
1枚のシャツに見るモノ作りの哲学。イギリス生まれの新鋭、ワックスロンドンとは
環境と人にやさしいことが服選びの理由となりうる現代ファッション。その真打ちが英国から本格上陸します。1枚のシャツからも滲み出る、“選ぶ理由”を読み解きましょう。
その名も『ワックスロンドン』。物語のある英国ブランドが日本に本格上陸
身に纏う服にも、理由が求められる時代。快適さを担保する機能性やコスパの高さはその好例ですが、環境や人にやさしい服=サステナブルな服であるという点も大きな価値を持つようになっています。言うまでもなく、サステナブル(持続可能)という考え方においては、素材選びや製造過程における環境負荷を低減することに加え、安心・安全な製品であることを裏付けるトレーサビリティも重要な要素。誰が、どこで、どのようにして作り、使用後はどう廃棄されるのか。それらが透明化された衣料品を選ぶことが持続可能性のある未来へとつながっていくのです。
こうした風潮と真摯に向き合うブランドとして脚光を浴びているのが、この秋、英国から日本に本格上陸を果たす『ワックスロンドン』。同社の持ち味を一言で表現するならば、“地球と人にやさしい服であることに強いこだわりを持つ、伝統的かつモダンなメンズウェア”でしょうか。これからの服選びにおいて台風の目となるであろう英国ブランド。その魅力を読み解いていきましょう。
『ワックスロンドン』の強みは、徹底したトレーサブルなモノ作りにある
『ワックスロンドン』が英国・ロンドンで創業したのは2015年のこと。国連サミットにおいて、先進国を含む国際社会全体の目標として“持続可能な開発目標(SDGs)”が採択された年です。そんなSDGs元年に始動したブランドらしく、同社の製品はサステナビリティを実現するために掲げた3つの大きなコンセプトに基づいて作られています。
1つ目は“materials selection(原材料の選択)”で、衣料品の原材料はすべて第三者機関による規格認証に準拠したものを調達。2つ目は“traceability & transparency(追跡可能性と透明性)”で、素材の調達から製造までのサプライチェーンをすべて追跡し、可視化できるようになっています。 そして最後は“longevity(製品の寿命)”。耐久性を担保することで長く着られる服作りを行い、使用後は衣料品を再利用してもらうことで資源循環型の経済活動を促進することを目指しています。
そんな同社の製品は、この秋の全国販売に先がけてグリニッジショールームのEC『ショーテル オンラインストア』での販売がスタート。予約販売も好評を博しています。
シグニチャーアイテム「ホワイティング オーバーシャツ」に見る、ブランドの真価
「ホワイティング オーバーシャツ」23,100円(税込)
『ワックスロンドン』のシグニチャーアイテムと呼べるのが、こちらの「ホワイティング オーバーシャツ」です。シャツのようでありながら、ジャケット感覚でも着られる生地感やサイジングが絶妙。真夏を除く3シーズンを通して着用することが可能な、いわゆる“シャツジャケ”、あるいは“シャケット”的な使い勝手を誇る一枚に仕上がっています。ちなみに、アイテム名にも掲げられている“ホワイティング”とは、ブランドの共同創始者の祖父にちなんで名づけられたものだとか。そう聞くと、どこか古き良きカントリー感漂う温かみのある仕上がりとなっているような気がします。
ポイント1
長い付き合いを予感させる、適度にリラックスしたサイズ感
「ホワイティング オーバーシャツ」のサイズ感は、昨今のトレンドであるオーバーサイズを踏襲しています。しかし、決してだらしなくは見えない、程良いワイドさに抑えられているのは大人好みです。サイズ表で見てみると、Lサイズで身幅が59.5cmで着丈が77mという、適度なルーズさ。秋にシャツアウターとして羽織ればこなれた印象で着こなせて、冬本番を迎えたらコート下に仕込んでもバランス良く着こすことが可能です。ちなみに、この使い勝手が良くこなれ感のあるサイズ感は、同社の全アイテムに共通して採用されているもの。このシャツを気に入ったなら、他のどのアイテムを選んでもその恩恵を享受できるというわけです。
ポイント2
貴重な生地を惜しげもなく使用した、アイテムとしての希少性
「ホワイティング オーバーシャツ」を特徴づける要素となっているのが、バスケット織りを採用した生地です。バスケット織りとは、経糸・緯糸ともに2本以上の糸を揃え、籠を編むように網目状に織ったもの。ざっくり感がありつつも程良い厚みがあり、やさしい着心地を味わうことが可能です。また、網目のように経糸と緯糸が交差しているため、素材としてのタフさもしっかり担保。生地自体はフランスの家族経営による小さな工場で丹念に織られたものゆえ大量生産には不向きなのですが……サステナビリティに重きを置くブランドの価値観への共感を得たうえでの契約により、希少な生地を惜しげもなく使用できるのです。
