
Gショックとおしゃれ Vol.8|アーバンリサーチ中山氏&ナノ・ユニバース和田氏
『Gショック』は「DW-5000」に始まり、後継の5600系で絶対的地位を確立。その名作が洗練を纏い、新たに登場する。同じ時を紡いできた業界人は、その姿に何を感じるか。
強さに独創を。『Gショック』 の進化は止まらない
数多くのヒット作で知られる『Gショック』だが、発端はやはりオリジンの系譜を継ぐ5600系。1983年の誕生以降、多くのブランドやショップとのコラボレーションを実現し、なかには伝説化するほどの希少性から市場価格が高騰したモデルもある。当時を知り、今なお保有している大人たちが存在していることからも、同作の偉大さは推して知るべしだろう。そして今季、研ぎ澄まされたファッション性を携えた新たな5600系が登場する。
進化を続ける、正統派タフネス。新定番は、ここが違う
紹介するのは「GM-5600」。従来の『Gショック』同様に落としても壊れない屈強さだったり、20気圧防水だったりと、ハイレベルなタフネスを誇る。ただし、樹脂製ではなくフェイスがメタルになっている点が従来とは異なる。
メタルフェイスに樹脂製バンド。この異素材のコンビネーションこそ、これまでの印象をガラリと変えた要因。しかも、フロントのベゼル部は光の当たり具合により見た目に変化を生むヘアライン仕上げ、側面は輝きを放つミラー仕上げという実に手の込んだ仕様だ。過度な輝きではなく、さりげない光沢感は大人の腕元にふさわしい質感といえるだろう。
トレンドセッターに聞く、新定番の印象と着こなし方
“新たな5600系”の魅力を掘り下げるべく話を聞いたのは、『アーバンリサーチ』の中山慶人氏と『ナノ・ユニバース』の和田 隼氏。のちにヒット作と呼ばれる数々のアイテムをメディアで長年発信してきた、業界きっての敏腕プレス陣である。彼らもまた1983年生まれ。37年目のモデルチェンジを、同じ時を過ごしてきた彼らはどのように見て、感じたのか。
▼そのタフな見た目に、惹かれずにはいられなかった
『Gショック』の持ち味といえば、やはり耐久性や多彩な機能が挙げられる。中山氏もその意見に賛同するが、当初は別なところに魅力を感じていたそう。
中山氏(以降、中山):「最初はやっぱりファッション目線でしたよね。機能面というより、タフなルックスに惹かれました。洋服ブランドから出る腕時計はわりと華奢だったので、『Gショック』の男らしさは余計際立って見えたんです」。
ファッションやカルチャーをきっかけに『Gショック』の門をくぐった中山氏にとって、今回の新型は意外にもすんなり受け入れられたという。
中山:「確かに初見は新鮮に見えますよね。『Gショック』は樹脂製のイメージが強いですから。ただ、今はどんどん腕時計もアクセ化している。だとすると、シルバー製のブレスやバングルを着ける感覚に近いかもしれません。腕時計だって以前からメタル製は存在していますし、それを考えると新鮮ではありますが奇をてらった印象はありませんね」。
▼単純にかっこいい。誰もがそう思うはず
「僕も『Gショック』はファッションやカルチャーとして捉えていたクチ」とは和田氏。それを表す90年代のある事例を口にする。
和田氏(以降、和田):「通常モデルでもかっこいいのに、そこへさらにコラボや限定で無二の付加価値が付く。だからほとんどが即完で、コレクターもたくさんいました。今では考えられない金額でトレーディングされていましたしね」。
『Gショック』の歴史とともに時代を過ごしてきた和田氏は、あらゆる世代に響きそうと新型に対して好意を寄せる。
和田:「昔の面影が残っているので背景を知っている大人たちには当然響くでしょう。かたや、大人っぽいスタイルを目指す今の若い子にとっても、“シックなカジュアルウォッチ”はすんなり受け入れられると思います」。
和田氏は、幅の広がりは世代だけでなく着こなしにもいえると続ける。「こちらを見たときに、カジュアルスタイルにも当然合うけれど、セットアップに合わせるイメージも湧いたんです。通常のメタル時計だったらビジネスなどのかしこまったスタイルに合わせるイメージですが、振り幅の広さも一般的なメタル時計とは一線を画すのかなと思います」。
▼俺たちだけじゃない。若い世代にとっても新鮮に映る
和田:「『Gショック』は、トイ感というかある種のチープ感がありましたよね。それが僕らの若い頃だと魅力だったりしたわけですけど、最近の子は大人っぽかったり、エレガントだったり、ミニマルだったり、そういった方向へ目線が行っているような気もします。そうなると、やはりこれはドンズバなのかもしれません」。
中山:「確かにそれはありますね。『Gショック』は、お店でも90年代リバイバルの影響もあってか、トレンドの一環として購入する若い子は多いようです。90年代に一世を風靡したブランドですから、オール樹脂のモデルは彼らにとってはレトロに見えるでしょうね。それを考えると、今回のモデルはどことなく高級感があるしスタイリッシュ。若い子にとっては今っぽく映るかもしれません」。
▼どんなテイストにもハマる懐の深さがある
新型を目にし、着こなしの幅を広げる大人然としたルックスを魅力の一端に挙げた両氏。では、彼らはこのモデルを手に取りながらどのようなスタイリングを目論むのか。各々好きなカラーを手に取りながら表現した着こなしを紹介したい。
和田氏が手にしたのはシルバーフェイスとブラックバンドのコンビ。「パーカーやスウェットシャツなど、カジュアルに振り切ったスタイルに着けても違和感はないですけど」と前置きしつつ、今回はシックな着こなしに添えた。
和田:「ジャケットやスラックスに合わせながら、ドレスダウンさせるイメージで合わせました」。
▲着用アイテム
コート 128,000円/パルト、シャツ 30,000円/リングヂャケット×ナノ ライブラリー、カットソー 4,200円/ナノ・ユニバース、パンツ 28,000円/ジャブス アルキヴィオ×ナノ・ユニバース、シューズ 23,000円/クラークス(すべてナノ・ユニバース カスタマーサービス)TEL:0120-705-088
かたや中山氏は、オールブラックのモダンな1本をチョイス。以前のモデルはカジュアル限定な印象を抱いていたが、今回はコートにシャツを絡めたスタイルに合わせた。
中山:「クラシカルなスタイルのハズしにいいかもしれません。洋服の合わせが大人しくなりがちなご時世ですから、起爆剤にいいかもしれませんね」。
▲着用アイテム
コート/アーバンリサーチ ドアーズ×ペンドルトン 28,000円(アーバンリサーチ ドアーズ マルイ吉祥寺店)TEL:0422-24-9889、シャツ/フリーマンズ スポーティング クラブ×インディビジュアライズドシャツ 24,000円(フリーマンズ スポーティング クラブ ギンザシックス店)TEL:03-6263-9924
タフで、モダン。これが次世代の定番だ
『Gショック』の恩恵を受けてきた我々からすると、メタルを纏った“大人な5600系”は新鮮かつ魅力的に映る一方で、若者たちからも洗練されたカジュアルウォッチとして支持されるポテンシャルを秘める。幅広い世代に刺さるタフでモダンな1本は、今後『Gショック』の新定番として君臨するに違いない。
Photo_Katsunori Suzuki
Text_Ryo Kikuchi
cooperation_nano universe press room