
“今”の空気感にマッチする、ニットジャケットの魅力を再確認
ドレスコードの緩和が進み、ジャケットも選択肢の幅が広がった現在。アンコン仕立てのように堅苦しさがなく、着こなしの幅も広いニットジャケットに注目しておきたい。
かっちり感とリラックス感を兼備する秘密兵器、ニットジャケット
息の詰まるスーツに身を包んでいた日常から一転、昨今では平日のビジネスシーンにおいてもリラックスした装いが定着しつつある。職種によってはTシャツ1枚とまではいかずともカーディガンを羽織っていれば問題ないという職場も出始め、いよいよビズスタイルとは何か……、と根本的な問いかけが必要になってきそうだ。
しかし、いい年をした大人が、急にカジュアルに舵を切るのも抵抗がある。スーツほどフォーマルでなくとも、せめてラペルがあり、だらしなく見えないフォルムは確保しておきたい。そんな二律背反の願いを叶えてくれるのが、文字通りニット素材で仕立てたニットジャケットだ。特に春夏の定番としてシアサッカーやリネンを使ったシックな装いも捨てがたいが、ニット編みのそれなら、カーディガン感覚でより気軽に身に着けることができる。
いわゆる、なジャケットと何が違う? ニットジャケットならではの魅力とは
ジャケット本来の上品さはそのままに、程良いリラックス感を与えるニットジャケット。このアイテムが大人にハマる魅力を知ることで、ビズスタイルがより良いものになるはずだ。
魅力1
リラックス感と相反する容姿端麗な趣で、隙のない男を演出
ニット素材とはいえ表情は容姿端麗なテーラードジャケットそのものなので、ビジネスカジュアルやオフィスカジュアルでも存在感を発揮。アメトラ風に着こなしてもハマるため、オフでのクリーンな着回しでも大車輪の活躍を見せる。この隙のなさはニットジャケットならではといえるだろう。
写真の1着は、長きにわたりメゾンブランドのアイテムを作り続けてきた『ラルディーニ』お得意のネイビーニットブレザー。さすがと思わせる美しい仕立てに加えて型崩れもしにくいので、インナーにハイゲージのカットソーやサマーニットなどのカジュアルなアイテムを挿してもカジュアルに振れすぎることはない。
魅力2
しっかりさせつつ抜け感も作れる、オールマイティさに脱帽
正統派のジャケットやブレザーは、大人としての威厳を保てるものの、休日着としてはややお堅い。できることならカーディガンのような気軽さを感じながらリラックスして着たいもの。
写真の1着は上と同じく、『ラルディーニ』のニットジャケットシリーズ。シルエットはタイトに、上品に絞られているが、やわらかに伸びるコットンニットのおかげでストレスはない。ダブルブレスト仕様に加えて編み目も細かいため、見た目にも品格が漂う。
ニットになったら、何が違う? ニットジャケットの着こなし方は
アウターのベースがウールのニット編みだけに、クリーンな白シャツはもちろん、男らしいデニムシャツやタートルネックのニットなど選ぶインナーの幅が広いのも魅力だ。だが、自由に合わせられる利点もある一方で、素材にリラックス感がある分ハメをハズし過ぎないよう品の良さはある程度コントロールしたい。以下の着こなしが、まさにその好例といえるだろう。
着こなし例1
単純な置き換えでは、サイズ感にご注意を
もちろん、通常のスーツジャケットを差し替えるだけでも十分効果的。こちらはメタルボタンのダブルブレストブレザーだが、リラックス感とクリーン差のバランスは見ての通りだ。しかし、素材感がゆるい分、シルエットまで崩れてしまってはただだらしなくカーディガンを羽織るのと何も変わらない。サイジングはあくまでジャストに。そうすることで、ベルトレスのグルカパンツと、足首見せがより効いてくる。
着こなし例2
スリーピースの合わせで紳士的な雰囲気を後押し
ニットジャケットにデニムシャツ、ベージュのチノに短靴といった大人の着こなし。ジャケットの素材感に、チノ素材のラフさがちょうど良い。これでも十分にファッション性も大人としての威厳も保てているが、ワンランク上を目指すなら写真のようにニットジレを追加したい。スリーピース風に着こなして、より品格をアピールしつつ、容姿端麗なコーデへと昇華してみよう。
着こなし例3