ポイント3
ワードローブの主役たりえる、公正な値付けと高い耐久性
『ワックスロンドン』が大切にしているのが、公正な価格設定であること。それゆえにこの「ホワイティング オーバーシャツ」も、このクオリティの高さと年間を通して着られる着用頻度の高さを考えると、2万円台前半というのは破格ともいえる設定となっています。もちろん“longevity(製品の寿命)”というコンセプトに基づく耐久性もしっかり担保されているので、長きにわたり良き相棒でい続けてくれる点もうれしいポイントです。
▼シックにもカントリーにも。「ホワイティング オーバーシャツ」はとにかくバリエ豊富
ご覧の通り、色柄の選択肢が多彩な「ホワイティング オーバーシャツ」。ここに挙げたのは、全10色のラインアップの一部です。いずれもリサイクルコットンを使用しつつ、ボタンには環境にやさしい選択としてコロゾナットボタンを採用しています。これは水牛ボタンに次ぐ高級ボタンで、一点一点異なる渦巻き状の木目が魅力。南米に自生するタグワヤシの木から自然に落ちた実を研磨加工して作られており、使用後は土に還ります。シャツの命ともいえる生地の希少性については、上でも触れた通り。このように細部にも気を抜かないブランドは、貴重です。
▼コーデュロイ素材のシャツは、共地のセットアップでも楽しみたい
「ホワイティング オーバーシャツ」には定番のバスケット織り生地に加え、秋冬シーズンにうれしいコーデュロイ仕立ての一着もラインアップされています。シルエットやポケット、ボタンといった細部の仕様は同じで、使い勝手のいいサイジングは変わらず享受できる一方、ほっこりと温かみのある佇まいでまた違った印象を楽しめます。
コーデュロイ自体は、秋冬らしく温かみのある太畝。定番のバスケット織りバージョンと同様に、シャツとしてもアウター感覚でも着やすい中厚生地に仕上がっています。佇まいこそクラシックで落ち着きもありますが、起毛感のある生地自体は型崩れしにくいハリを保ちつつも肌当たりは非常にやわらか。強いストレッチ性も備わっているため、腕の上げ下げなどの動きが阻害されません。
セットアップ使いしても、単体ではいても絵になる共地のコーデュロイパンツも用意。ウエストにドローコードを備えたイージー仕様となっています。全体にゆとりを持たせつつ膝下を少しだけすっきりテーパードさせた使い勝手のいいシルエットで、9分~8分丈ではくことを想定した丈感は買った瞬間から即戦力。裾上げ不要で、すぐに今っぽい空気を獲得できます。
インナーだってハイクオリティ。シャツに感動したらトップスも要チェック
シャツに限らず、カットソー系のトップスも秀逸な出来栄えです。肩を少しドロップして着られるボックスシルエットは、シャツと同様のリラックス感ある着こなしを楽しむことが可能。生地自体はオーガニックコットンを使用したもので、洗いをかけてやわらかな生地感を際立たせています。襟ぐりと袖口は肉厚なリブ仕様で、平織りゆえに肌当たりもやさしくノンストレスで着られることでしょう。このように細部にわたってこだわりがぎっしり詰まったインナー類を、「ホワイティング オーバーシャツ」のインナーに指名する価値は大いにありそうです。
カットソー系トップスは、モックネックの「マジー TEE」と、クルーネックの「ハイデンLS」の2型をラインアップ。双方ともに左身頃のサイドシームにさりげないサイズ感のピスネームが施されているため、単体で着てもしっかり絵になってくれます。生地にはしっかり厚みがあり、肌が透ける心配なく着られる点も高ポイント。素肌にやさしい着心地を、安心して楽しめます。
秋についつい頼りたくなるアイテムが、英国生まれの『ワックスロンドン』にある
服を着る、ということがこれまで以上に意味を持ち始めている昨今。『ワックスロンドン』が掲げる持続可能性は、まさにそんな風潮にマッチしたものといえるでしょう。そこに「ホワイティング オーバーシャツ」に象徴される着回し力の高さ、そしてバスケット織りやコーデュロイがもたらす快適この上ない着心地といったプラスαの“理由”がついてくるのが、同ブランドの強み。コストパフォーマンスも高く、ここまで魅力的な要素が満載となればむしろ選ばない“理由”を探すほうが難しいかもしれません。この秋のワードローブ選びは、サステナブルな服選びにおける真打ちといえる『ワックスロンドン』から始めてみてはいかがでしょうか。
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Text_Takumi Endo