
日本製メガネの聖地。鯖江のモノ作りが息づくブランド12選
福井県・鯖江市といえば、言わずと知れた国産メガネの聖地。MADE IN JAPANの矜持を宿した鯖江生まれのアイウェアは、本物を知る大人男子にこそよく似合います。
メガネ生産の聖地・鯖江。その歴史とは
日本国内のメガネ生産において9割以上のシェアを誇る福井県・鯖江市。“メガネの聖地”とも呼ばれるこのエリアでアイウェアの生産が始まったのは、1905年のことでした。実業家の増永五左衛門氏が農閑期の副業として、少ない初期投資で収入が見込めるメガネ作りに着目したことが始まりとされています。以降、“帳場”と呼ばれる職人グループごとにメガネが作られ、互いに切磋琢磨しながら技を磨いたそう。その後、第二次世界大戦が終戦を迎えるとメガネの需要は大幅に拡大し、一大産業へと発展を遂げることになります。
確かな技術力と丁寧なモノ作り。鯖江で作られるメガネの魅力
鯖江といえばその高い技術力で名を馳せています。1983年になると、世界で初めて金属アレルギーが起こりにくいチタン製メガネを開発・生産。これを大きなきっかけとして、日本のみならず世界的にもメガネの産地としての地位を築き上げていくこととなります。ちなみに現在、鯖江が誇るハイレベルなチタン加工の技術は、医療や電子機器などの分野にも応用。メガネ作りで培ったノウハウは、幅広いフィールドへと広がっています。
鯖江産のメガネは、多いものになると200以上もの作業工程を経て作り上げられています。生産は工程ごとの専門職人たちによる分業制を採用。各分業の中で厳しい品質管理を行うことにより、良質なアイウェアを生み出しているんです。また、多くの工程において職人によるハンドワークを取り入れているのも鯖江メガネの特徴。生産の機械化が当たり前になった現代ですが、品質の高いメガネを作るためには“人の手”が欠かせないんです。
まずはこちらをチェック。鯖江のメガネを代表する2ブランド
鯖江の歴史や背景を知ったところで、鯖江メイドを象徴する二大メガネブランドをご紹介。どちらもデザインと機能を両立した、高品質なアイウェアを発信しています。メガネ初心者のファーストモデルとしてもおすすめ。
▼代表的ブランド1:『金子眼鏡』
メガネの生産~販売までを一手に行う『金子眼鏡』は、1958年にメガネの卸商としてその歩みをスタート。その後オリジナルブランドの生産に着手し、現在はアイウェア業界のトレンドリーダーとして確固たる地位を築き上げています。また、ファッションブランドとのコラボレーションにも積極的。以下で紹介しているモデルを筆頭に、有名ブランドとの共作を数多く展開中です。
アイテム1
『ユナイテッドアローズ』別注 James
毎年定番となっている『ユナイテッドアローズ』とのコラボラインより。細身のメタルフレームを駆使したこちらの一本は、ミニマルなルックスでビジネス・カジュアルとシーンをまたいで活躍してくれます。先セルとフレームを一体化させることで、よりスマートなイメージを強めているのも印象的。
アイテム2
『レアセル』別注 Keyhole Bridge Leaf Glasses
人気ドメスティックブランド『レアセル』との協業。デザイナー私物のアンティークウェリントンをベースとして、現代的なデザインアレンジを施しています。太めのフレームやキーホールブリッジなど存在感あるディテールが散見され、コーデアクセントには最適。レンズ横に配された、木の葉型の飾りピンも特徴的な意匠です。
アイテム3
『サンディニスタ』別注 Clever Glasses
カナダ×東京のグローバルブランド『サンディニスタ』とのジョイントワークは、大胆なツートーン仕様でインパクト抜群! そして、素材に古き良き時代を彷彿とさせるセルロイドを使用しているのもこだわりです。同素材は風合いの良さに加えて変形・縮みが少ないのも魅力で、快適な掛け心地が長く持続します。なお、レンズはUVプロテクト仕様となっており、紫外線を99.9%カット。
▼代表的ブランド2:『アイヴァン』
