
ミリタリーブランド15選。男らしさを演出する名門を網羅
軍の放出品を街着で活用しはじめたのをきっかけに、メンズファッションの定番として親しまれているミリタリーウェア。その鉄板ブランドを今一度チェックしておきましょう!
機能とストーリー性に溢れたミリタリーウェアは、男に欠かせないギア服だ
戦場という過酷な状況と、特殊なニーズに基づいて仕立てられるミリタリーウェア。徹底的にスペックを追求した結果、ある種の機能美ともいえるデザイン性の高さを備えており、ファッションに取り入れれば抜群のインパクトを放ちます。また、「本来、このタブは酸素マスクをセットするもので……」など、男心をくすぐるうんちくがたっぷりと込められているのもこの手の服の魅力でしょう。それだけでなく、ピーコートやダッフルコート、トレンチコートなど今やトラッドのアイテムと思われている服の多くは、ミリタリーウェアがルーツであったりするもの。いわば男の服飾の基本であり原点ともいえるのが、ミリタリーというカテゴリなのです。
そもそもミリタリーブランドとは? その定義と分類をおさらい
その出自は明快ながら、ミリタリーブランドとはなにか、と聞かれると人によってその定義は微妙に異なるもの。以下で改めて3種類に分類したうえで、それぞれの特徴と魅力についてチェックしておきましょう。
種類1
各国の軍に製品を納入した実績がある、“リアルミリタリーブランド”
最も狭義のミリタリーブランドの定義といえば、こちら。軍での採用実績がある――。これ以上にわかりやすいこともないでしょう。米軍にフライトジャケットを納入している『アヴィレックス』や、バックパックを納入している『ミステリーランチ』などがこれに当てはまります。
ちなみに、アメリカ軍では国内に一定の生産規模の工場を有しており、ミルスペックと呼ばれる軍の調達規格に適合するメーカーやブランドをコンストラクター(製造業者)に指定してウェアやブーツ類を仕入れています。このときの仕入れから生まれる余剰在庫や、ユーズド品を払い下げたものがいわゆる放出品。実際に軍が使用しているものとまったく同一です。
それに対し、コンストラクターが軍に納入している製品をもとに民間用にアレンジして販売することも多く、それらは民生品と呼ばれます。民生品の場合、タグ以外はすべて軍の放出品と同じというものから、街着しやすいように素材やシルエットを調整されているものまでありますが、いずれにせよ軍が要求する高い品質水準をクリアした工場で作られていることに変わりありません。
種類2
ミリタリーウェアのアーカイブを詳細に再現する“レプリカブランド”
1980年代以降にミリタリーウェアのヴィンテージが高値をつけるようになると、それらの再現を目指すレプリカブランドが誕生します。その嚆矢となったのがイラストレーターの岡本 博氏が立ち上げた『リアルマッコイ』(現在の運営は別会社が行っており、岡本氏は新たに『トイズマッコイ』を設立)。雑誌『ポパイ』の特集でA-2フライトジャケットの復刻が掲載されたことをきっかけに大反響を呼びます。
その後、90年代にかけて古着熱の高まりとともにヴィンテージレプリカブランドが乱立。日本人ならではの研究熱心さも相まって、オリジナルを凌駕する出来栄えのプロダクトも見受けられるほど、技術的に成熟しているジャンルでもあります。
種類3
ミリタリーテイストを巧みにファッションへと昇華する“ファッションブランド”
男の服飾の基礎となるジャンルであり、さまざまなデザイナーにインスパイアを与えてきたミリタリーウェア。いわゆるオリジナルのリアルな再現を目指すレプリカブランドと異なり、現代のタウンユースやトレンドにフィットするようにアレンジを加えたりしたものも多く見られます。それらのアイテムを得意とするファッションブランドも、広義にはミリタリーブランドといえるでしょう。
レプリカブランドでは弾数が少ない1970年代以前のヴィンテージピースを復刻することが多いのですが、これらのファッションブランドはデザイン性が高ければ年代にこだわらない傾向が強いのも特徴です。
カテゴリ別にピックアップ。知っておきたいミリタリーブランドの名門15
一口にミリタリーブランドといっても、カテゴリによってモノ作りの傾向が異なるのは先程説明した通り。ここからはそのカテゴリ別に、それぞれの定番ブランドと注目アイテムをチェックしていきましょう!
