し、古くからインディアンジュエリー製作を行っていた部族でもあります。彼らが得意とするのが、オス(凸)型・メス(凹)型がセットになったスタンプやタガネを用いて立体的な模様を描き出すスタンプワーク。インディアンジュエリー黎明期の作り方をもっとも色濃く残した技法でもあり、手仕事ならではのプリミティブな温かみが特徴です。
その2
シルバーを貼り合わせて立体感を出す「ホピ族」のオーバーレイ
ナバホ族の居留地内にリザベーションを構えるホピ族。「平和の民」とも呼ばれる彼らが得意とするのが、薄いシルバーの板に模様を描いて切り抜き、それをシルバーの土台に貼り合わせることで立体感を生み出すオーバーレイという技法。幾何学的なデザインや神話に登場するレインボーマン、サンフェイスなどの宗教的なモチーフを多用するのもホピ族の特徴として知られています。
その3
細かくカットした石で彩る「ズニ族」のインレイ
人口12,000人ほどのズニ族が得意とするのは、ターコイズやサンゴ、シェルなどを細かくカットし、シルバーの土台に埋め込むことでモチーフを表現するインレイ技法。非常に手間の掛かる製法であり、小さな村といった趣の居留区で、今でも時間を掛けてハンドメイドで製作されています。また、ホピ族と同様に自分たちの精神文化を大切にしており、精霊や神話の登場人物をモチーフに多用するのも特徴です。
インディアンジュエリーは、作り手であるアーティストで選ぶ
インディアンジュエリーの裏側を見てみれば、製作した作家のサインが施されていることに気づくはずです。インディアンジュエリーにおいては「誰が作ったか」が重視されることから、作家名がブランド名になっている場合がほとんど。有名アーティストの希少な作品ともなれば、数十万円の値がつくことも珍しくありません。
ナバホ族のおすすめアーティスト
インディアンの中でも最大の人口を持つナバホ族ゆえに、有名アーティストも多数輩出しています。ここでは、その中でも国内外で高い知名度を誇る作家をご紹介しましょう。
▼アーティスト1:サンシャイン・リーブス
惜しくも2014年に亡くなった兄のゲーリー・リーブス氏とともに有名作家として知られるサンシャイン・リーブス氏。多作な作家であり国内の流通量も多いため、セレクトショップなどでその名前を聞いたことがある人は多いはず。兄のワイルドな作風とは対照的に、1,000種類以上ものスタンプを正確無比に施した繊細な表現が特徴です。
アイテム1
トライアングル バックスタンプ ブレスレット
ベーシックなトライアングルシェイプのシルバーブレスレットの裏側に、かつて『ビームス プラス』で別注した際に使用したスタンプのデザインを落とし込んだもの。ブレスレットの内側にスタンプを施すのはインディアンジュエリーの巨匠であるチャールズ・ロロマ氏が得意としていたデザインで、“本当に大事なことは内に秘めておく”という意味が込められています。
アイテム2
スタンプワーク ブレスレット
『サンシャイン・リーブス』らしい多彩で緻密なスタンプワークを堪能できる太幅のブレスレット。まるでラグを織るような感覚で銀板をびっしりとスタンプワークで埋め尽くしており、エスニックながらどこかモダンな印象も兼ね備えています。
▼アーティスト2:アーニー・リスター
1940年代以降に普及したシルバージュエリー用の技法や道具を用いず、古くから伝わる伝統的なシルバースミスの技法を守る作家として知られるアーニー・リスター氏。作品によっては古い硬貨を溶かしたコインシルバーを使用したり、通常のシルバーにコインシルバーを混ぜ込んだMIXシルバーを使用したりするなど、銀の質感にまでこだわった作品づくりを行っています。
アイテム1
スタンプワークリング
『アーニー・リスター』らしい武骨な作風が感じられるリングがこちら。1枚の銀の板をタガネで5又に叩き切り丸めて溶接したもので、溶接痕などもアーニー氏にとっては自身が手で作ったことを示す証明書のようなもの。また、一般的なインディアンジュエリーでは925シルバーを使用しますが、こちらはコインシルバーと同じく90.0で鋳造された硬めのシルバーが使われています。
アイテム2
チゼルワークバングル
リスター氏のシルバースミッシングの集大成ともいえるのがこちら。コインシルバーと同じ純度で鋳造した硬質な銀を、タガネとハンマーといったわずかな道具だけで打ち出して立体的に仕上げるのは至難の業。作家本人が「製作に非常に時間が掛かる」というだけあって、キャストでは表現できない武骨さが漂っています。
▼アーティスト3:コディ・サンダーソン
近年稀に見る大躍進を遂げた、人気アーティストがコディ・サンダーソン氏。99年から製作を開始した若手ですが、モダンスタイルのデザインを武器に数々の賞を総なめにし、一躍トップアーティストの仲間入りを果たしました。また、オリジナリティ溢れる作風からハイブランドとの相性も良く、数々のラグジュアリーブランドとコラボレーションを行っています。
アイテム1
スモールスターペンダント
