
この夏、腕に巻くべきは都市型ダイバーズ。老舗ロンジンのアップデートモデルがその答えとなる
巷に溢れるダイバーズウォッチ。どんな一本を選ぶべきか悩みどころですが、大人にとって間違いない答えが老舗ウォッチメーカーの“進化系ダイバーズ”にありました。
街に溢れるダイバーズ。少しこなれて見せるなら、老舗の進化モデルを検討したい
シャツ29,000円/アンバー(スタジオ ファブワーク TEL:03-6438-9575)、その他スタイリスト私物
着こなしがライトになる暑い季節。大人のコーディネートに説得力をもたらすなら、ダイバーズに範をとった腕時計ほどの適役はないでしょう。存在感のある見た目は軽装に映え、海由来の機能性が夏らしいアクティブマインドを刺激します。ゆえに、夏に向けてさまざまなブランドから多くのアイテムがリリースされているのです。
ではこの夏、何をどう選ぶべきか。指針の1つとなるのが、ずばり“進化系ダイバーズ”です。その具体的な条件は3つ。〈1〉ダイバーズウォッチの歴史において実績のあるブランドが手掛けていること、〈2〉海に潜る機会が少ない我々の主戦場である“都市”での生活において必要十分なスペックを有していること、〈3〉そして現在のトレンドに合致したアレンジが加えられていること、です。例えば上の写真で巻いている、『ロンジン』より2021年にリリースされた鮮烈なグラデーションの一本などはそれらの条件を高次元でクリアした大本命ともいえる腕時計でした。
1832年創業の『ロンジン』は、大御所なみいるスイスのウォッチメーカーにおいても最古参の部類。信頼性の高さは言わずもがな、長い歴史において海や空といった未開の領域を開拓してきたパイオニアとしての評価も特筆に値するものです。
そんなブランドが手掛ける“進化系ダイバーズ”は、経験を重ねた大人がこれからの冒険をともにする相棒として、まさしくうってつけの存在。日常生活において持て余してしまうようなオーバースペックに陥らず、その顔立ちにはひとさじのモダンなアレンジが加えられています。そうした出で立ちに説得力を与えるブランドの歴史を踏まえつつ、注目すべきニューモデルの価値を探っていきましょう。
数あるブランドから、『ロンジン』の“進化系ダイバーズ”を選ぶべき理由とは
ここからは、『ロンジン』の歴史を読み解いていきましょう。早くから未知の領域への冒険心を滾らせていた老舗は、1931年に伝説の航空時計「アワーアングルウォッチ」を発表。その6年後には、防水機能付きプッシュボタンを備えた世界初のフライバッククロノグラフで世間を驚かせます。これこそが、『ロンジン』における潜水時計の元祖ともいえる存在でした。
以降、40年代には英国軍にダイバーズウォッチを納め、50年代からは一般ユーザー向けの名作ダイバーズも発表。その流れにあり、1955年にスイスのケースメーカーである「ピケレ」が特許を取得したコンプレッサーケースをいち早く採用していました。当時としては高い防水性能を約束する特殊なケースは、60年代の世界的ダイバーズブームの呼び水ともいうべき存在。多くの名ブランドが、このケースを欲しました。
なお、『ロンジン』には他社にはない強みがありました。同ブランドと「ピケレ」は、50年代から防水ケースを共同開発してきた蜜月関係にあったのです。現在の「ロンジン レジェンドダイバー」にも見られるインナー式回転ベゼルを搭載したスーパーコンプレッサーケースは、59年に『ロンジン』により初めて採用された画期的な機構。単なる仕事相手を超え、パートナー的な立ち位置にあった両者が時計史における防水時計の歴史を大きく進めたことは想像に難くありません。ダイバーズの業界的発展に貢献したケースは、『ロンジン』なくして作りえなかったとも捉えられるのです。そんな背景があるブランドだからこそ、ダイバーズウォッチに範をとった『ロンジン』の「ロンジン レジェンドダイバー」や「ハイドロコンクエスト」などの名品たちは独自の存在感を放ち、凡百のモデルには真似できない“格”を約束してくれるのです。
老舗『ロンジン』から2つの提案。“進化系ダイバーズ”でコーデはグッと大人になる
