GショックとおしゃれVol.5|『テンプラサイクル』オーナー小林健太氏
人気の渦中にある“Gスチール”シリーズに、カーボンを採用したモデルが登場。新たな話題作かつ最注目モデルとして評価される1本の、本当の魅力とは何か。
巷で話題。『Gスチール』から“新顔”が登場
世界中の大人を魅了した質実剛健な1本。その“張本人”こそ、『Gショック』長年の歴史を塗り替えた“Gスチール”シリーズである。
そもそも、同モデルは2015年7月に発表された腕時計。展開当初はメディアへの露出は皆無。しかし、店舗での盛況ぶりや口コミで存在が知れ渡り、現在の盛り上がりにまで発展している。その勢いは『Gショック』の定番である5600系を上回るという。
注目すべきは、人気の渦中で投入された新作。ベースこそGスチールのそれだが、ベゼルがカーボン素材に変更されているのが最大の特徴だ。GST-B100X-1AJFというオールブラックモデルに続き、11月には青のアクセントカラーが洒脱なGST-B100XA-1AJFがお披露目となった。
カーボンとGスチール。『Gショック』史上類を見ない組み合わせではあるが、気になるのはカーボンという素材による恩恵。最新作の魅力を掘り起こすべく訪ねたのは、小林 健太氏。学芸大学駅からほど近くにある自転車屋『テンプラサイクル』のオーナーとして、自転車のフレームやパーツなどに親しんできた人物だ。
カーボンを知り尽くした人に聞く、「カーボンのココがスゴい」
自転車を構成する各パーツの素材を熟知し、来訪客や自身が納得するまでカスタムするのが小林氏の日常。ホイールやフレームの素材として日々触れるカーボンと、往年の定番である『Gショック』とのコラボレーションには興味が尽きないと、笑顔をのぞかせる。
現在43歳の小林氏が『Gショック』に触れたのは中学生時代のこと。すでに廃盤となったDW-6000GJ-1を購入し、10数年愛用していたという。驚かされたのが、樹脂で覆われたケースを外していたというエピソード。「どんなモノでもアレンジするのが好きなんです。自他ともに認める“変態”というキャラクターが、僕の個性ですね」と話す小林氏は、次のように話を続けた。
「『Gショック』は今の30代、40代の男性が若かりしころに憧れたアイテムの1つですよね。当然のように私もタフで男らしい見た目に惹かれましたし、実際に使い勝手も良かった。当時はストップウォッチを必要とするシーンがなかったのですが、それでも無意味にボタンを押していました。でも、すぐに悪いクセというかアレンジしたくなっちゃって。ケースをバコっと外してみたんですよ。他にそんなことをする人がいなかったから、かえって愛着がわきました」
使い倒した1本の思い出から、話題は最新作であるカーボン製のGスチールへとシフト。そもそも、カーボンとは何かを同氏にたずねた。
「ぜいたくな素材である、ということがまず頭に浮かびました。というのも、カーボンというのは航空宇宙用途で用いられるモノで、素材の特徴として軽く、成形しやすく、さらに衝撃に強い。ただし、万能さがゆえに高額であることもカーボンには付きもの。私が昔試乗したフルカーボン製の自転車は100万円を超えるほどしました。それでも、軽さと耐衝撃性はほかの素材では味わえない体験でしたね。悪路で試乗したのですが、ハンドルを握る手に負荷がかからなかったことに驚きました」
ホイールやフレームにカーボンが採用されることは少なくない。とはいえ、その用途は限られるそう。
「街乗りであれば、カーボンは必要ないというのが個人的な見解です。しかし、競技ともなれば話は別。世界レベルの数秒を競う大会では、より軽量化された相棒が求められます。ホイールの形状に関しても、より空気抵抗が少ないデザインが好ましいんです。だからこそカーボンで成形された、空気抵抗が少ないホイールが採用されています。あとはカーボン自体が、単純に男心をくすぐるビジュアルですよね。一目見て素材がわかるだけに、カーボン製のモノを見ると私はついつい反応しちゃいます」
その道に明るい小林氏は「見てすぐに良さがわかる」とカーボン製のGスチール・GST-B100XA-1AJFを手に取った。
「数十年前に『Gショック』を愛用していた時代とは、また違う感動がありますよね。見た目のかっこよさはもちろんですが、何よりも軽い。インパクトのあるデザインなので重さに難があると思っていたのですが、むしろ装着感がないんですよ。あとは、どれだけ走っていてもカーボンならではの耐久性に安心感を覚えます。これがアンダー10万円というのは、本当にぜいたくな話だなと感心しました」
感度が高い大人だからこそ選びたい。カーボン製の『Gスチール』
Gスチールの最新作に確かな手応えがあったと語る小林氏は、難なく日常着へと取り入れる。
「街で自転車に乗るときは“自転車乗りらしくない”ファッションを心掛けています」。そんな小林氏の着こなしは、ジーンズがメイン。とはいえ、動きを邪魔しない細身をセレクト。トップスにはシャンブレーシャツの上にスウィングトップを羽織り、機動性を確保。
ハンドルを握る腕元にも、GST-B100XA-1AJFの存在感が光る。同モデルで採用されているTORAYCA(R)という高性能炭素繊維だからこそのクラス感に、小林氏は感動を覚えるという。
「スマホ時代にあって、それでも日常的に身につけたい腕時計」と賛辞を呈する小林氏。ビジュアル面においては言わずもがな、Bluetooth(R)通信によるスマホとの連動性にも満足しているよう。また、Gスチールならではの視認性にも言及。「こだわりが詰まったデザインでありながら、肝心の文字盤がベーシックであることがうれしいですよね。ライド中はもちろん、仕事でも“見やすい”ことはやっぱり譲れませんから」
『Gスチール』の真骨頂。カーボンモデルこそベストバイ
「大人の『Gショック』」。Gスチールが語られる切り口に、間違いはない。ただし、GST-B100XA-1AJFには言葉不足。カーボンならではの価値を知る人間にこそ共有できる感動は「感度が高い大人の『Gショック』」として、新たな潮流となるだろう。軽く、耐久性があり、何よりも高値の価値がある。そんな特性に納得しつつ、小林氏は最後に笑顔で同モデルの将来を話してくれた。
「樹脂製のモデルとは違い、経年変化が起こりにくいため、長く愛用できるでしょう。でも、だからこそガシガシ使いたい。たとえ傷が付いても、そこに自分らしい味が出るのかなと。タフだからこそあえて自分らしい傷を残したい。それが本音ですね」
Photo_Keiichi Ito