ファティーグパンツが1本欲しい! 今っぽい“ミリ感”備わる10のブランドと着こなしサンプル
ミリタリー人気再燃の波はパンツにも波及し、ファティーグパンツに復権の兆し。カーゴパンツほどゴツ過ぎず、男らしさも醸せる特有のバランスが今の気分です。
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“ミリパン”の大定番。ファティーグパンツが万能なんです
トレンドがミリタリーに回帰したことで、軍パンにも熱視線が注がれつつある昨今。ですが、数ある軍パンの中でも時代感にしっくりくるのが、今回のお題のファティーグパンツです。ベイカーパンツとも呼ばれるこのパンツは、同じ軍パンでもカーゴパンツと比べてシルエットが太めなのが特徴。これはカーゴパンツ自体が米軍に採用される前は貨物船の乗組員ご用達だったのに対し、ファティーグパンツは作業用パンツが出自だったことに起因します。米軍での採用後も戦場に限らず作業や基礎訓練といったさまざまな用途に対応していたため、機敏に動けるようワタリや腰周りにゆとりを持たせたシルエットが基本とされてきました。この点からも、昨今のワイドパンツトレンドと親和性の高いパンツであることがわかるはずです。
また、ファティーグパンツはカーゴパンツと比べ、見た目がすっきりとしている点も特筆すべきポイントです。カーゴパンツは工具などを入れておくためのポケットが太腿の両脇に備わっていますが、ファティーグはフロント側に付いているのはパッチポケットのみ(ベトナム戦争時代に誕生したジャングルファティーグパンツは例外)。そのためミリタリー感が程良く抑えられた見え方となり、スニーカーなどのカジュアル靴に限らず、ドレス感の革靴も無理なく合わせることが可能。軍パンとしては、極めて着回し力の高いパンツといえるでしょう。
ファティーグ……ってどういう意味? ファティーグパンツの背景を知る
ここからは、ファティーグパンツのディテールを掘り下げてみましょう。まず、この “ファティーグパンツ”という呼称自体は作業パンツを意味するもの。この呼称は前述のように、訓練から工場などでの作業まで幅広くはかれてきた作業着的位置付けであったことに由来します。ちなみにベイカーパンツという別称で呼ばれるようになった理由には諸説あり、このタイプのパンツをパン職人がはいていたからという説や、パッチポケットが食パンのように見えるからという俗説もあります。軍パン好きとして知られる『エンジニアドガーメンツ』の鈴木大器氏いわく、米国ではベイカーパンツという呼称はあまり聞かないらしいので、和製英語だという説も。
なお、ファティーグパンツの生地はバックサテンが基本。これは、サテン生地の裏側、光沢のない面をあえて表側にして使ったものです。生地自体は、太番手の糸を度詰めで編み立てることで耐久性を高めています。また、表面に出る糸の本数が多いため独特のムラ感があり、洗えば洗うほど味わい深い表情を楽しめます。現在は、リップストップのツイルなど他の生地を採用したファティーグパンツも存在しますが、王道はこのバックサテンです。
ポケットなどのディテールに関しては、ベイカーポケットと呼ばれるL字型パッチポケットがフロント左右に備わり、ヒップの左右にもパッチ&フラップポケットを装備。すべてのポケットが別布をパッと貼り付けて縫うだけのパッチ式なのは、生産性の高さと丈夫さを重視して作られたパンツだからといわれています。
カジュアルからきれいめコーデまでお任せ。定番ゆえのファティーグパンツの着回し力
軍パンとしては、頭1つ抜けた着回し力の高さを持ち味とするファティーグパンツ。ここでは、そのポテンシャルの高さを実際のコーデサンプルで見てみましょう。ラギッドな装いはもとより、ジャケットスタイルもこなす守備範囲の広さには脱帽です。
着こなし1
ワークテイスト香るカバーオールを合わせ、新鮮味のあるラギッドスタイルに
ファティーグパンツが放つ骨太さは、ワークウェアとも相性抜群。このコーデのようにカバーオールを合わせたラギッドなスタイルにも違和感なく対応できます。ワーク系のチノパンやペインターパンツとはまた違うタフさを醸せる一方、ワイドパンツを彷彿とさせるどっしりとしたシルエットも今っぽさを呼び込んでくれます。
着こなし2
シンプル名王道アメカジに溶け込ませながら、パンツでほんのり男気を加味
このコーデのように、プルオーバーパーカーのような定番のアメカジアイテムにも気負わず気楽に合わせられるのがファティーグパンツの長所。カーゴパンツほどイカつい印象に傾かないため、ワイドパンツの延長戦でさらりと合わせられてキャンバススニーカーとの親和性も申し分なし。それでいて、重心低めで男前なカジュアルに導かれているのが見て取れるでしょう。
着こなし3
オーセンティックなシルエットゆえに、ジャケットともすんなりマッチ
ご覧の通り、タックインして腰周りをすっきりさせてあげれば、テーラードジャケットとのコーディネートにも問題なく対応可能に。レングスを短めにすることで骨太さが程良い塩梅で中和され、足元で存在感を放つ『ジェイエムウエストン』のドレスシューズも一段と引き立ちます。シャツはレギュラーカラーではなくバンドカラーを選んだことで、ジャケットとファティーグパンツのつなぎ役として機能。
骨太ブランド勢揃い。即戦力になり得るファティーグパンツのおすすめ10本
ファティーグパンツのコーディネートにおける戦闘力の高さがわかったら、自分好みの1本を見つけるステップへ。本格志向の服作りに定評のある作り手が、こぞって手がけた秀作たちをご紹介します。
ブランド1
『オアスロウ』アーミー ファティーグ パンツ
