
あの伝説モデルが復活。アップデートを遂げた腕時計界の革命児
世間は総じて自粛ムード。それでも無性にテンションが上がってしまうのは、ある“伝説”のモデルが蘇ったからだ。独特のルックスと機構から当時、未来への強烈な憧れとチャレンジスピリッツを刺激してくれた「ハミルトン パルサー」シリーズ。アメリカを代表するウォッチメーカー『ハミルトン』が生んだ大傑作である。
超新星爆発後に残る中性子星から名前をとった腕時計は、1970年の5月6日にベールを脱いだ。今から約50年前、当時の価格はクルマ1台分に匹敵する2,100USドルだったにもかかわらず、多くのセレブリティがこぞって買い求めたという。スペーシーかつエレガントなクッション型の18Kイエローゴールドケースに赤いデジタル表示が踊る、世界初のLED式デジタルウォッチ「ハミルトン パルサー P1」。400本限定のレアモデルを手にした幸運な顧客のリストには、あのエルヴィス・プレスリー氏も名を連ねた。
翌年には一般的販売もスタートし、後継機「ハミルトン パルサー P2」がリリースされる。ケースはステンレススチール製に変わって形も丸みを帯びたが、特有の未来感は継承。一方でチップモジュールは改良されるなど、中身のアップデートを果たした。今作は商業的に大成功を収め、キース・リチャーズ氏やエルトン・ジョン氏、さらには当時のアメリカ大統領ジェラルド・フォード氏も愛用。クォーツショックに直面する腕時計界にあって、最先端のデザインで希望を見出したのだ。
そして半世紀の時を経て、2020年。このたび発表された誕生50周年記念の復刻版「ハミルトン PSR」は、「ハミルトン パルサー P2」をデザインベースとする。アイコニックなクッションケースは、サイズも当時と同一。一方で風防はルビーからサファイアクリスタルへと変わり、時刻表示も大きく進化した。液晶ディスプレイと有機ELテクノロジーを組み合わせたハイブリッドディスプレイを採用し、常時点灯とボタン操作によるLED発光を実現。バックライトを使わないことで、エネルギー消費量の抑制にも成功している。
カラーはシルバーとのゴールド2色をご用意。後者のイエローゴールドPVD加工がされたモデルは1970本限定のため、争奪戦は必至だろう。なお、4月下旬より『ハミルトン』オンラインストアと『ビームス』にて先行予約を開始し、5月から全国販売が行われる予定。その頃までに、世の中が気軽に街へと出かけられる状況になっていることを祈りたい。
Text_Naoki Masuyama

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