
風を遮り、陽気を運ぶ。ストームシールで颯爽と
暖かかったり、寒かったり。雪と晴れの日が交互に来たり。どうにも調子が狂うこの時季は、着る服にも迷いがちだ。しかしそんなことでは気分もアガらない。花見シーズンくらいまでは風が強くて寒かったりもするし……春が恋しい。と、そんな鬱々とした気分を吹き飛ばすようなコレクションが到来した。手掛けたのは『トラディショナル ウェザーウェア』。ゴム引きコートでお馴染み、英国『マッキントッシュ』のカジュアルブランドだ。
「ストームシール(=嵐を遮る)」と名付けられたこちらのコレクションは、すべてのアイテムに3層構造の特別なマテリアルを使用。表裏の生地を貼り合わせ、その間に透湿防水フィルムが挟み込まれている。これにより、優れた防風&防水性を保ちながら浸透性を確保。つまりは雨風に強く、適度に暖かく、しかも蒸れにくいアイテムに仕上がっているのだ。ちなみにこの3層ボンディング生地のすべての縫い目の裏に防水テープをシーリングする点は、前述のゴム引きコートをなぞらえたアイデア。ブランドの背景を伝える、機能的ディテールと言えよう。
そして何より、色がいい。スパイシーオレンジ、カプリブルー、ブライトグリーン……。聞くだけで気持ちもがアガりそうなカラーリングをまとい、春の陽気を体現している。また、袖口や裾にはカラフルなサテンテープをトッピング。その心地良い配色は、ダークトーンになりがちな冬の装いとは明らかに一線を画している。例えば、オレンジカラー&ビッグシルエットがモダンなバルカラーコート「アールハム」は、袖を折り返すと白いサテンテープがお目見え。同様に、ほかのコートはもちろん、ショートパンツやバッグに至るまで、2トーンのリズミカルなコントラストは徹底されている。
重いアウターを脱ぎ、颯爽と春の街へ繰り出す。そんなときに頼りになる、機能的で見た目も軽やかな「ストームシール」コレクション。今はまだちょっと寒くても、これを着た遠くない未来を想像して、気分をアゲていこうじゃないか。
Text_Naoki Masuyama
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