カジュアルスタイルの格上げにも、ニットジャケットは有効打に
かといって、ニットジャケットはオン専用のモノではない。カーディガン感覚で羽織れるアイテムだからこそ、休日においても積極的に取り入れていきたい。気軽にオン・オフで使い回すなら、こちらの『ユニクロU』のミラノリブジャケットは好適。ニットポロをゆるく合わせたスタイリングにおいて、やわらかなラペルが品の良さを主張する。これがソリッドな質感のジャケットでは、こうはいかない。
大人の品格と威厳を引き立てる、ニットジャケットブランド御三家
上質なニットジャケットに定評のあるブランドの3着を厳選。値は張るものの、すべてにおいて一級品と断言できる質の高さと美しいシルエットは、身に纏えばすぐに納得出来るクオリティを有している。この機会にぜひ、ウィッシュリストへの追加を検討していただきたい。
1着目
『ドルモア』コットンニット ジャケット
1773年にスコットランドのダムフリースで誕生した世界最古の老舗ニットブランドが『ドルモア』。2001年にイタリアのニット会社に買収されたことで、生産拠点がイタリアに移った。その結果、ロイヤルワラントの称号を獲得した技術や品質と、あか抜けた顔立ちが融合。そんな魅力はニットジャケットでも堪能できる。この1着は、上質なコットンニットを使っているので軽やかな着心地。気品があるのに、季節やコーディネートを問わず気軽に羽織れる。
2着目
『アルテア』ニットジャケット
イタリアのミラノで1892年にオープンしたネクタイ店が『アルテア』の起点。そこから成長してトータルなコレクションを展開するブランドとなった。ネクタイにマッチするジャケットは得意とするアイテムのひとつだ。高品質なヴァージンウールのみで仕立てたニットジャケットは、堅すぎずラフすぎないバランスが絶妙。その一方、厚手の生地と立体的な作りがリュクスなムードも放っている。ダーツを駆使したフォルムはエレガント。
3着目
『ラルディーニ』ウールニットジャケット
1978年にイタリアのアンコーナで創業したのが『ラルディーニ』。当初は家族経営の仕立て工房だったが、そうそうたるメゾンブランドのOEMを手掛けてきた縫製技術を生かし、オリジナルブランドもスタートした。ジャケットのラペルに着けられたブートニエールがアイコンで、このジャケットにも付属。フィット感の高いシルエットながら、ウール製ニットのストレッチ性と軽量性によってストレスフリーな着心地に仕上がっている。
日本のおしゃれを発信するセレクトショップのアイテムにも注目
ファッションの最先端を発信するセレクトショップでも、今季はこぞってニットジャケットをリリース。肩ひじ張らないドレスコードの提案が早くも主流になりつつある中で、各店が満を持して発表する新作を厳選してお届け。フィット感、色味、素材感など、おのおののカラーが出た逸品を今季のワードローブへ、ぜひ。
1着目
『エストネーション』ハイゲージウール ミラノリブ2Bジャケット
カーディガン感覚で着回せるように作られたニットジャケット。ウール100%のハイゲージなミラノリブ生地が上質感を醸している。編み立てたニットパーツを縫製して組み立てたニットソー仕立てなので、ニットの快適性とテーラードジャケットの立体感が共存。数年の研究開発を経てようやく商品化を果たした渾身のジャケットなので、気になったら袖を通してみよう。
2着目
『シップス』テクスブリッド 撚杢 畔編み 2ボタン ジャケット
ストレッチ性と伸長回復性に優れる機能素材TEXBRID(テクスブリッド)をブレンドすることで、ニットジャケットとしての理想的な柔らかさを実現。撚杢の畔編みにすることでニット生地ならではの表情も強調した。その一方、ウエストを絞ることでシャープなシルエットに。エレガントな印象もMIXしている。カラバリも充実していて、これはもっとも爽やかなロイヤルブルー。
3着目
『ビームス ハート』ウール 鹿の子 3ボタン ジャケット
リサイクルウールがメインの混紡糸を用い、鹿の子編みで仕上げたニット生地を起用。毛織物の産地として名高い尾州産ということでクオリティは高く、軽量でナチュラルストレッチにも富んでいる。ツイーディな風合いと深みのある色味で、クラシックなジャケットに仕上がっているのもポイント。シルエットはスッキリしていて、幅広いコーディネートに対応してくれる。