翻って2022年、夏。今季も、『ロンジン』からは上に挙げたようなバックボーンを宿した“進化系ダイバーズ”がリリースされています。特に注目すべきは「ロンジン レジェンドダイバー」、そして「ハイドロコンクエスト」の2モデル。ともに2007年にオリジナルが誕生し、『ロンジン』のダイバーズ顔ウォッチの行方を決定づけた両巨頭です。それぞれの方向でモダンなアップデートを遂げたのです。
以下、最適化されたスペックだけでなく、夏の装いに与える印象も含めて『ロンジン』が都市向けにチューンナップした新顔を見ていきましょう。
▼スポーティなNATOストラップとグレーグラデーションが、老舗の顔である名品にこなれたムードを宿す
まずは「ロンジン レジェンドダイバー」から見ていきましょう。特徴的な2つのリューズは、そのうちのひとつが時刻調整、もう片方がインナーベゼルを回すためのものとなっています。ダイバーズウォッチにはなくてはならない回転式ベゼルをドーム型風防の中に閉じ込めることで、「ロンジン レジェンドダイバー」のデザインソースとなった1950~60年代のレトロテイストを強調しています。ケースバックは防水性能の高いねじ込み式で、300m防水を実現。夏の海遊びには、十分過ぎるほどのハイスペックです。最大72時間のロングパワーリザーブ、スーパールミノバ(R)が塗布された視認性の高いインデックスもアクティブな気分を高めてくれます。
そしてアップデートの目玉となるのが、都会的な色使いと素材使い。2021年夏からお目見えしたグラデーションダイヤルに今夏はグレーカラーが仲間入りを果たし、同じくグレーカラーのNATOストラップとスマートな共演を果たしました。
実際に着用した腕元を見てみれば、そのモダンな印象が際立ってきます。日焼けしたようなマイルドなグレーグラデーションは、クラシックでありながら同時に夏らしい清涼感もアピール可能。そしてやはり注目したいのは、ミリタリーシーンに由来するNATOストラップの採用でしょう。NATOならではの、男らしくもラフな空気はカジュアルシーンにおいてはこなれ感の演出に役立っています。『ロンジン』が得意とするエレガンスはそのままに、気を張らない自然体の佇まいを獲得。今回のアップデートにより、合わせる服を選ばないレンジの広さをも手にしたといえそうです。
グレーのグラデーションはオールブラックなどのシンプルな着こなしとも抜群の相性を発揮しますが、写真のようにグレーカラーのサマーニットを合わせればより夏らしい軽快な空気を演出できます。NATOストラップの色&素材感とニットをリンクさせれば、大人カジュアルにふさわしい落ち着きと統一感も醸成可能です。ニットの素材に少し光沢感のあるモノをセレクトすれば、腕元の高級感とも共鳴。あとはTASCLAP世代も大好物のリジッドジーンズと白Tをプラスするだけで、肩肘張らない大人のサマーカジュアルが完成するのです。
ちなみに
トレンドを追うあなたは、36mmにサイズダウンした“レジェンドダイバー”も
腕時計330,000円/ロンジン、カーディガン39,600円/ジョン スメドレー(リーミルズ エージェンシー TEL:03-5784-1238)、パンツ29,700円/コノロジカ(ヘムト PR TEL:03-6721-0882)
新作の「ロンジン レジェンドダイバー」には、ケース径42mmのレギュラーモデルのほか、小ぶりな36mm径もラインアップされています。昨今、クラシカルな時計が人気を博すなかで、よりアクセサリー感覚で着用したいならこちらのコンパクトサイズも有力候補となりそうです。カラーはバーガンディ、ブルー、サンドベージュの3色展開。あえてのカラーウォッチも、このサイズなら悪目立ちせず馴染んでくれることでしょう。ブランドとしてはユニセックスサイズに分類していることもあり、パートナーとのシェア使いにも最適です。
▼たった2mmで深まるエレガンス。巧みなサイズダウンが光る「ハイドロコンクエスト」
左:「ハイドロコンクエスト」41mmモデル、右:「ハイドロコンクエスト」39mmモデル