“着る眼鏡”をコンセプトとして、1972年に誕生した日本初のファッションアイウェアブランドが『アイヴァン』です。1985年には米国のアイウェアショップ『オリバーピープルズ』の目に留まったことをきっかけに、アメリカでの展開をスタート。この出来事は、国産メガネが世界に広がる大きな一助となりました。後にブランドは一度休止しますが、2018年に再始動。鯖江メガネならではの品質とハイセンスなデザインを融合した逸品は、今またファッションシーンで大きな支持を集めています。
アイテム1
ダニー
クラシックなニュアンスを漂わせる今作は、ミッドセンチュリーの家具パーツからヒントを得て開発。幅1.5mmのスリムなヨロイパーツに0.9mm径の超小型カシメピンなど、鯖江メイドならではの繊細なディテールが目を引きます。素材はセル×メタルのコンビネーション仕様で、テンプルにチタンが使われているため掛け心地は実に軽やか。
アイテム2
フリード
厚さ0.7mmの極薄リムが印象深いチタンフレームモデル。掛けているのを忘れるかのような、コンフォータブルな着用感の一本です。クラウンパント型をアレンジしたフロントシェイプや、1920年代のメタルフレームを着想源としたブリッジ&ヨロイなど、センスの光るデザインアプローチでも大人を魅了。
アイテム3
ローウィー
ボストンとオーバルの中間のようなシルエットで、雰囲気は実にオーセンティック。マーブル模様のアセテート生地もレトロな印象をアシストします。その一方、リムを極限まで細くすることで今っぽいムードも獲得。モダンクラシックを体現した洒脱なアイウェアは、掛けるだけでスタイリングのセンスアップを約束してくれます。
他にも名品揃いの鯖江メガネ。まだあるおすすめ10ブランドをチェック
上でご紹介した二大ブランド以外にも、鯖江メイドを貫くマジメなブランドは数多く存在しています。ここではファッションシーンで支持を集める注目の鯖江産ブランドを一挙にレコメンド。どのブランドも、大人の良きライフスタイルパートナーとなってくれるはずです。
ブランド1
『イエローズプラス』ケント
2001年に山岸稔明氏によって設立されたブランドで、時代を問わない普遍的な美しさを備えたアイウェアを展開。また、職人の手仕事から生まれた証しとして、すべての製品に“hand finish”という表記がされています。ご紹介の一本は、ココらしいクラシカルなサーモントタイプ。テンプルには程良いボリュームがあり、顔周りにアクセントを生み出してくれます。チタン製のノーズパッドを用いるなど、細部への注力も流石の一言。
ブランド2
『増永眼鏡』ベイシー
厳密には福井市が本拠地ですが、福井県のメガネ産業を興した増永五左衛門氏創業の『増永眼鏡』からもピックアップ。世界トップクラスの技術力を誇り、素材開発から最終仕上げまでの一貫生産にこだわり続けています。こちらの「ベイシー」は軽くて丈夫なチタンフレーム製。ブローラインにはアンティークゴールドカラーのチタンを重ね、さりげなくメリハリのあるデザインを構築しています。
ブランド3
『ボストンクラブ』スチュアート
ブランド自体は2013年に始動した『ボストンクラブ』ですが、メガネメーカーとしてのボストンクラブ社は1984年に誕生。腕利きのメガネ工房として、これまでに多くのOEM生産を手掛けてきました。そんな背景を持つ同ブランドは、1980年代の金型・図面を基盤に現代的要素も融合した新しい“ジャパニーズ・トラディショナル”を提唱しています。今回ピックアップしたのは、肉厚感あるラウンドシェイプモデル「スチュアート」。曲線的にデザインされたテンプルも特徴的で、横顔でも個性をアピールできます。
ブランド4
『ジャポニズム』JN-669
こちらもボストンクラブ社が手掛けるブランドで、1996年に国内最大級の展示会「IOFT」にて発表されました。シンプルなのに存在感もあるデザインが人気で、幅広い層から支持を獲得しています。写真のチタンモデル「JN-669」は鯖江が誇る最高峰のチタン加工技術を駆使して仕立てられたアイテム。リムの太さに抑揚をつけ、立体的に仕上げているのが見どころです。そしてひとたび掛ければ、その軽さに驚くはず!
