
フライトジャケットが欲しい。種類豊富なミリタリーウェアをどう選ぶ?
昨今のミリタリートレンドを背景に人気が再燃しているフライトジャケット。その代表モデルを解説するとともに、注目の新作やコーデサンプルも一挙にナビゲートします。
ミリタリートレンドをけん引するフライトジャケット。まずはその概要を知る
このところストリートで人気が盛り上がっているミリタリースタイル。そしてその中核たる存在が、本記事でレコメンドするフライトジャケットです。戦闘機や爆撃機などに搭乗するパイロットのために作られたアイテムだけあって、機能性・タフネスに関しては折り紙付き! 1920年代から本格的にアメリカ軍で採用されはじめ、現在に至るまで実にさまざまなバリエーションが誕生しています。どれを選ぶにせよ、ダイレクトに旬なミリタリーテイストを主張できるというのは共通項。現在のトレンドを踏まえるなら、1着は押さえておくのが正解といえるでしょう。
フライトジャケットを選ぶときに知っておきたい3つのポイント
いくら“旬モノ”とはいっても闇雲に選ぶのはいただけません。まずは、最低でも以下の3つのポイントは押さえておきましょう。これらを頭に入れておくことで、自分に合った1着に出会える確率がグッと上がるはずです。
▼ポイント1:フライトジャケットの種類。ハズさない人気モデルをチェック
フライトジャケットは時代とともにアップデートを遂げており、ラインアップはかなり膨大なものとなっています。その中でも定番として名高い6つのモデルをピックアップしてここでご紹介。それぞれに違った魅力や特性があり、それもまたフライトジャケットがオトコたちに支持される大きな理由となっています。
モデル1
MA-1
もっともファッションシーンで有名なフライトジャケットといえばこのMA-1。1950年代からアメリカ空軍で採用されたモデルで、狭い軍用機内で機材にひっかかるのを防ぐため装飾を最低限に抑えた作りとなっています。また、生地表面に付着した水分が氷結しないようにとの配慮から、素材にはナイロンを使用。裏地のエマージェンシーカラー(オレンジ)は、不時着した際に裏返して着用することで救出部隊による発見率を上げる役割を果たします。
モデル2
A-2
フライトジャケットの元祖であるA-1の後継モデルとして、1931年から44年まで製造されたレザージャケット。1963年の映画『大脱走』でスティーブ・マックィーンが着用したモデルとしても有名です。これまでのフライトジャケットはフロントがボタン式でしたが、A-2では開閉容易なファスナーが新採用され、この意匠はのちのスタンダードに。ちなみに1988年に復活を遂げ、再びアメリカ空軍にて採用されています。
モデル3
L-2(L-2A/L-2B)
A-2の後継型として1945年に誕生し、朝鮮戦争にて実戦投入されたL-2。A-2まではフライトジャケットにレザーが用いられていましたが、入手・生産のコストが高いことから今作から生地を変更。当時の最新素材であったナイロンが代わりに使用されています。このL-2はシリーズ化を果たし、1952年にはエアフォースブルーを纏ったL-2A、その後セージグリーンカラーのL-2Bも登場。このL-2Bは1978年まで正式採用されることになります。
モデル4
G-1
海軍航空隊によって開発されたレザージャケットで、映画『トップガン』においてトム・クルーズが着用していたのがこのタイプ。水滴に強いとされるゴートスキンが素材に使われ、襟には暖かなムートンが使用されています。G-1という名前が付いたのは1940年代後半のことですが、実際にはほぼ同様のデザインが1930年代から運用されていました。ヴィンテージ市場でも非常に人気の高いモデルです。
モデル5
B-3
こちらは米陸軍航空隊の爆撃機搭乗員が着用したフライトジャケットで、1934年に登場しています。寒冷地気候用のアウターのため、素材には保温性に長けるムートンを採用。高度1万メートルでの極寒にも耐える圧巻の防寒性を備えています。加えて、裾から侵入する冷気をシャットダウンするためのサイドアジャスターもポイントに。1990年ごろに日本で巻き起こったミリタリーブームでは、若者たちがこぞってこのB-3を着用していました。
モデル6
N-2B
寒冷地用フライトジャケットとして1945年に開発されたN-2。その後継にあたるのがN-2Bです。ヘルメットを被ったまま着用できる大型フードや暖かなコヨーテファー、肉厚なナイロン生地などが特徴で、短丈ながらもそのルックスは非常にボリューミー! ちなみによくN-3Bと混同されますが、あちらは地上用のミリタリージャケットなのでかなり丈が長く、かつリブは排除されています。