▼カテゴリ1:歴史と実績に裏打ちされた名門揃い。リアルミリタリーブランド5選
まずは軍に正式にアイテムを納入しているミリタリーブランドからチェック。作りの確かさはいうまでもなく、軍に供するためにはコストパフォーマンスも重要視されます。そのため、これらのブランドのアイテムはこなれた価格帯が多いのも魅力のひとつとなっています。
ブランド1
『アヴィレックス』A-2プレーン
1975年にアメリカ空軍のコンストラクターとして創業し、1987年に米国空軍生誕40周年を記念してA-2フライトジャケットを復刻して納入したことでも知られる『アヴィレックス』。こちらのA-2ジャケットはその復刻品の色味を正確に再現したライニングを採用しつつ、タフな牛革を贅沢に使用しています。一般的にオリジナルのA-2では馬革が使われていたといわれていますが、実際はヤギ革や牛革を使っている個体も存在するため、ある意味で正しい素材選択といえるでしょう。
ブランド2
『アルファ インダストリーズ』MA-1 CORE SPEC フライトジャケット
『アヴィレックス』と並び、アメリカ空軍のコンストラクターとして知られている『アルファ インダストリーズ』。その代表作といえば、MA-1でしょう。2022年に続編が出たことで話題にもなった映画『トップガン』の1作目において、トム・クルーズ氏が着用したことで日本でも一躍ブームを巻き起こしました。ちなみに実は『トップガン』で着用されたのはMA-1ではなく、襟付きで裏地がオレンジ色ではない「CWU36P」というタイプだったというオチも……。現在はリアルな納入品よりもアレンジされた民生品が人気で、こちらのアイテムもUSサイズのビッグシルエット&ブラックでアレンジされています。
ブランド3
『ロスコ』BDUカーゴパンツ
1953年にマンハッタンで創業し、当初から陸海空軍ならびに警察へウェア類を納入してきた『ロスコ』。最近はミリタリーウェアだけでなくアウトドアアイテムの製造も行うなど、幅広い事業展開を行っています。その中でも定番に位置するのが、ミルスペックに準拠した工場で縫製されるBDUカーゴパンツ。やや裾を絞ったシルエットでファッションにも馴染み良く、カラバリ豊富なのもうれしいところです。
ブランド4
『ミステリーランチ』2デイアサルト
その技術の高さから、アメリカ海軍特殊部隊であるネイビーシールズにより直々に特別仕様のバックパック製作を依頼されたのが『ミステリーランチ』。代表作である「2デイアサルト」においても、体格にかかわらずオーダーメイド感覚のフィット感が得られるフューチュラヨークシステム、荷物にアクセスしやすい特徴的なY字ジップシステムなど、同ブランドらしい工夫が随所に盛り込まれています。
ブランド5
『ダナー』マリン エクスペディショナリー ブート
「えっ? 『ダナー』ってアウトドアブランドでしょ」と思ったなら、ちょっと違います。実は『ダナー』はアウトドアシーンにおける機能性の高さと作りの良さを買われ、米軍のブーツ製造も担っているのです。Marine Expeditionary Boot(海軍の海外遠征ブーツ)という名の通り、こちらは米国海兵隊向けに製造された現役のミリタリーブーツ。ブランドお得意のゴアテックスブーティも健在です。ヒールカウンターにはU.S.M.C.のスタンプが入る、本格的仕様も魅力。
▼カテゴリ2:しゃれてるうえに本格派。レプリカ系ブランドのおすすめ5選
その熱心な探究ぶりから、プロダクトとしてのスペックだけでなく軍の歴史まで解き明かしてみせるレプリカブランドたち。どこまでも正確にオリジナルの再現を目指すストイックなブランドから、オリジナルに範を取りながらもよりファッショナブルかつ機能的になるように絶妙なアレンジを加えるブランドまで、自信を持っておすすめできる5ブランドをチョイスしました。
ブランド6
『ウエアハウス』Lot.1213 ミリタリーヘリンボーンユーティティパンツ
もはやタグやヒップポケットのステッチを見ない限り、ヴィンテージと見分けがつかない……といわれるほど正確に“ヴィンテージ501”を再現することで知られる『ウエアハウス』。そのこだわりはミリタリーアイテムにおいても健在で、U.S.NとU.S.M.C.で異なる色味や質感まで追求して生地から製作。こちらのパンツではU.S.M.C.のカラーを採用し、しかもU.S.M.C.のヴィンテージ品ではパーツごとにODカラーの違う生地を使っていることがしばしば見受けられるそうですが、そこも正確に再現しているという徹底ぶりです。
ブランド7
『ジョングラッコー』ウィンドプルーフトラウザーズ
