日本生まれの革靴名鑑。こだわる大人が持つべき一足

大人の嗜みのひとつに、革靴がある。海外ブランドに目を向けがちだが、日本人ならまず国産に注目しよう。そこには、国産ならではの魅力があるのだから。

日本生まれの革靴名鑑。こだわる大人が持つべき一足

日本人が考える、日本人のための革靴の強みとは?

日常から行動をともにする革靴は、フィット感が高い一足を選びたい。となれば、日本人の足型を熟知した者が作る革靴に目を向けるのが近道だ。もちろん、長い歴史と伝統の中で培われた優美な表情と技術を誇る欧米ブランドに心が惹かれることもあるだろう。しかし、国産ブランドもその点において決してひけはとらない。

日本人が履くべき国産革靴ブランドたち

さっそく、革靴を手がける国産ブランドを紹介しよう。ここでは往年の定番である国産ブランドと、ここ数年で注目度が高まっているニュージェネレーションに分けて解説する。

古きよき技術に守られた往年の国産革靴ブランド3選

ヨーロッパやアメリカが魅力的な革靴を提案し続けていることは否定できない事実だ。数々の製法に始まり、足元にエレガントさを届けるデザインの機微には一日の長がある。それでもなお、飽くなき向上心と真摯なもの作りによって日本の革靴の歴史を紡いできた国産の老舗ブランドも存在する。

ブランド1:『リーガル シュー&コー』

日本の革靴文化が一般化しはじめたのは明治維新以降と伝えられているが、それを考えれば1902年創業のリーガルの歴史(前身は日本製靴株式会社)は日本の革靴の歴史といっても言い過ぎではない。『リーガル シュー&カンパニー』はそのコンセプチュアルブランドで、過去の名作を軸に現代感をプラスしたコレクションを展開している。

『リーガル シュー&コー』ニュースタンダードウィングチップ

アメリカントラッドシューズを初めて国内へ持ち込んだとされている『リーガル』。ローファーと並び、ウィングチップもまたブランドを代表する一足といえるだろう。こちらは、当時の一足を現代的解釈で仕上げたアイテム。アッパーには、生後6ヶ月〜2年ほどの牛からできる貴重なキップレザーを使うなど、こだわりもひとしお。

ブランド2:『オーツカ製靴』

1872年(明治5年)に創業し、革靴を日本へ定着させる足掛かりを作ったのが同社。以降、日本人の足になじむ靴作りに専心。1922年には機械製靴にも着手し、産業としての確立に大きく貢献した。2001年には、靴業界で初めてISO9001:2000品質マネジメントシステムに登録するなど、その革新性は今なお失われてはいない。

『オーツカ製靴』M5-219 オックスフォードシューズ

希少なシェルコードバンを一枚革デザインで仕上げ、爪先革と腰革の継ぎ目もないことから革本来の美しさがより堪能できる。角を削り丸みを出す面取りをあしらったコバや、3cmの中に12針という緻密なピッチの出し縫いなど、精巧かつ美しい仕上げにより野暮ったくなりがちなグッドイヤーウェルテッド製法の本底が優雅な趣に。

ブランド3:『ユニオン インペリアル』

1952年の誕生以降、頑なにこだわってきたハンドメイドによってその地位を確立し続けている同ブランド。彼らが培ってきた類まれなる技術力は、イタリアで開かれている製靴技コンクルールにてオスカーを3年連続受賞するなど実証済み。『クリスチャン ディオール』といった、世界的なハイブランドが技術提携を率先して呼びかける理由もうなずける。

『ユニオン インペリアル』1111

プレステージシリーズのベストセラーモデルとして名高い1111。グッドイヤーウェルト製法が確立される前の時代に主流だった、ハンドソーンウェルテッド製法によって仕上げられ、木型は同ブランド定番のもので。日本人の足を長年研究し、膨大な蓄積データの元に作られただけあって、フィット感も歩きやすさも抜群だ。

日本の革靴をネクストレベルに格上げする新鋭ブランド5選

革靴専門のドメスティックブランドが、ここ数年で数を増やしている。彼らに共通しているのは、欧米靴に対する憧憬が控えめで、日本のもの作りへのオマージュを備えながら独自のビジョンで革靴をとらえている点。履き心地はもちろん、デザイン性においてそれはより顕著に表れている。

ブランド1:『オーセンティック シュー&コー』

英国王室御用達ブランドとして知られる『トリッカーズ』でビスポークラインを手がけていた一人が、『オーセンティック シュー&コー』のデザイナー、竹ケ原敏之介氏。素材にこだわりつつ製法は古きよき時代を踏襲。カジュアルラインの『フット ザ コーチャー』同様に、国内外で彼の作る靴はがぜん脚光を浴び続けている。

『オーセンティック シュー&コー』については、補足としてこんな情報も押さえていただきたい。革靴の聖地として知られるノーザンプトンには、世界で唯一となる靴の博物館、ノーザンプトン博物館&美術館 がある。2004年に竹ケ原氏が製作した一足は、ヨーロッパやアメリカの靴を除けば初めて同博物館に永久保存として収蔵。その事実からも、世界からすでに認められていることが分かる。

ブランド2:『スコッチグレイン』

東京都墨田区に居を構える本格派。革の選定から厳しい目を向け、質の高いものを見極めながら使用している。また、“上質な革を使っても足に合わなければいい靴とはいえない”との考えから、コンマ数ミリ単位で削り出している木型は抜群のフィット感を誘発。さらにグッドイヤー製法で仕上げられた一足は永遠の相棒になりうる存在。雨天でも履ける高級紳士靴のシャインオアレインは、デザイン性と機能性を完備した靴として有名だ。

ブランド3:『三陽山長』

2001年にスタートした三陽山長の一足が伝えるもの、それは“技”、“匠”、“粋”といった和の精神。着手するのは、キャリア50年以上の達人たちだ。彼らが生み出してきた靴はのべ数万足。そこから導き出された最良の木型により、自然な履き心地を誘発する一足が誕生する。そのこだわりは裏側にまでおよび、妥協は一切ない。写真の友二郎のように、モデルごとに日本人の名前がつけられている点がユニーク。

ブランド4:『ヨシハルハセガワ』

デザイナーの長谷川良治氏は、シューズクリエイター、ジョン・ムーアの意志を継承するロンドンのショップ兼工房で修業し、ジミー・チュウなどを輩出したロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを卒業するなど、豊富な実績を持つ。彼の革靴は、日本特有の“粋”とさり気ないアレンジのバランスが絶妙で、業界でも高い評価を獲得している。

ブランド5:『ローリング ダブ トリオ』

デザイナー・徳永勝也氏が2003年に設立したブランド。“履き手を思いやる創意工夫がなければ、すばらしい靴は生まれない”とのコンセプトから、機能とデザインの共鳴を念頭に製作。厚手のオリジナルコルクソールはその象徴ともいえる。また、自身の名を冠したドレスラインの『カツノリトクナガ』も、ぜひチェックしておきたい。

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