
スエードジャケットが描く大人らしさ。その長所を知って、長く付き合う
ギラつきが出る懸念のある表革と異なり、肩の力を抜いて着られるのがスエードジャケット。品の良さを備えているため、大人のレザーアウターの本命候補といえそうです。
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大人っぽさと温かみを両立。スエードジャケットが着こなしを拡充
スエードジャケットの魅力を掘り下げるはじめの1歩として、まずは「スエードとはなんぞや」という基本の“き”のおさらいを。実はこの定義的なことを知っておくと、その持ち味がグッとわかりやすくなるんです。ご存じの方が多いかもしれませんが、牛や羊などの動物の革には、銀面(表面)と床面(裏面)があり、一般的なスムーズレザーは、前者のツルツルとした銀面を使っています。これに対してスエードは、裏面にあたる床面が使われており、さらにそこにヤスリでバフがけを施すことであの独特の起毛感を演出しています。起毛の細かさや毛足の長さによって印象は微妙に変わりますが、総じていえるのは、力の抜けた印象と同時に、品の良さを印象付けられること。ほっこりと温かみを感じる質感でもあるので、秋冬シーズンにはうってつけの素材でもあります。どこか艶っぽさが漂う表革とはまた違う、落ち着き感を出せるのもうれしい要素ですね。
スエードならではの強みとして忘れてはならないのは、扱いにそれほど神経を使わなくても良いこと。表革の場合はちょっとでもキズがついたり、シワがついてしまったりすると魅力が半減するので、繊細な扱いが必要になりがち。その点、スエードはもともと表面が起毛されているので、多少のキズは目立たないし、ちょっとくらいヘタってもそれが味になります。さらに見た目に関しても、上品さとゆるさが同居した印象に。ものによってギラついた印象になることもある表革に苦手意識がある人も、これならきっと手を出しやすいはずです。
表革とどう違う? スエードジャケットを取り入れた着こなしサンプル
さて次は、スエードジャケットを実際に着るとどんな印象になるのかを見てみましょう。カジュアル顔のアウターでスエード素材を取り入れれば大人っぽい印象に転ばせられたり、表革では頑張りすぎた感じが出るところを逆にラフにまとめられたりと、さまざまな演出効果を期待できます。
着こなし1
裏革トラッカージャケットを、ドレスコーデのハズしに活用
スカーフを挿し込んだシャツに渋色トラウザースを合わせた、とびきりシックな着こなし。ですが、どこかリラックスした印象が漂っているのはアウターがスエードのトラッカージャケットだから。デニム素材ではなく、渋色の裏革なのでドレスライクなアイテムにしっくり馴染んでいますし、それでいてデザイン自体がカジュアルアウターなので頑張りすぎなおしゃれに見えるのを回避する効果も発揮しています。
着こなし2
淡色スエードで、大人顔ブルゾンをカジュアルに寄せる
表革だと都会的なオーラが強すぎて、着こなしの幅も狭くなりがちなレザーブルゾン。しかし、これもくすみブルーのスエードならどこかゆるさも感じさせる着姿を演出できます。ワイドなチノパンにTシャツを合わせるようなカジュアル度高めのコーデにも、すんなり馴染んでくれるのです。ちなみにこのコーデのように、スエードの色をパンツや靴で拾ってあげると裏革の表情もグッと馴染み良くなります。これにより、簡単に上級者感のある着こなしに見せられるのです。
着こなし3
A-1型ブルゾンの男気オーラをスエードで消して、都会的に
A-1型フライトジャケット系のブルゾンは、分厚いスムーズレザーだと男くささが強く出過ぎることも。その点、このコーデで着ているのは、タバコカラーのスエード仕立て。これなら男くささを消臭しつつ、上品さを感じる着こなしに落とし込めます。グレーのトラウザースにも違和感なく馴染み、白スリッポンの素足履きでリラックス感を出した足元もグッと引き立てています。
ちなみに、同じ起毛素材でもヌバックとは何が違う?