ラルフ・ローレン氏をはじめとた、さまざまなブランドのデザイナーを顧客に持つことで知られ、全米屈指のヴィンテージディーラーであるジョン・グラッコー氏。彼が日本のヴィンテージレプリカブランドの『ジェラード』とタッグを組んで立ち上げたプライベートコレクションが、こちらです。マニアックなアイテムをネタ元として選ぶ選球眼はさすが一流ヴィンテージディーラーといったところで、第二次世界大戦時にイギリス軍が採用していたトラウザーをベースに陸軍と海軍で異なるディテールを1本にまとめ上げています。
ブランド8
『テーラー東洋』ベルベティーンスーベニアジャケット
横須賀の基地に配属された米兵が、日本駐留の記念として現地の職人に依頼してスタジャンにオリエンタルな刺繍を施したのがスカジャンのはじまり。しかも『テーラー東洋』は、その前身である港商商会が在日米軍のPX(購買部)にスカジャンを納入してきた歴史もあり、レプリカというよりもむしろ本物と呼ぶほうが正確かもしれません。こちらはヴィンテージでも見られる犬ぞりや白熊、アラスカの地図がリバーシブルで刺繍された通称“アラスカジャン”というモチーフで、あえてヘタウマタッチに仕上げられているのも“当時”な雰囲気です。
ブランド9
『ザ リアルマッコイズ』N-1デッキジャケット
ミリタリーレプリカブランドの先駆けとしての歴史を持つ『ザ リアルマッコイズ』。徹底的なディテールへのこだわりは岡本 博氏が代表を務めていた“旧マッコイ”時代から現在にいたるまで共通であり、むしろ現体制になってからはより良質な素材の入手や縫製工場の確保が可能になって質が向上したという声も。こちらのN-1デッキジャケットはオリジナルと同じく畝感とツヤ感のあるジャーマンコードをシェルに使用しつつブラックにモディファイすることでスッキリとした印象に仕上げています。
ブランド10
『コリンボ』ロシニョール スクーデリアコート カスタム
岡本氏率いる“旧マッコイ”から現『ザ リアルマッコイズ』へと移り変わる転換期には、さまざまなスタッフが独立、それぞれ自分のブランドを立ち上げていきました。『コリンボ』も、そんなマッコイイズムを継承するブランドのひとつ。膨大なヴィンテージとミリタリーに関する知識を背景に、マニアックなアイテムをモチーフにストーリー性のあるモノ作りを行うのが同ブランドの特徴です。その姿勢が最もよく表れているのがこちらのアイテム。フランス軍のアーミーコートをモチーフに、他の仏軍外国人兵向け教導部隊が着用していたという想定のもと、その本拠地であるカステルノダリ市の市章をステンシルでセット。ちなみにステンシルはデザイナー本人が1点ずつ施しています。
▼カテゴリ3:トレンド感もバッチリ。ミリタリーテイストをうまく取り入れたファッションブランド5選
ミリタリーアイテムのこだわりと、現代的なファッション性を兼ね備えたカテゴリがこちら。定番アイテムから知られざる名品まで、幅広くモチーフとして扱いながら独自の解釈を加えたモノ作りは、普段のコーディネートに取り入れやすいアイテム作りに結びついています。
ブランド11
『ナイジェルケーボン ライブロ』OW-53 コールドウェザージャケット
ヴィンテージコレクターとしても知られる英国人デザイナーのナイジェル・ケーボン氏が、1971年に立ち上げた同ブランド。特に英国・欧州のミリタリーアイテムにインスパイアされたアイテムの出来は秀逸で、武骨でありながらどこか洗練味も感じるモノ作りには定評があります。こちらのジャケットは1980年代にブランドが発表した英国空軍のコールドウェザーパーカーをショート丈にアレンジしたもの。ブリティッシュミリタリーらしい凝った作りを取り入れつつ、巧みにアップデートされています。
ブランド12
『エンジニアドガーメンツ』ブラウンポリエステルボンバージャケット
1999年にセレクトショップの「ネペンテス」が母体となってスタートした『エンジニアドガーメンツ』。ワークやミリタリー、アメリカントラッドといった要素をMIXしつつ、トレンド性も備えたタイムレスなモノ作りを行っています。また、主にNYでアイテムの企画と生産を完結していることもあってか、縫製などからもアメリカの雰囲気を強く感じます。こちらは1927年に米軍が初採用したフライトジャケットであるA-1をベースにしつつレオパード柄のポリエステル素材でアップデートされています。
ブランド13
『ダブルアールエル』ウール ツイル ピーコート