先にご紹介した「ロンジン レジェンドダイバー」とは打って変わり、見るからにダイバーズ然としたマッシブなルックス。タフネスを約束するリューズプロテクター、堅牢なSSのメタルブレスレット、セラミック製の逆回転防止ベゼルをもれなく備えた「ハイドロコンクエスト」は、300m防水を当然のようにクリアする防水時計のお手本ともいえるモデルです。
そんな名品に今季新たに加わったのが、ケース径39mmのサイズダウンモデルです。モデル史上初となる30mm台。これまでの41mm径と並べてみると、たった2mmの違いですがその差は歴然。よりスマートな印象を与えながらも持ち前のハイスペックは当然のように継承している点は、ブランドの技術力の高さを改めて感じさせてくれます。
ねじ込み式のケースバックを採用し、その内部に自社製自動巻きムーブメント「キャリバーL888」を搭載している点は「ロンジン レジェンドダイバー」と同様。ヒゲゼンマイにシリコン素材を使うことで耐久性とともに耐磁性能の向上を図っています。スマホやPCなどの影響を受けにくいムーブメントは、デジモノで溢れかえる現代において心強い存在といえるでしょう。
また、SSブレスレットにも機能的な仕掛けが。海中へのダイビングの際にウェットスーツの上からでも着用しやすいよう、エクステンション機能が付いているのです。そんな本格派のディテールにこそロマンを感じてしまうのは、男性の本能。“水の征服者”の名に違わぬ「ハイドロコンクエスト」の面目躍如ともいえます。
ダウンサイジングによって、よりエレガントな表情を手にした名機。その恩恵は、街でジャケットなどのきれいめアイテムを羽織った際に一層強く感じられます。小ぶりなケースは袖口を邪魔せず、太陽光を受けて輝くサンレイダイヤルが嫌味のない色気を放出。総重量も41mm径に比べて10g以上軽減されており、軽い装着感をもたらします。
軽快なデザインは、この夏の注目ウェアとも相性抜群。素材感の軽いジャケット、とろみのあるパンツなど、ゆらゆらとたなびく薄手生地を使ったアイテムと涼しげなコンビネーションを生み出します。鮮やかなブルーダイヤルの色味を踏まえ、あえて明るいライムグリーンのインナーを合わせるのも効果的な一手。お互いを引き立たせながら、ややお堅い印象のジャケットスタイルを若々しく彩ります。
日本人の感性にマッチする、“小ぶり”&”黒文字盤”の店舗限定キットも見逃せない
ダウンサイジングされた「ハイドロコンクエスト」には、ブルーとブラックという2タイプのダイヤルカラーが存在します。ですが、実はもう一点スペシャルなバリエーションが用意されているのです。
それが、7月1日(金)にリニューアルオープンした「ロンジン ブティック銀座」のブティック限定モデル。汎用性が高いブラック文字盤を搭載しつつ、通常のSSブレスレットのほかブラックのラバーストラップまで付属する特別キットとなっています。夏本番を前にしてモダンなダイバーズ顔ウォッチをお得にゲットできるチャンスですが、数量はわずか5セットのみという狭き門。くれぐれもお見逃しなきよう。
アップデートを続ける老舗の感性。『ロンジン』が仕掛ける”進化系ダイバーズ”を見よ
大幅なアレンジではなく、必要最小限なアップデートで時代の先端を的確につかみ取る『ロンジン』の“進化系ダイバーズ”。そこに老舗ならではの信頼性が加わることで、刹那的ではない将来的な輝きをも約束してくれます。ひと夏の思い出にロマンを抱きながら、永遠の夏を待ちわびる。そんなユースマインドを抱く大人にこそ、『ロンジン』が放つ腕時計がふさわしいのです。
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※掲載の金額はすべて税込価格です
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Photo_Shoichi Muramoto
Styling_Yonosuke Kikuchi
Hair&Make_Ryohei Katsuma
Model_KENJI
Text_Naoki Masuyama