物選びと着こなしが物語る!デキる男の春コーデ7days
デキる男には、おのずと周囲からの視線も集まる。違いを生む理由は、時代を感じるセンスと変わらないこだわり。その真相に迫るべく、ある男の1週間を追いかける。
デキる男は仕事も遊びも“おしゃれ”も抜かりがない
洋服選びや着こなしの第一印象は人間関係の突破口になる、言わば名刺代わり。そのあたりを重々承知している彼らは確固たるこだわりを持ちながらも、古めかしく見せないトレンドを加味した遊びを散りばめる。ある一人の1週間を見れば、おのずとそのことを理解できるだろう。
センスは細部に宿る。あるカメラマンのある日常
「時代に振り回されないこと」と自身のスタンスを語る彼は、さまざまなファッション誌、カタログ、コレクションなどで腕を振るうカメラマン。昔は流行モノにも飛びついていたクチだが、今ではベーシックで良質な物を好み、温故知新にも目がない。その絶妙なサジ加減は、さまざまな経験をして不惑を迎えたからこそ。ここでは、そんな彼の1週間を追う。
day1
週のはじめは、ビタミンカラーのニットで気分を上げる
週のはじめは誰もが憂鬱になるもの。しかし彼の場合、その面影はない。理由は明快。トップに合わせた発色の良いビタミンカラーのニットのおかげだ。ワッフル編みのそれは、内側の暖気を包み込み、外に逃がさないから寒暖の差が気になる春先にもいい。デキる男は、気分の上げ方をよく心得ている。
着用アイテムはコレ
ワッフル編みニット
コーディネートを選ばないオールマイティーなニットは重宝する。こちらはその典型で、モデル着用のイエロー以外にブラックやネイビーなど全5色で展開している。ウールでなくコットン素材なので、ピーリングも起きにくい。その扱いやすいさも、実はうれしかったりする。
day2
クライアントとの撮影打ち合わせは、セットアップの上品な着こなしがルール
懇意にしてもらっている編集から相談された仕事は、セレクトショップ『アーバンリサーチ ロッソ』のカタログ撮影。今日はその打ち合わせをしつつ、撮影当日のスタジオをチェック。350日はカジュアルなスタイルだが、この日ばかりはセットアップできっちりと。とはいえ、堅苦しいイメージは性分ではないため、内側は白Tシャツ、足元は同色のスニーカーで少しハズした。このハズしのセンスもデキる男のテクニック。
着用アイテムはコレ
2ボタンテーラードジャケット
ビジネスやオケージョンなど、多彩なシーンで重宝するベーシックなテーラードジャケット。しかし、素材はストレッチ入りで着心地も軽やか。そのため週末でも主役として活躍する。すっきりとしたウエストラインも、スタイリッシュな大人を演じる格好のディテール。
着用アイテムはコレ
タック入りパンツ
上記のテーラードジャケットと合わせればきっちりとした印象のセットアップに。ジャケット同様、ストレッチの効いた軽やかな生地ははき心地も良く、タック入りでレングスに程良くテーパードを効かせたきれいなシルエット。腰部分にゴムを加えたことでノーベルトでもはけ、ストレスを感じない機能的な一面も見せる。
day3
パーカーにTシャツ。ラフな着こなしは美シルエットなジーンズで差をつける
仕事の準備はことさら重視する。それも敬愛するフォードモーター創業者、ヘンリー・フォードの「成功の秘訣は何よりもまず準備すること」の言葉にのっとってのこと。撮影用のプロップを借りに、渡米時の友人が運営するアンティークショップへ。そんなときは決まって脱着の楽なパーカー。そこへ、美ジーンズを合わせればラフにもなり過ぎない。
着用アイテムはコレ
『リー』別注スキニージーンズ
『リー』でもすでに定番化しているスキニージーンズを、“エアロタッシュ”生地で仕上げた別注品。“エアロタッシュ”とは、ポリエステル生地に特殊な縮れ加工を加えたもの。吸水性、速乾性、冷感性に優れているため、夏場は避けがちなジーンズもストレスを感じることなくはける。