名作と名高い『ポロ カントリー』の後継ラインにして、『ラルフローレン』の最高級カジュアルラインにあたるのが『ダブルアールエル(RRL)』。ラルフ・ローレン氏本人が作りたいものを最も表現しているともいわれており、ネイティブ&カウボーイやワーク、ミリタリーにいたるまで、男っぽいアメリカの服を現代に体現してみせています。こちらはアメリカ海軍が採用していたマフポケット付きピーコートを、オリーブドラブのウールにツイスト。「もし陸軍がピーコートを採用していたら、きっとこうだっただろう」と思わせる出来栄えに仕上がっています。
ブランド14
『キャプテン サンシャイン』グルカトラウザーズ
元『ウエストトゥワイス』のデザイナーである児嶋晋輔氏が新たに立ち上げたブランド。往年のアメリカ製品が持つ独特のタフな雰囲気をアイテムに落とし込む手腕は服好きからの評価も高く、「ビームス」をはじめとしたセレクトショップでも頻繁にコラボするなど大々的にプッシュされています。こちらは英国軍のグルカトラウザーズをベースにしつつ、ドレッシーなトロピカルウールを用いることで大人に仕上げた1本。手洗い対応しておりイージーメンテナンスのため、オン・オフともに活躍してくれるでしょう。
ブランド15
『サウンドマン』ストークスファイアファイタージャケット
大手セレクトでの取り扱いがないためか知名度は高くないものの、非常に凝ったディテールと縫製の美しさで知る人ぞ知るドメスティックブランドという位置付けとなっているのが『サウンドマン』です。こちらは英国空軍のフライトジャケットをモチーフにしつつ、オリジナルのオリーブドラブカラーをピーコートで使われるようなネイビーウールメルトンにスワップ。肩の運動量を確保するピボットスリーブやファスナーとパラシュート釦で留めるフロントなど、独特のディテールも美しく再現しています。
この記事の掲載アイテム一覧(全15商品)
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『アヴィレックス』 A-2プレーン
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『アルファ インダストリーズ』 MA-1 CORE SPEC フライトジャケット
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『ロスコ』 BDUカーゴパンツ
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『ミステリーランチ』 2デイアサルト
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『ダナー』 マリン エクスペディショナリー ブート
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『ウエアハウス』 Lot.1213 ミリタリーヘリンボーンユーティティパンツ
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『ジョングラッコー』 ウィンドプルーフトラウザーズ
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『テーラー東洋』 ベルベティーンスーベニアジャケット
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『ザ リアルマッコイズ』 N-1デッキジャケット
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『コリンボ』 ロシニョール スクーデリアコート カスタム
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『ナイジェルケーボン ライブロ』 OW-53 コールドウェザージャケット
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『エンジニアドガーメンツ』 ブラウンポリエステルボンバージャケット
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『ダブルアールエル』 ウール ツイル ピーコート
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『キャプテン サンシャイン』 グルカトラウザーズ
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『サウンドマン』 ストークスファイアファイタージャケット
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