ブランド5
『クレイトンフランクリン』CF606
1999年に始動した『クレイトンフランクリン』は、米国や欧州でも愛用者が多いジャパンブランド。そのデザインは、主に1930年代の英国ファッションがイメージソースとなっています。この「CF606」はメタルフレームの内側にセル枠を配したインナーセル仕様が特徴で、着こなしのこなれたアクセントに。すらっと細身のフォルムですから、ビジネスコーデにもマッチしてくれます。
ブランド6
『泰八郎謹製』プレミア9
50年以上のキャリアを持つ鯖江きってのメガネ職人・山本泰八郎氏が製作を手掛けるブランド。素材には昔ながらのセルロイドを使用し、テンプルに金属芯を使用しない伝統的な“ノー芯製法”によって一つひとつ丁寧に生産しています。この「プレミア9」はヴィンテージを思わせるややボリューミーなフォルムが持ち味。また、剣をモチーフとしたシルバー925のカシメ飾りが絶妙なスパイスとなっています。
ブランド7
『バディオプティカル』エイス
2011年に大阪でスタートしたブランドですが、ラインアップするメガネは創設以来すべて鯖江メイド。ちなみにそのブランドネームは“メガネが気心の知れた仲間や相棒(=バディ)のような存在になるように”との思いから名付けられています。上のボストンメガネ「エイス」は1990年代をイメージして作られたアイテムで、程良く大ぶりのサイズ感×細身のラインで巧妙に抜け感を演出。チタンならではの快適性もストロングポイントです。
ブランド8
『BJクラシックコレクション』ジャズ
鯖江のハイレベルな製造技術と、アメリカン・クラシックなデザインを巧みに融合するブランドが『BJクラシックコレクション』。2004年に設立され、現在もシーンで絶大な支持を獲得しています。そして同ブランドの中でもとりわけ大人に人気なのが、過去の名品を復刻したシリーズ「リバイバルエディション」。その一角である「ジャズ」は1950年代に多くのジャズメンに愛されたモデルを再現したもので、当時と同じくセルロイド素材を使用しています。
ブランド9
『ブラン』B0006-V1 CLEAR
福井県出身の渡辺利幸氏が2012年に立ち上げた『ブラン』のアイウェアは、鯖江産らしい心地良いフィット感とコンテンポラリーなデザインが持ち味。2022年4月に初の直営店「LHITE」を東京・原宿にオープンするなど、今非常に勢いのあるブランドでもあります。ピックアップした一本は、チタンリムとアセテートリムを組み合わせたコンビ仕様。王道のウェリントンメガネに、素材使いの妙で鮮度を与えています。メタルに施されたミル打ち、リム側面に入ったラインなど、細部のあしらいも実にハイセンス!
ブランド10
『アイヴォル』ベック
『アイヴァン』のデザインチームによって2017年に発表された『アイヴォル』。クラシックモダンテイストな洗練デザインと、日本人の顔型にジャストフィットする機能的なフレーム設計を十八番としています。その中でも人気モデルとして君臨するのが、スクエアシェイプの「ベック」。レンズの天地幅を抑えたスタンダードなデザインで、あらゆるシーンに順応します。TPE素材の可変式ノーズパッドを採用することによって、ズレにくく仕上げられているのもカギ。

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