▼ポイント2:適応温度があることを知っておく
当然ながら、飛行するエリアや高度、季節によって外気温は大きく変化。パイロットはそれを踏まえたうえでフライトジャケットを着用する必要がありました。その基準となるのが“適応温度”と呼ばれるもので、主に下記5段階のレベルに分かれています。上でご紹介したモデルがどのゾーンに当てはまるかも併せて確認しておきましょう。適応温度はあくまでミリタリー基準なので日常生活に当てはまるわけではありませんが、購入時の参考になるはずです。
30~50度 :ベリーライトゾーン
10~30度 :ライトゾーン(対応モデル:A-2、L-2)
-10~10度 :インターミディエイトゾーン(対応モデル:MA-1、G-1)
-30~-10度:ヘビーゾーン(対応モデル:B-3、N-2B)
-50~-30度:ベリーヘビーゾーン
▼ポイント3:好みに応じた素材をチョイスするのも選び方の1つ
MA-1ならナイロン、A-2ならレザーなど、リアルな軍モノは素材が厳格に定められていますが、現在のファッションシーンにおいてはもちろんその限りではありません。さまざまな素材でいろいろなフライトジャケットがリリースされているので、好みに応じて選んでもOK! 特に多く見られる素材は以下の3つです。
素材1
ナイロン
フライトジャケットにおいてもっとも定番的な素材であるナイロン。ミリタリー然とした雰囲気を色濃くアピールできるのが大きなメリットといえるでしょう。それだけでなく、丈夫で水や汚れにも強いなど、化繊素材ならではの機能性の高さも持ち味。王道的なミリタリー素材ですから、デザインバリエーションもかなり多彩です。
素材2
レザー
クラシックなフライトジャケットに取り入れられてきたレザー。高級感だったり味だったりと、大人っぽい要素を多分に内包しているのが同素材の魅力です。着込むほどにコクが深まるという“育てる楽しさ”もレザーならではのストロングポイント。他の素材と比べると当然値段は張りますが、長年付き合っていけるのは間違いないでしょう。
素材3
コットン
実際の軍モノではかなり数が少ないコットン製フライトジャケットですが、現代のファッションブランドからは数多くお目見え。上記2素材と比べてミリタリー感抑えめなルックスなので、男臭い着こなしが苦手な人でも気軽にチャレンジできます。そして、コットン特有のナチュラルな風合いも大きな美点。軽快な素材ですので3シーズンの着回しにも対応します。
これぞ即戦力。フライトジャケットのおすすめ12選
由緒正しいミリタリーブランドから人気ファッションブランドまで、幅広くリリースされているフライトジャケット。その中でも選りすぐりの12着をお披露目していきます。どれも完成度が高く、冬スタイルの主戦力となってくれるのは確実! 早めに“戦闘準備”を整えておきましょう。
アイテム1
『ビームス』クレイジー ルーズ MA-1
一見するとシンプル&オーセンティックなMA-1ですが、よく見ると袖・身頃が同系色でのクレイジーパターン仕様に。『ビームス』らしい、さりげなく遊び心を感じさせる1着です。素材には撥水機能を備えたヘビーナイロンツイルが使われており、本格フライトジャケットさながらのタフさもフォローしています。
アイテム2
『アルファ インダストリーズ』×『417エディフィス』別注 50sタイプ MA-1
言わずと知れたミリタリー界の名門ブランドと、人気セレクトショップによる強力タッグ。1950年代に採用されていた初期型MA-1をデザインベースとして、本来のモデルよりも着丈を長めにアレンジしています。『アルファ インダストリーズ』の現行モデルにはない、特別なボディカラーを起用しているのもカギ。
アイテム3
『ナノ・ユニバース』スコールプルーフMA-1
薄手のコットン100%生地に中綿ナシというライトタッチな仕立て。アウター&インナーどちらとしても行けるオールラウンダーなので、費用対効果は秀逸です。しかも、表地は撥水撥油加工でフィニッシュしていますから、多少の雨であれば難なく対応。『ナノ・ユニバース』ならではの美シルエットでも魅了します。
アイテム4
『ヒステリックグラマー』HGロゴ L-2B ジャケット
過度なディテールや裏地を排除し、コーチジャケットのようなすっきりとしたルックスを実現。ミニマルな風貌ですから、さまざまなボトムス&インナーと高い親和性を見せてくれます。その一方、防風性&撥水性に優れるエアフォースナイロンや、ヴィンテージスタイルのウォルデスジッパーなど、素材使いはかなりの本格派!