『オアスロウ』の看板アイテムの1つに位置付けられている本作。米国陸軍における初期型といわれる1940年代のファティーグパンツを元ネタにしたもので、ボタンフライやウエストのアジャスターといったオリジナルを踏襲した意匠が満載です。特有のワイド感あるシルエットは踏襲しつつ、股上をやや浅めにしたうえで裾に向かって少しテーパードをかけることで野暮ったくならないバランスに落とし込んでいます。
ブランド2
『ガンホー』キャンプファティーグトラウザー
1972年にテキサス州で創業して以来、MADE IN USAによる質実剛健なミリタリーウェアやハンティングウェアを作り続ける老舗の代表作。股上の深いどっしりとしたシルエットは流行に左右されない存在感を放ち、凹凸が横縞のように浮かぶバックサテンは生地自体が非常に厚く、ノンウォッシュの状態からはき込んで洗濯を繰り返すことで味のある経年変化を楽しめます。
ブランド3
『ショット』アーミーファティーグパンツ
本作で採用したバックサテンはムラ糸を使用した中厚のもので、製品染めを施したうえで洗い加工を施すことで、手に入れたその日から独特の陰影と立体感のある表情を楽しめる1本に仕上がっています。ヒップのフラップポケットに施されたメタルボタンには、『ショット』を特徴づける“13スターボタン”を採用。
ブランド4
『フォブファクトリー』ベイカーパンツ
1950年代のファティーグパンツをベースに採用しつつ、裾に向かってゆるやかに細くなるテーパードレッグを描いた1本。採用したバックサテン生地はスレン染めと呼ばれる昔ながらの染色方法を用いたもので、洗濯による色落ちがしにくい一方で摩擦には弱い側面を持ちます。それゆえに、はき込んでいく過程で雰囲気のあるアタリが浮かび上がってくるのです。
ブランド5
『アーミーツイル』21SU5002 ファティーグパンツ
1960年代のスタイルを彷彿とさせるゆったりめのストレートレッグを描きながら、やわらかな肌触りのバックサテンを採用。軽やかなはき心地を楽しめる一方をしっかり印象付けられます。右側のヒップポケットの上には温故知新なロゴを描いた織りネームが施されており、タックインした際の見どころに。
ブランド6
『バーンストーマー』1333Pドレスファティーグパンツ
『バーンストーマー』とは、1977年に創業し、日本で初めて国産のチノパンを作ったといわれている知る人ぞ知る伝説のブランド。ミリタリーの生地を用いてスーツ工場で仕立てるスタイルが持ち味ゆえ、このファティーグパンツも“らしさ”はそのままにドレス顔に落とし込まれています。フロントのL字型ポケットは健在ながら膝下は美しくシェイプされ、マーベルトや背割れといったスラックスライクな意匠が満載です。
ブランド7
『ニードルズ』ヒザデルパンツ ファティーグ
ウエストと裾のダーツ処理によって演出した、唯一無二のボリューム感が人気を博す名作。L字型ポケットや地厚なバックサテン生地など本格志向な要素を備えつつ、フロント側がたっぷりと膨らんだシルエットにより他との違いを印象付けられます。左右の腰にアジャスターもありますが、ウエストにドローコードが内蔵されておりベルトレスではくことが可能です。
ブランド8
『フェローズ』ベイカーパンツ
極太シルエットがファティーグパンツの持ち味とはいえ、あまりにも太過ぎるパンツに苦手意識を持っている人もいることでしょう。そんな人におすすめなのが、アメカジ業界の重鎮・志村昌洋氏率いる『フェローズ』が手がけた本作。打ち込みのしっかりとしたバックサテンの採用や、要所に巻き縫いを用いた丈夫な仕立ては、まさに元ネタである1960年代のファティーグパンツを彷彿とさせる出来栄えです。しかしその一方、すっきりはけるシルエットにアレンジされているためファッション的な見栄えも十分。とはいってもピタピタ感なしではける程良いゆとりのストレートゆえ、本来の武骨さは抜かりなくアピール可能です。
ブランド9
『タンジェント』コットン ファティーグパンツ
『ビームスF』の審美眼に叶った1本だけあって、英国のファティーグパンツをトラウザースに落とし込んだというそのシルエットは、太さがありつつもセンタープリーツが映える美しいテーパード感が出色。太番手の糸を用いたサテン生地の表面もやわらかにピーチ起毛されており、男らしさと都会的な印象の両取りを狙えます。
ブランド10
『ワイルドライフ テーラー アダム エ ロペ』バックサテンベイカーパンツ
こちらは、古き良きファティーグパンツの佇まいを現代に蘇らせた労作。採用しているバックサテンは米国陸軍で1950~70年代に採用されていたものを再現しており、番手が異なる糸を横糸に用いることで独特のムラ感と凹凸感を表現しています。生地自体の打ち込みは少し甘めになっており、アタリが出やすい硫化染め特有の雰囲気のある経年変化を堪能できるようになっています。
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『ガンホー』 キャンプファティーグトラウザー
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『フォブファクトリー』 ベイカーパンツ
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『アーミーツイル』 21SU5002 ファティーグパンツ
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『バーンストーマー』 1333Pドレスファティーグパンツ
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『ニードルズ』 ヒザデルパンツ ファティーグ
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『フェローズ』 ベイカーパンツ
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