“伝説の鋼”が囁く、腕時計の本質

“伝説の鋼”が囁く、腕時計の本質

2019.01.20 06:50

ジン(Sinn)
腕時計

腕時計は実用的な道具である以上に、ロマンの塊だ。時刻を知るだけなら、実はスマホで十分。むしろそれ以上の魅力、つまりはブランドの哲学やチャレンジングな姿勢、モノの裏側にある背景や結集された職人技などに心を動かされるのである。こと経験を積んだ大人の男性にとって、それらは単なるファッションアイテムにはない特別な価値を持つはずだ。そんなロマンを追う男たちへ、1本のユニークピースを提案したい。質実剛健を体現するドイツの時計ブランド、『ジン』から放たれた新作だ。

ダマスカス鋼という金属をご存知だろうか。古代インドで開発された鋼で、木目状の模様が特徴。ダマスカス鋼製のナイフはかつて極上の切れ味を誇っていたそうだ。残念ながら現代では製造技術が途絶えてしまい、その全貌は未だ謎に包まれている。文献上で語り継がれ、小説や映画に度々登場するいわば“伝説の鋼”だ。現代では模様の似た金属を「ダマスカス鋼」と呼ぶこともあるが、それらは玉石混合。その点で『ジン』の腕時計に用いられるそれは、最上級の“玉”である。異なる種類のスチールを熟練の職人技で積層鍛造するうえで、柔らかい鋼と硬い鋼を組み合わせて両方の特性を保持。最終段階で表面にエッチングを施し、同じものが1つとして存在しない特有の模様を浮かび上がらせている。しかも、特徴的なビジュアルを際立たせるべく、ケースとダイアルを一体化。裏蓋や尾錠、リューズにも同じ鋼を採用するという徹底ぶりだ。

腕時計であるがゆえ、機能面も当然考慮されている。腐食という弱点を克服すべく、歯科インプラント治療にも使われる2種類のハイグレード・ステンレススチールを原材料に使用。これは『ジン』の長年のパートナーであるドイツの「バルバッハマダスト社」によって作成された耐腐食性の金属だ。さらに表面はテギメント加工によって耐傷性を向上させ、時・分針とインデックスには夜光処理を施すことで視認性も確保。この真面目なモノ作りにも、ファンにはたまらない同ブランドらしさが滲み出ている。ミステリアスなロマンを求めながら、自身を証明する腕時計製作の原点を見失わない。それは、ある意味で男の理想像とも重なる姿ではないだろうか。

Text_Naoki Masuyama

DATA

ホッタ

03-6226-4715

https://sinn-japan.jp/

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