アイテム5
『エディフィス』L2-B リバーシブル フライトブルゾン
ラギッドなイメージの色濃いフライトジャケットですが、こんなクリーンな配色の1着ならば抵抗なく袖を通せること請け合い! シャツやスラックスといったきれいめのアイテムとも調和してくれそうですね。ゴールドカラーのジップを用いるなど、高級感あるディテールも目を引きます。おまけにリバーシブル仕様なので、コストパフォーマンス面も申し分ナシ。
アイテム6
『ホーンワークス』本革 A-2フライトジャケット
高品質&バリュープライスなレザーアパレルを展開する『ホーンワークス』より。初期のA-2を忠実に再現しており、正統派ミリタリースタイルを楽しみたい人にはもってこいの1着です。シルエットは今っぽいスリム仕様にアップデートされていますから、洒脱な印象も兼備。表地のカウハイドは樹脂によって加工されており、多少の水や汚れであれば弾いてくれます。
アイテム7
『クライミー』×『ディッキーズ』A-2タイプ ワークジャケット
『ディッキーズ』の質実剛健なコットンポリエステルクロスでアップデートされたA-2ジャケット。高耐久なだけでなくストレッチも十分に効いていて、レザーのA-2よりもかなり軽やかな着心地です。アームホールをレオパード柄で切り替えた、スタイリッシュなデザインアプローチも印象的。カラーバリエーションではブラウンもスタンバイします。
アイテム8
『ヒューストン』G-1レザージャケット
日本生まれのミリタリーブランド『ヒューストン』が放つ逸品。美しい光沢感と柔軟性、さらにはタフさもを兼ね備えた高品質シープレザーをボディに用い、襟にはリアルムートンをあしらっています。チンストラップや裏前立て、袖の段リブ、アクションプリーツの仕様など、細部のディテールもこだわり満載! 本格的なフライトジャケットを求めている人にぴったりです。
アイテム9
『アヴィレックス』G-1 MIL-J-7823D
『アヴィレックス』といえば、いくつものフライトジャケットを米軍に納入してきたリーディングカンパニー。このG-1は「MIL-J-7823D」という1966年に採用されたモデルをリバイバルしています。ボディはオリジナル同様にゴートスキンを使用し、リアリティを追求。フィット感はややタイトめながら、着込むほどに体に馴染んでいきます。
アイテム10
『リューグーレザーズ』B-3フライトジャケット
リアルムートンを惜しみなく使った1着ですから、防寒性は言わずもがな! 真冬の心強いメインアウターとなってくれます。シルエットはややゆとりを持たせているので、レイヤードスタイルだってお手のものです。縫い目部分をテープでカバーすることで耐久性をより高めるなど、手の込んだディテールワークも大人に刺さります。色違いでシックなブラックワントーンを用意。
アイテム11
『フリークス ストア』B-3ブルゾン
数あるフライトジャケットの中でも、ムートンを使ったB-3はかなり高価。しかし今作はフェイクムートン素材ですから、お手軽なプライスで入手できます。ボアサイドとの両A面デザインとなっているのもうれしく、裏返せばアウトドアテイストな全面ボアブルゾンとして着用可能。シルエットは適度にゆったりめの設定となっています。
アイテム12
『ダヴルジェイケイ』N-3B V2
ヴィンテージのN-2Bにリスペクトを払いながら、『ダヴルジェイケイ』らしいモダンなシルエットに仕上げられた1品。すらりと美麗なフォルムで、都会的なシーンとも違和感なく順応してくれます。素材には優れた強度と洗練された光沢感を併せ持つナイロン66を抜擢。コヨーテファーや本水牛ボタンといった、贅沢なディテールワークもさすがです。
ミリタリーコーデが今の気分。洒落者から学ぶフライトジャケットの着こなし
今季のトレンドアイテムだけに、街の洒落者たちもフライトジャケットを偏愛。その着こなしには、あか抜けたミリタリースタイルを体現するためのコツが濃縮されています。ぜひとも彼らのテクニックを取り入れ、ワンランク上行くスタイルを作り上げましょう。
着こなし1
MA-1の短丈を生かしたメリハリレイヤード
コンパクトなショート丈を特性としているMA-1。丈長めなビッグTシャツとレイヤリングすれば、それだけでリズミカルな重ね着スタイルが完成します。ストリート系コーデ×ミリタリーアウターによるテイストMIXも絶妙で、まさに“ウマみ”の詰まった着こなしといえます。
着こなし2
モノトーンで呼応させたアーバンミリタリー
アウターはL-2Bで、ボトムスはエリート軍人たちがはいていたオフィサーパンツ。上下ともミリタリーアイテムでまとめることが奏功し、男らしさ溢れるコーディネートに仕上がっています。全体をモノトーンでシンクロさせ、アーバンな雰囲気も同時にカバー!
