ハイテク素材と洗練シルエットの融合。北欧生まれ、ウーバーの新作を今季の勝負アウターに
そろそろ冷え込みが厳しくなってくる一方で、周囲とのカブりを理由に今年の勝負アウターがまだ決まらないという人も少なからずいるのでは? であれば、『ウーバー(UBR)』の名前を覚えておいてほしい。2009年にノルウェーで誕生した同ブランドは、アウトドアスペックのハイテク素材とテーラードウェアを思わせる洗練されたシルエットの高次元な融合が最大の強み。欧米諸国の洒落者の間で大ヒットした後、日本においても有力セレクトショップでの取り扱いを増やしながら、着実に支持を拡大している。
日本上陸11シーズン目となる今季の注目株は「レギュレーター ダウンジャケット」と「ボルト ジャケットXP」。いずれも北欧仕込みの高い防寒性とエレガントな見た目を兼ね備えた、ブランドの真骨頂といえるモデル。大人の理想を具現化したこれらのダウンジャケットは、この冬の勝負アウターとなること請け合いだ。
まず「レギュレーター ダウンジャケット」は、国内でのブランド認知を広めた日本限定モデル。レギュレーターとは表地に使われた4WAYストレッチ素材のことで、抜群の動きやすさを確保するだけでなく耐水圧20,000mm、透湿度20,000g/24hという防水透湿機能は、本格アウトドアブランドのシェルに引けを取らないスペックを誇る。さらに800フィルパワーの上質ダウンを使用しており、冬場の登山にも対応できる高い保温性もポイント。『ウーバー』の強みであるすっきりとしたシルエットは、ホワイトヒートと名付けられた独自のダウンパッキングシステムの恩恵。裏地側に膨らみを持たせることで表地側のボリュームを抑えるもので、ダウンウェア特有のモコモコ感を大幅に抑えることができる。
デザイン面では両胸から裾へと伸びる縦長のジップポケットが象徴的。内部は上下にセパレートされており、スマホや財布などを整理して収納可能だ。右の袖口や左肩にデザインされたドットには、暗い夜道でライトを反射するリフレクターとしての役割も。こうした機能とデザインを融合させたディテールも『ウーバー』の十八番。今シーズン登場した2021年モデルは、ジップが水の浸入を防ぐ止水ジップに変更され、身幅と肩幅がやや広くゆったりとした今どきシルエットにアップデートされている。
2021年の勝負アウター、もう1つの有力候補は上記モデルと人気を二分する「ボルト ジャケット」だ。2021年モデルとなる「ボルト ジャケット XP」の表地には、しなやかでなめらかな質感を持ちながら、耐水圧20,000mm、透湿度20,000g/24h を実現した4WAYストレッチシェル、レギュレーターIIを採用。中綿は800フィルパワーでもちろん保温性に抜かりなし。そしてこのモデルの最大の特徴は、超音波圧着によるシームレス構造だ。縫製に糸を使わず超音波による圧着を駆使する技法で、ダウン抜けを防ぐほか、耐水性を高めたり着心地をソフトにしたりする効果も期待できる。また、脇下部分にかさばらないハイテク中綿のプリマロフトを使うことで、サイドの膨らみが抑えられている点も特筆すべきポイントだ。デザインは「レギュレーター ダウンジャケット」以上にシンプルな印象だが、着脱できる立体的なフードや内側にポーラテックフリースが貼られたハンドウォーマーなど、防寒性を高めるディテールが随所にちりばめられている。
ブランドコンセプトである“アウトドアテクノロジー+シティテーラーリング”を体現する「レギュレーター ダウンジャケット」と「ボルト ジャケットXP」。価格は前者が6万円台後半、後者が7万円台後半(いずれも税込)と、上記スペックとデザインを考えれば、お買い得といっていいだろう。悩ましい点があるとするなら、どちらを選ぶべきか……という点くらいか。
Text_Ryota Osujo
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