4着目
『トゥモローランド』ポリエステルペーパー ダブルブレスト6Bニットジャケット
ポリエステルと紙をブレンドしたタック編みのニット生地を採用。ドライタッチ、吸水速乾、軽量性、抗ピリングなどの機能を備え、ニット特有の弱点を解消した優れモノだ。持ち前の柔軟性を生かしながらテーラードのメイキングを取り入れているため、立体的なフォルムで上品。ダブルブレストの仕様が風格を感じさせるので、リモートワークのWEBミーティングで上半身が写り込んでも安心だ。
5着目
『ナノ・ユニバース』LB.01 ボタンレスミラノリブジャケット
日本製の超度詰めニットを使用し、エレガントな表情に仕上げたジャケット。ミラノリブのミニマルな表情が気品あるムードに拍車をかけている。着心地を追求し、パターンメイキングやシームレスなデザインにこだわっているのもポイント。リンキングによるストレッチ性も備え、さりげなく体にフィットする仕上がりだ。ボタンレスなので気軽に羽織ることができ、カジュアルなシーンを中心に重宝する。
こちらも見逃せない。ファッションブランドのニットジャケットをピックアップ
ニットジャケットはまだまだ数多くリリースされている。最後は、ファッションブランドが持ち前の個性や今のトレンドを反映して完成させた逸品をピックアップして紹介しよう。素材、生地、デザインなど、どこかに個性のあるニットジャケットが揃ったので、好みのタイプを見つけてほしい。
1着目
『エポカ ウォモ』ウールカルゼジャージージャケット
オリジナルの糸をジャージー編みすることでストレッチ性を与えつつ、縮絨加工を施してふっくらしたタッチに仕上げた生地を採用。だからこそ、細身のシルエットでもコンフォータブルなジャケットとなっている。シンプルなデザインに見えるが、首の後ろ部分の生地を切り替え、その下にループをセットし、チンストラップも装備。細部まで凝った作りだ。
2着目
『エイケイエム』エアフリースニット 2Bジャケット
ポリエステル100%の合繊糸を編み立てて、超軽量でふっくらしたスポーツニットを実現。ニット生地ならではのストレッチ性、心地良い触感、保温性と、合繊ならではの防シワ、耐久性、ウォッシャブルを兼備しているので、良いこと尽くしの1着といえる。ラペル、裾、袖口の切りっ放し仕様も特徴的で、スポーツとモードをMIXしたようなムードを醸出。シルエットは細身でスタイリッシュにまとまっている。
3着目
『サイコバニー』スライバーニット ジャケット
空気を羽織るような感覚で着られるのが最大の特徴。羊毛の繊維を糸にせず綿状のまま編み込むスライバーニットを採用し、エアリーでフワッとしたタッチを実現している。通気性や保温性にも優れ、ボリュームがありながら軽量。ジャケットに最適な生地を使って快適な着心地に仕上げた。デザイン面は3つのパッチポケットが特徴的。オレンジのステッチで囲んだフラワーホールがさりげないアクセントになっている。
4着目
『ジェイプレス』プラス ポリラッセルコーデュロイ ジャケット
合繊の名産地として知られる福井で開発した生地を起用。ポリエステル100%とは思えないほどナチュラルなコットン調の風合いを実現したラッセルコーデュロイを起用している。ラッセル編みなのでニット生地にしては伸縮性が乏しいものの、優れた形態安定性や耐久性を確保。そんな生地の特性を考慮し、少し余裕のあるボクシーなシルエットで仕上げている。他の仕様はスタンダードで、汎用性抜群のジャケットだ。
5着目
『ジャックマン』ジャージジャケット
ソリッドに見える表情の秘密は、高密度で編み立てたジャージー生地だから。厚手でしっかりした生地に加え、フィット感も高いシルエットだが、ストレッチ性に優れているので動きやすくてストレスフリー。また、ポリエステルとアクリルに加えウールも使用しているため、どこか上品な雰囲気が醸し出せるのもうれしいポイントだ。一見エレガントだが、3つのパッチポケットでさりげなくカジュアルダウン。
6着目
『ザ・ダファー・オブ・セントジョージ』ミラノリブブレザー