day4
スタジオ撮影は軽快なモッズコートで、写真もコーデも旬を意識
撮影初日の朝は、肌寒さを感じたこともあり軽めのアウターを羽織った。モノトーンで合わせて、スタイリッシュに仕上げるのが自分なりのこだわり。トレンド物も着こなしで自分らしさをプラスして、いざスタジオへ。現場スタッフからのおだての声に、着用したまま撮影スタート。このわかりやすい性格、我ながら笑ってしまう。
着用アイテムはコレ
コットンナイロンモッズコート
ウエストや裾のドローコードやチンストラップなど、モッズコート特有の本格ディテールを落とし込みながらもコットンナイロン生地により着用感は実にライト。トレンドでもあるゆったりめのシルエットで、フードは着脱も可能。機能面も兼ね備え、幅広いコーディネートが楽しめる。
day5
スタジオ2日目は、1枚で様になるインディゴニットに惹かれる
三十路を過ぎたあたりからよく着るようになったのがニット。品良く見えるが、リラックスして着られるのがいい。若いときからジーンズをワードローブに欠かしたことのない彼にとって、インディゴブルーで先染めした糸を使用したこの1着との出会いはまさに渡りに船。インディゴブルーのカラーで、昨日の撮影による疲労を感じさせない表情に。お気に入りのカラーでテンションを上げ、撮影最終日に挑む。
着用アイテムはコレ
インディゴワッフル編みニット
インディゴブルーに染めた糸を使いワッフル編みで仕上げた長く愛せるニットは、シルエットが美しく1枚で着ても様になる。ふっくらとしたタッチや、肩周りの自由を確保するラグランスリーブ仕様によりリラックスして着られるのもいい。染色特有の、時を経るごとに徐々に現れる味のある表情も楽しみたい。
day6
撮影翌日は、気分をリフレッシュさせるピンク色のシャツが着たくなる
張り詰めていた気持ちを解きほぐすため、翌日のスタイリングは極力シンプルで楽にしようと決めている。だからトップスはボタンダウンシャツ1枚に抑え、ボトムスは定番の濃紺ジーンズで。ただ、いい大人となった今、肩の力は抜いても気は抜かないのが信条。そこで春らしいペールピンクの1枚に袖を通す。この遊びが大切なんだ。
オックスフォードB.Dシャツ
ベーシックでコーディネートの振り幅が広いボタンダウンシャツ。しっかりと生地の厚みがありながら、ワンウォッシュ加工を施しているため、袖を通したときから体へなじんでくれる。お手頃なプライスも魅力で、グリーンやブルーなど6色の幅広いカラー展開に選ぶ楽しみもある。
day7
スウィングトップとジーンズ。永遠の定番コンビがやっぱり落ち着く
時間が空いたときはだいたい外へ出る。リラックスする意味合いもあるが、たいていはロケーション探しで終わるケースが多い。今日は、以前の移動中に気になった場所へ。動きやすさを考えて、アウターはシャリ感のあるスウィングトップを選ぶ。そこへ色が落ちたジーンズを合わせて渋さを加えれば、昔から変わらない定番の休日スタイルが完成する。
スウィングトップ
世の大人たちの大半が通ってきた往年のスウィングトップをすっきりとモダナイズした、クセのないデザインがポイントのこちら。シャリ感のあるスポーティな趣も今の空気にマッチする。野暮ったさを感じないのは、コンパクトに仕上げたシルエットのおかげ。
結論、デキる男は中身だけでなく、身だしなみもパーフェクトだった
人は中身というが、デキる男は外見もスキがない。経験によって磨き上げられた自分の確固たるスタイルを持ち、見栄えを風化させない遊び心がある。だからこそ、ベーシックなアイテムであってもこなれて見えるのだ。彼の1週間スタイルがそれを端的に物語っている。