ブランドのシグネチャーモチーフといえるのが、こちらのスター。リングやバングル、ブレスレットなどさまざまなアイテムにモチーフとして取り入れられていますが、こちらはシンプルにペンダントトップに使用したもの。トップ裏にはアローを曲げて作ったチェーンループが施されるなど、裏側も抜かりありません。
アイテム2
ロングダイヤモンド カフブレスレット
太幅のシルバーにナバホ伝統のリポウズ技法で横長のダイヤを打ち出し、得意のスターマークをあしらったバングル。サイドにはチゼルで刻みをつけるなど、伝統的な技法や装飾方法を取り入れながらも極めてモダンにアップデートしています。
▼アーティスト4:アーロン・アンダーソン
スタンプワークと並んでナバホの作家が得意とするトゥファ・キャスト(柔らかな砂岩を彫り込んで銀を流し込み整型する技法)の名手として知られる作家。トゥファ・キャストは型の製作に時間が掛かるものの1つの型で2個ほどしか作品ができないため、非常に希少なことでも知られています。
アイテム1
サンダーバード バングル
トゥファ・キャストによってサンダーバードを表現したバングル。しなやかに手首を包み込むように表現された翼や彫り込みの深さはいうまでもなく、トゥファならではの表面のザラつきと燻しを利用して陰影と質感を与えており、同氏の技術を存分に堪能することができます。
アイテム2
ライトニングリング
トゥファ・キャストは技法の性質上、大きさにかかわらずリングの製作は難易度が高くなりますが、アーロン・アンダーソン氏の手に掛かればこの通り。カミナリをモチーフにしつつ、パンクロッカーでもある同氏の趣味性が存分に現れたデザインに仕上がっています。
ホピ族&ズニ族のおすすめアーティスト
得意とする技法は異なれど、ともに部族に伝わる精霊や神話をモチーフにした物語性豊かなデザインが特徴のホピ族とズニ族。その中でも、名実ともに優れたトップアーティストを1名ずつご紹介します。
▼アーティスト5:ジェイソン・タカラ
ホピ族のジェイソン・タカラ氏はオーバーレイ技法の名手として知られる大御所作家。あらかじめ決められた型紙を使って模様を切り出すのではなく、インスピレーションに従って製作される作品は一つひとつ微妙に異なり、まさに一点モノとして所有欲を満たしてくれます。
アイテム1
スターリングシルバー&14金ゴールド オーバーレイ リング
同氏を象徴する14金を使った“マンインザメイズ”(迷宮の中にいる人=苦難があってもグレートスピリットが導いてくれる、という象徴)をオーバーレイで表現したリング。リングのような小品でこそ、同氏の繊細なカッティング技術を堪能することができます。
アイテム2
14K オーバーレイ カチナペンダント
雨を降らせて人々に実りを与えるホピ族の精霊、ロングヘアーカチナが儀式を行っているところをオーバーレイ技法で絵画的に表現。月には14金が使われており、ボックス型のデザインが額縁のような効果を生んでいます。
▼アーティスト6:ドン・デワ
ズニ族が得意とするインレイ(ターコイズやシェルをカットしシルバーにセットする技法)を駆使しつつ、部族が信仰する精霊やキャラクターを表現する大御所作家。なかでも太陽の精霊であるサンフェイスがくるくると回る仕掛けが施されたスピナーは同氏が開発したものです。
アイテム1
スピナーサンフェイス・インレイペンダントトップ
同氏を代表するデザインであるスピナーサンフェイスを囲むようにイーグルフェザーが施されたペンダントトップ。シェルやブラックオニキスで表現された羽根部分は繊細に彫り込みがされ、チェーンループにもインレイが施されるなど細部にまで丁寧に作り込まれています。
アイテム2
マルチ インレイ ミニー モチーフ ペンダント
そしてドン・デワ氏を象徴するもう1つの作風が、立体的かつ緻密なインレイで表現されるキャラクターもの。一見するとインディアンジュエリーとは思えないほどのキュートさですが、作り方は極めてクラシック。立体的かつ正確に、ミニーちゃんが生き生きと表現されています。
その他部族のおすすめアーティスト
ナバホ、ホピ、ズニの三大ジュエリー部族以外にも、石を磨き上げたヒシネックレスを得意とするサントドミンゴ族をはじめ、個性豊かな作風を持つ部族やアーティストが存在します。その中でも、ファッション界も注目している二大巨頭をご紹介しましょう。
▼アーティスト7:シッピー・クレイジーホース
コチティ・プエブロ族に生まれ、伝説の職人ジョー・クワンタナ氏を父に持つシルバースミス。何度も銀を熱して叩き鍛えた鍛造銀を使用することで知られ、指で弾くと高い音で響くのが作品の特徴。多くのブランドとコラボするなど、ファッション業界の中でも高い評価を得ています。
アイテム1
スネークペンダントトップ
何度も叩き鍛えたシルバーをタガネでカットし、スタンプワークで鱗を刻むことで蛇を表現したペンダントトップ。極めてシンプルな表現ながら尻尾を見ればガラガラヘビだとわかるのは、さすがの一言。蛇は再生や生命の象徴でもあるので、どこかとぼけた表情のこの子をお守り代わりに身に着けてみてはいかがでしょうか。