こちらはニット生地で仕立てたブレザー。適度なボリューム感、ストレッチ性、軽量性を併せ持つポリエステル糸を採用しつつ、ミラノリブ組織に編み立てることで動きやすい1着に仕上げた。防シワ性、イージーケア、速乾性も兼備し、機能性は抜群だ。また、ブランド名をさりげなく組み込んだエンブレムがブレザーらしいトラッド感を演出。ただし、メタルボタンとともにシルバーで統一しているため、クールで都会的な印象も感じられる。
7着目
『ハイダウェイ』ラッセルジャガードカットジャケット
3種類の合繊をブレンドした混紡糸を特殊な編み機で編み立てた生地を起用。ハリ感、柔軟性、ストレッチ性のバランスが絶妙で、ノンストレスな着心地のジャケットに仕上げた。最終加工で転写プリント施して奥行きのある生地感を強調しているのもポイント。トラッドなチェック柄だけでなく、MIX調の無地もラインアップしている。
8着目
『リーセンシー オブ マイン』ミラノリブ ストライプ ストレッチ ジャケット
ピッチ幅の広いストライプがアイキャッチになっているニットジャケット。クラシックなムードやリゾートテイストを感じさせる柄が、コーディネートにアクセントを加えてくれる。ナイロンを加えて耐久性を高めたハイツイストコットンを使用しているため、生地感はソリッドで上品。だからこそ、インパクトのある柄でも着こなしやすい。ニット特有のストレッチ性も備えているため、コンパクトなシルエットなのに快適な着心地だ。
9着目
『トローブ』コンプレスウールニット ジャケット
細番手のウール糸を編み上げた後に、圧縮加工を施して超度詰めに仕上げたニット生地は、布帛のようなフラットな表情。そうはいってもウール100%のニット生地なので、特有の軽やかさや滑らかさも感じさせる。ボタンレスのジャケットなので本来はカジュアルなはずだが、生地感と立体的な構造によってエレガントな印象。糸の段階で染色した色味には深さがあり、そこからも品の良さがにじみ出ている。
10着目
『ジュンハシモト』マーシーツイル ジャージージャケット
イタリアで培った技術を日本の“粋”の精神に基づき表現する『ジュンハシモト』。こちらはジャージーの概念を覆してしまうほど超高品質にこだわった1着。超ハイゲージのツイル組織にFTYというポリウレタンを含んだ糸を使用し、ストレッチ性だけではなくハリ感も付与。パッと見は最早普通のテーラードジャケットに見えるほどのクオリティだ。カジュアルはもちろん、ビジネスでも頼りになること間違いなし。
この記事の掲載アイテム一覧(全8商品)
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『ドルモア』 コットンニット ジャケット
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『アルテア』 ニットジャケット
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『ラルディーニ』 ウールニットジャケット
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『エストネーション』 ハイゲージウール ミラノリブ2Bジャケット
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『シップス』 テクスブリッド 撚杢 畔編み 2ボタン ジャケット
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『ビームス ハート』 ウール 鹿の子 3ボタン ジャケット
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『トゥモローランド』 ポリエステルペーパー ダブルブレスト6Bニットジャケット
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『ナノ・ユニバース』 LB.01 ボタンレスミラノリブジャケット
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