スエードの魅力はわかってきたけれど、「同じ起毛革のヌバックとどう違うの?」というモヤモヤ感を抱いた人も少なくないはず。実はスエードとヌバックは、似て非なるもの。スエードが革の床面(裏面)を起毛させているのに対し、ヌバックは銀面(表面)を起毛させています。正直、新品時の見た目はさほど変わらないものもありますが、耐久性の面ではスエードに軍配が上がります。また使い込んでいくとヌバックは起毛した部分が潰れ、光沢が出てきます。長く付き合えば付き合うほど、見た目やタフさに差が出てくるというワケです。
ド定番から高コスパな1着まで。スエードジャケットのおすすめ10選
ここからは、意外に幅広いスエードジャケットの選択肢をご紹介。トラッカージャケットのような定番ジャケットで、スエードの格上げ効果を楽しむも良しですが、最近はフェイクスエードの完成度も高くなってきているので気軽にトライするにはうってつけです。
アイテム1
『エンメティ』ビームス別注 サードタイプ スエードブルゾン
イタリア屈指のレザーファクトリーブランド『エンメティ』がかつて作っていた定番モデルを、『ビームス』の別注によって復活させた1着。スタイル自体はいわゆるトラッカージャケットのサードタイプですが、それを滑らかな手触りに起毛させたヤギ革スエード仕立てにすることで、見違えるほど大人顔に昇華されています。テーラードの技法を採用した肩周りと余裕を持たせた袖幅で、快適さも追い求めています。
アイテム2
『ヘルノ』ゴートスキン スエード ブルゾン
シンプルこの上ない短丈のリブブルゾンも、上質なヤギ革スエード仕立てになると、大人らしさとリラックス感が同居した絶妙なバランスに。これは裏面に柔らかなジャージー素材をボンディングした作りなので、スエード自体の柔らかな風合いを十分に楽しみながら、程良いハリ感できれいなシルエットを描き出せます。ジャージーの滑りも上々で、着心地は良好です。
アイテム3
『パブリック トウキョウ』ゴートレザースエードノーカラーブルゾン
襟なしならではのゆるさが魅力のノーカラーブルゾン。それがしなやかに起毛したゴートスエード仕立てになれば、より一層リラックスした着姿を楽しめます。革自体はメゾンブランドからの発注もあるインドのスエード専門タンナーが手掛けたものなので、品質は申し分なし。シルエットはビッグシルエットで革自体に程良い伸縮性もあるので、重ね着しても窮屈さはなく着られそう。
アイテム4
『ユナイテッドトウキョウ』ネオスエード カーディガン
その名の通り、トレンドでもあるボタンなしカーディガンのスタイルを取り入れた個性派。しかもこれ、ボディの生地はきめ細かい起毛が秀逸なフェイクスエード仕立て。裏面はシルキーなダンボール素材で、軽くて柔らかな着心地に仕上げています。首から裾に向かってすとんと落ちるシルエットが特徴で、軽やかな素材感を引き立てるため、袖や裾にカットオフ仕上げを採用。
アイテム5
『アバハウス』フェイクスエードブルゾン
こちらの短丈ブルゾンもフェイクスエード仕立てですが、ソフトなジャージー素材なのでぐいぐい伸びて着心地は楽ちんそのもの。ポリエステルボンディング素材なので、見た目の品の良さとは裏腹にアクティブに動けます。襟はリブブルゾン風ですが、袖や裾にリブのないライダースタイプの仕様が特徴的。上品にもラフにも着こなせる振り幅の広いデザインがうれしいですね。
アイテム6
『リーバイスビンテージクロージング』1960'S スエードトラッカージャケット
ケンタッキー州最大の街、ルイビルの1980年代中盤のミュージックシーンにインスパイアされたコレクションからの1着。60年代の『リーバイス』のスエードトラッカージャケットをパープルカラーで再現。ジャケット内側には蜘蛛の巣のプリント、ゴールド&ブラックの“L”タブなどディテールにもしっかりと力を入れて作られた逸品です。
アイテム7
『シップス』マシュマロスエード シングルライダース ジャケット
こちらのスエードはマシュマロのようなやわらかい肌触りが特徴。すっきりとした襟元のカラーとステッチを同色にして落ち着いた表情に仕上げたシングルライダースは、さまざまな着こなしとマッチします。やわらかそうな素材感と相まってやさしげな印象ですが、ライダース本来の武骨さもほのかに漂う1枚は、さりげなく男らしさを取り入れるのにもってこい。
アイテム8
『ラブレス』スエードライク フーデッドライダース
こちらは上質感のあるフェイクスエード仕立てということに加え、ダブルのライダースにフードをプラスしたデザインも新鮮。採用しているのは微起毛のポンチスエードという素材で、ふっくらと肉厚なジャージーなのでほんのり温かくて動きやすさも申し分なし。ダブルのライダースはハードな印象に傾きがちなので苦手という人も、これならトライしやすいはず。
アイテム9
『ショット』320 US ラフアウトスエード Gジャケット
一般的なスエードは革の裏側を起毛させてから毛足を均一に整えますが、このラフアウトスエードはあえて起毛させたままの状態を残しているのが特徴。毛足の長さが不均一なので少しワイルド感が強く、男らしい印象で着こなせます。両襟は山羊革の銀面で切り替えた作りなので、顔周りを凛々しく引き締めてくれます。
アイテム10
『ラコステ』プレミアムスエードレザージップボンバー
質感高いゴートスエードレザーを使用したボンバージャケット。無駄を極力そぎ落としたシンプルなデザインながら、通気性を向上させる脇下のパンチングスエードで機能面もフォローしています。左胸にはお馴染みのワニロゴをボディと同色の糸で刺繍し、さりげないアクセントに。きれいめからストリートやスポーツミックススタイルまで幅広く活躍すること請け合いです。
スエードはお手入れも簡単。定期的なブラッシングが長く付き合うキモ
今回、ずらりとご紹介したスエードジャケットたちと長く付き合うためには、お手入れ方法も覚えておくのが賢明。冒頭でスムーズレザーほど繊細な扱いは必要ないとお伝えしましたが、やっぱり革は革なので、革靴と同じように定期的なケアをしてあげたほうがその魅力的な風合いをより長く楽しむことができます。といってもそれほど手間はかかりません。基本は汚れが気になってきたり、表面の毛が潰れたりしてしまう前に、豚毛などを使ったスエード用ブラシによるブラッシングで汚れや埃を落としてあげるだけ。雨から守るのと汚れが染み込むのを防ぐために、防水スプレーも定期的に吹きかけてあげましょう。それでも汚れがひどくなってきたら、専用のクリーニング用消しゴムで汚れを除去。そして、クリーニング後は防水スプレーで保護してあげることもお忘れなく。
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『エンメティ』 ビームス別注 サードタイプ スエードブルゾン
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『ヘルノ』 ゴートスキン スエード ブルゾン
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『パブリック トウキョウ』 ゴートレザースエードノーカラーブルゾン
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『ユナイテッドトウキョウ』 ネオスエード カーディガン
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『アバハウス』 フェイクスエードブルゾン
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『ラブレス』 スエードライク フーデッドライダース
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