アイテム2
スター スタンプ ペンダントトップ
鍛造シルバーならではの硬質な輝きを生かした、シンプルなスターのペンダントトップ。ちなみに『コディ・サンダーソン』以降のインディアンジュエリーはスターモチーフが多用されるようになりましたが、人気が出たモチーフをさまざまな作家が取り入れるのはインディアンジュエリーの伝統。これはいわゆる“パクり”ではなく「俺ならこういう風に表現するね」という作家性の表れでもあります。
▼アーティスト8:マリア・サモラ
近年のインディアンジュエリーコンペティションでトレンドともいえる、コンピューターカッティングの技術を得意とするタオス族出身のアーティスト。繊細かつ洗練されたデザインは多用なファッションにマッチし、男性だけでなく女性からも高い支持を得ています。
アイテム1
マウンテンレンジ シルバー リング
CAD設計とコンピューターカッティングによって正確無比なジグザグ模様で表現したシルバーリング。しっかりとした重厚感を持ちつつも光の角度によって変わる陰影の美しさが魅力です。使い込むに従って凹部分が燻され、より立体的な表情へと変わっていくでしょう。
アイテム2
ヘリンボーン シルバー バングル
コンピューターカッティングと並んでマリア・サモラ氏が得意とするのが、特殊な薬剤を用いてシルバーを黒く酸化させるオキシダイゼーション。こちらはコンピューターカッティングで表現されたヘリンボーン柄にオキシダイゼーションが施されており、インディアンジュエリーながらモードかつポストモダンなルックスに仕上がっています。
この記事の掲載アイテム一覧(全16商品)
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『サンシャイン・リーブス』 トライアングル バックスタンプ ブレスレット
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『サンシャイン・リーブス』 スタンプワーク ブレスレット
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『アーニー・リスター』 スタンプワークリング
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『アーニー・リスター』 チゼルワークバングル
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『コディ・サンダーソン』 スモールスターペンダント
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『コディ・サンダーソン』 ロングダイヤモンド カフブレスレット
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『アーロン・アンダーソン』 サンダーバード バングル
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『アーロン・アンダーソン』 ライトニングリング
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『ジェイソン・タカラ』 スターリングシルバー&14金ゴールド オーバーレイ リング
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『ジェイソン・タカラ』 14K オーバーレイ カチナペンダント
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『ドン・デワ』 スピナーサンフェイス・インレイペンダントトップ
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『ドン・デワ』 マルチ インレイ ミニー モチーフ ペンダント
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『シッピー・クレイジーホース』 スネークペンダントトップ
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『シッピー・クレイジーホース』 スター スタンプ ペンダントトップ
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『マリア・サモラ』 マウンテンレンジ シルバー リング
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『マリア・サモラ』 ヘリンボーン シルバー バングル
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