
3針かクロノグラフか。モノクロームの時計が大人の感性を研ぎ澄ます
万能な1本をすでに手にしているからこそ、2本目3本目の腕時計選びではさりげない遊びが肝要となる。悪目立ちせず、美学も宿す。そんな腕時計が、LAブランドにあった。
大人ならではのひとひねり。モノクロームの洗練を実感する
腕時計の嗜好品化が進んでいる。その裏には正確無比に時刻を示すスマートフォンの台頭があるが、だからこそ手間のかかる機械式やカラーウォッチなど遊びのある1本が求められるようになってきた。特にカラーウォッチはネイビー人気も一旦落ち着き、グリーンやゴールドなど主張の強いモデルが次々とリリースされている。だが、その流行を素直に受け入れるばかりが賢い買い物ではない。年齢を重ねると、そこにも自分なりのひねりが必要になる。では、今大人が選ぶべき腕時計とは何か。その答えの1つがあえての無色彩、“モノクローム”だ。
温かみを排除した無機質なグレーやブラックのワントーン。黒から白への明暗のみで表現した写真をモノクロ写真というが、色がないからこそ被写体のシルエットやモノの質感が浮き彫りになってくる。腕時計においては、これまで気が付かなかった文字盤上の凹凸やケースのカッティングなど細かい箇所にも“気づき”が生まれ、より豊かな気持ちで腕に巻いた1本と向き合うことができる。
今回紹介するのは、色彩においてもデザインにおいてもミニマルで都会的な腕時計を得意とするLAブランド『MVMT(ムーブメント)』の新作群。シンプルな3針とクロノグラフの2軸で表現された、洗練のモノクロームウォッチをチェックしていこう。
マットな黒&グレーが、ミニマルな3針モデルに緊張感を与える
「ライズ」は、これまで日本ではクロノグラフ中心で展開していた『MVMT』にとって初なる3針モデル。文字盤上に創業の地である“LOS ANGELS”の名が鎮座した、今後ブランドの顔となりえる非常にオーセンティックな1本だ。この記念すべきモデルを、同ブランドは潔くグレーとマットブラックの2色に染め分けてリリースした。
日本人の細腕にも馴染み良い39mmのミニマルなケースの中には、ミニッツトラックやブランドロゴを同色のエンボスで配置。前述の通り、潔いモノクロームのワントーン配色がこれらも立派なディテールとして浮き上がらせる。細く鋭い時分針やエッジの効いたベゼルも相まって、緊張感のある顔立ちに仕上がった。
グレーのモデルにはシックさを強調する肉厚なカーフストラップを、ブラックのモデルにはケースと同素材のスポーティな5連ブレスを装備。ブラックのモデルではあえてブルーの秒針を採用しているが、これがよりブラックの静謐さを深めているから面白い。色や素材により雰囲気を異なるものとした2本だが、『MVMT』の得意とする都会的な空気は変わらずに纏っている。
ソリッドなグレーが、クロノグラフモデルを都会顔に昇華する
クロノグラフ機構を搭載した1本は、そのメカニカルさからいつの世も男心をくすぐる腕時計の筆頭候補だ。積算系が加わる分特徴的な顔立ちとなるため、インダイヤルと文字盤の配色を分けてデザインの1つとするブランドも多い。しかし、『MVMT』が新作「クロノ モノクローム」で選択したのはワントーンダイヤル。インダイヤルに合わせて凹凸を設け、マットな文字盤に対し光を放射状に反射するサンレイ仕上げを施すことでさりげない装飾性と視認性も確保した。見た目に重たくなりがちなクロノグラフをここまでシャープにまとめあげるデザイン力には、流石の一言だ。
ベースとなった「クロノ」は、ここ日本でも2018年の初上陸時より変わらぬ人気を誇るアイコニックなモデル。白黒はっきりしたアクティブなテイストを得意とする同モデルだが、「クロノ モノクローム」ではストラップに至るまですべてをグレー一色で表現している。サンドブラスト加工を施したマットなケースが、全体を品良くまとめあげているのも高ポイントだ。サイズは40mm径(左)、45mm径(右)の2種類を用意。主張を控えた顔立ちだからこそ、普段大ぶりに感じてしまう45mm径で冒険してみるのもいいだろう。
『MVMT』の腕時計が、腕元から大人のこだわりを映し出す
見慣れたはずの3針モデルやクロノグラフモデルも、確固たるコンセプトと優れたデザインによりいつもと異なる顔を見せてくれる。このたび『MVMT』が示してくれた2型は、その良い例だ。モノとしての美しさだけでなく、腕に巻けば着こなしもグッと大人びるし、何より持ち主のセンスを色濃く映し出してくれる。どちらのモデルを選ぶにせよ、周囲と差のつく遊びの1本としてまず間違いはないだろう。
なお、オンタイム川崎ロフト店とmoveアトレ吉祥寺店では10月初旬より『MVMT』のフェアも実施される。上記モデルのみならず同ブランドの人気モデルが一堂に会する良い機会だ。実際に腕に乗せ比べてみて、検討してみてほしい。