着こなし3
レザーのミリジャケならきれいめにも振れる
ミリタリーテイストなフライトジャケットですが、リッチ感あるレザー素材であればきれいめカジュアルにもハマります。例えばこのコーデでは、A-2ジャケットをニット&シャツの上品スタイルにオン。それにより、味わい深い表情を巧妙にプラスしています。足元にもレザーを持ってきて、全体の統一感を高めるテクニックも真似したいところ!
着こなし4
インナーのチェック使いで巧みにアク抜き
G-1ジャケットにカーゴパンツ、足元にはミリタリーダービーブーツを持ってきた男前なスタイリング。それだけでは下手すると“ガチ”に映ってしまいますが、インナーにポップなブロックチェックシャツを配してうまくアク抜きしています。この計算力の高さには脱帽!
着こなし5
デニムコーデのワイルドさをアウターで効果的にブースト
Gジャン×ストレートジーンズから成るデニム・オン・デニム。それだけで十分にオトコっぽい出で立ちですが、ボリューミーなB-3を羽織れば一段とその魅力が増幅します。足元にはあえてスポーティなスニーカーを持ってきて、ひとさじの軽快感も注入!

ウェア・コーデ
メンズ必修。ボンバージャケットの今どきな着こなし方とおすすめ15着
人気継続のMA-1や、ここにきて注目度が上昇しているN-3Bやムートンジャケットなど、何かと盛り上がりを見せるボンバージャケット。その魅力を改めて押さえておきましょう。
平 格彦
2021.12.03

ウェア・コーデ
男らしさ満点。ミリタリージャケットを種類別に解説!
兵士の命を守るために誕生したミリタリージャケットは、あらゆる洋服の原型や元ネタとなっているってご存じでした? 人気の種類を一挙ご紹介します。
TASCLAP編集部
2021.11.22

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その温もりが心地良い。ムートンジャケットのやさしさが今、必要だ
ボリューミーなアウターが主役に躍り出た今季。新戦力になってくれそうなのがムートンジャケットです。見た目にもウォーミーで、時代感にもピタリとハマります。
遠藤 匠
2020.12.16

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迷彩柄が今また新鮮。大人が“ガチ感”なしでカモフラを着る3つの法則
昨今のミリタリーブームを追い風に受け、トレンドとして注目を浴びている迷彩柄。難易度高めな柄と思われがちですが、取り入れ方のコツを押さえておけばとっても使えます!
山崎 サトシ
2021.08.28
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『ビームス』 クレイジー ルーズ MA-1
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『アルファ インダストリーズ』×『417エディフィス』 別注 50sタイプ MA-1
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『ナノ・ユニバース』 スコールプルーフMA-1
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『ヒステリックグラマー』 HGロゴ L-2B ジャケット
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『エディフィス』 L2-B リバーシブル フライトブルゾン
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『ホーンワークス』 本革 A-2フライトジャケット
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『クライミー』×『ディッキーズ』 A-2タイプ ワークジャケット
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『ヒューストン』 G-1レザージャケット
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『アヴィレックス』 G-1 MIL-J-7823D
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『リューグーレザーズ』 B-3フライトジャケット
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『フリークス ストア』 B-3ブルゾン
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『ダヴルジェイケイ』 N-3B V2
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