
最新ムーブ搭載のレギュラーモデルが初登場。“白樺”ウォッチに見るグランドセイコーの新境地とは
最近、『グランドセイコー』の勢いがすごすぎる! というのは、世界の腕時計業界関係者やウォッチマニアのまぎれもない共通認識。その理由は、同ブランドが立て続けに発表したムーブメントにあります。2020年には本場スイスブランドを追い越したとも称された「キャリバー9SA5」をリリース、2021年にはそれを搭載した白樺林モチーフのレギュラーモデルを発売し、世界の腕時計ファンを熱狂させたのは記憶に新しいところです。この「キャリバー9SA5」は、毎時3万6,000振動というハイビートムーブメントでありながら(現在主流の機械式は毎時2万8,800振動)、高効率な脱新機や2つのゼンマイを搭載することで約80時間ものパワーリザーブを実現した衝撃的なスペックでした。しかしこれほど腕時計ファンをざわつかせているのは、「キャリバー9SA5」並みのインパクトを持つ「キャリバー9RA5」ならびに「キャリバー9RA2」という超絶ムーブを2020年、2021年と立て続けにリリースしたから。そして、今年の2月ついに最新の「キャリバー9RA2」を搭載したレギュラーモデル「SLGA009」が発売されることが決定。しかも、昨年人気を博した白樺林のモチーフを継承し、性能だけではなく美しさも折り紙付きのモデルとなっているのです。
新モデル「SLGA009」は、前述したように最新ムーブメント「キャリバー9RA2」を搭載しているのが最大のトピック。限定モデルでは昨年発表されていたものの、レギュラーモデルでの採用はこちらが初となります。「キャリバー9RA2」に使用される『セイコー』独自の機構「スプリングドライブ」は、動力源に昔ながらのゼンマイを使いながら、時刻の精度を司るのはクォーツ式という驚きのハイブリッド仕様が特徴。「キャリバー9RA2」では、サイズの異なる大小2つのゼンマイを搭載することで約120時間の駆動が可能になり、通常の機械式時計なら日差±10秒程度でも高精度とみなされているところ、月差で平均±10秒という超高精度を実現しています。それでいながら部品の配置を見直すことで、旧キャリバーより薄型化しているというのも驚きです。
「SLGA009」のもう1つのトピックが、新しいデザイン性です。『グランドセイコー』といえば、1967年に制定された「セイコースタイル」と呼ばれる独自のデザインコードがあまりにも有名ですが、その「セイコースタイル」が2020年に「エボリューション9スタイル」としてアップデートを果たしました。新文法は、日本の美意識を落とし込んだ筋目と鏡面からなるデザイン手法をはじめ、視認性や着け心地を向上させるディテールについても定めた全9つのルールによって構成されています。今後新たに「エボリューション9 コレクション」と“シリーズ”から“コレクション”に昇格して展開が決まったことでも話題をさらいました。新作「SLGA009」はこの「エボリューション9 コレクション」スタートの契機となったモデルで、雪深い信州の白樺林を文字盤の型打模様で表現しながら、幅広の12時インデックスや多面カットを施した時分針など新しいスタイルの魅力が満載。さらにムーブメントには厳寒期の信州で見られる霧氷をイメージした「信州霧氷仕上げ」が施されており、レギュラーモデルでありながらまるで一点ものの工芸品のような存在感を醸し出しています。
世界最高峰の技術と日本ならではの美しさを秘めた新世代モデル「SLGA009」は2月11日(金)発売。近年目覚ましいアップデートを見せている『グランドセイコー』の動向を事前におさらいしたうえで、そのすごさをじっくりと味わってみてください。
Text_Fumihiro Natsume

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