
フルメタルのGショック頂上対決。王者・スクエアvs新鋭・オクタゴン、どっちが買い!?
『Gショック』が誇る往年の名作「DW-5000」と、今若い世代を中心に絶大な人気の「GA-2100」。フルメタル化を遂げた新旧2モデルについて、それぞれの魅力を徹底検証しよう。
フルメタルの『Gショック』で人気を二分。「GM-B2100D」と「GMW-B5000D」を徹底比較!
元来『Gショック』は、屈強さを担保する樹脂素材で覆われたケースが一般的だった。しかし2018年、まさかのモデルが登場する。ブランドの初号機として知られる「DW-5000」のフルメタル版「GMW-B5000D」だ。ブランド35周年記念のオリジンの進化版として製作され、これが予想外の大反響を呼び、しばらく品薄状態が続くという異常事態となった。あの衝撃から4年。フルメタル化の系譜に2022年、また新たな名が刻まれた。それが、『Gショック』の新定番で知られる「GA-2100」シリーズのフルメタル版「GM-B2100D」ある。
モデル1
今なお売れ続ける名作。初代「DW-5000」をフルメタル化した「GMW-B5000D」
1990年代、『Gショック』のムーブメントを力強くけん引したのは「DW-5000」と言っても過言ではないだろう。特徴的なスクエアデザインや多彩な機能は多くのキッズを虜にし、1983年の初登場以降、40年近く経った今も存在感は絶大。それを改めて実感したのは4年前だ。フルメタル化は馴染みのある大人たちの度肝を抜き、コレクター魂を刺激。ファインレジン製緩衝材を実装したことで『Gショック』の最大のウリである強度を保った点も賞賛されるべきだろう。その勢いに、いまだ陰りは見られない。
モデル2
ラグジュアリーかつスタイリッシュな面持ちで人気を拡大する新鋭「GM-B2100D」
ここ最近の浸透度は目を見張るものがある。そう、『Gショック』のニューベーシックにして新たな“アナデジ”として評価を高める「GA-2100」シリーズだ。先述した「DW-5000」の現代的解釈としてデザインされた正八角形(オクタゴン)フォルムは、『Gショック』の新時代の幕開けを告げたといってもいい。それが2022年の秋にフルメタル化を果たし、洗練さにより磨きをかけて登場した。
ステンレスを採用してはいるものの、独自の耐衝撃構造によって『Gショック』のアイデンティティともいえる丈夫さはキープ。タフソーラーに加え、Bluetooth(R)通信機能による専用アプリとの連動も特筆すべき点だろう。無駄を省いたシンプル仕様、高機能モジュールの実装により実現したブランド最薄のケースもスタイリッシュなメタルの印象を後押しする。
ベテランとホープ。2人のプロは各々の視点でフルメタルの『Gショック』をどう見る?
左)中室太輔さん/人気ブランドのPRなどを手掛ける「ムロフィス」の御意見番。若い頃から業界の最先端を目の当たりにし、その経験を各種媒体で軽妙な語り口調で発信。右)相原涼介さん/「ムロフィス」期待の若手PR。元ショップスタッフだけに洋服の知識が豊富で入社してまだ1年にも満たないがベテランオーラを漂わせる。
ファッション銘柄を中心に、数多くの注目ブランドに関するPR業務を手掛ける「ムロフィス」。その代表を務める中室太輔さんは、かつての『Gショック』のブームを間近で見てきた40代である。片や相原さんは、最近発売されたモデルに注目する若手。それぞれの立場で、『Gショック』のフルメタルモデルにおける“不滅の大定番”と“台頭するニューベーシック”について語っていただいた。
アナログの風格とメタルの洗練が若い世代にまぶしく映る、新鋭「GM-B2100D」
相原さん(以下、相原)「僕が中学生のころにiPhoneが浸透し、腕時計をつけるとしたら受験のときぐらい。会場でデジタル時計はNGだったので大半がアナログ式でした。それもあって、やはりアナログに対して親近感が湧きますね。今でもメインにしているのはアンティークのアナログです」
中室さん(以下、中室)「そこからもう世代間の差を感じるよね。俺のときは中3でポケベル、高校でガラケーだったからな~。携帯で時間を確認する習慣がまだなくて、かっこいいお兄さんやお姉さんたちがしていたのもあってもう腕時計は必須だったな。若者ならではの背伸び感もあったよね」
相原「背伸び感という点では、やはり僕らの世代でいうとアナログですね。学校の先生のような大人がしているイメージが強くて。なので、デジタルにはどこか子供っぽさを感じてしまうんです」
相原「子供の頃は「名探偵コナン」や「デスノート」が好きだったので、“時計から麻酔針を打てたら”とか“時計の中にメモをしまえたら”みたいなギミックに対する楽しさを求めたこともありました。それもアナログに憧れる要因の1つかもしれません。ただ、腕時計を大人の階段と考えるとやはり風格や洗練が香るアナログ。だから、カジュアルウォッチのイメージが強い『Gショック』ですけど、メタルのこのモデル(GM-B2100D)には惹きつけられますね」
中室「なるほど、コナンね(笑)。やっぱりブームのころを体感していない世代は『Gショック』をよりフラットに見られるのかもしれないね」
相原「それから、デジタルがもはや僕らの世代では一般的だったので、その反動としてアナログに興味が向かった、というのもあるのかもしれません。とはいえ「DW-5000」も知らないわけではありませんよ。“スピードモデル”も知っていますし、セレクトショップやブランドがこぞってこのモデルとコラボしていましたよね」
絶対的王者「GMW-B5000D」。腕時計の枠を超えた“何か”が、ここには詰まっている
中室「そこがやっぱり凄いわけよ。「DW-5000」は誕生から何十年と経ってもなおシーンで存在感を出しているんだから。ブームのときなんて本当に凄かった。当時としては画期的な機能がのっかっているけど、さらにそれ以上のストーリーがのっかっているんだよね。おそらく、そこが単なるデジタル時計ではない魅力の厚みなんだと思う。そういえば、初デートのときにしていたのも『Gショック』だったな~」
相原「そうなんですね(笑)。腕時計だけどプレ値がついていたと聞いたことがあります。スニーカーならわかりますけど、にわかに信じがたいですね」
中室「本当に手に入らなかったからね。メディアの力もあったとは思うけど、とにかく『Gショック』さえ持っておけばそいつはおしゃれ、っていうね。あそこまでのムーブメントを作ったということは、このスクエアなルックスにそれらを裏付けるデザイン的側面があったんだと思う」
中室「それに輪をかけて、メタル化でしょ。我々の世代からしてみたら、そりゃビッグニュースだったよね。アナログが良いとか、アンティークが良いとか、いろいろあるかもしれないけど、持っていてやっぱこの「GMW-B5000D」は間違いない時計だと思う。それにアナログ時計を一般的に着けてきた大人からすると、“あえて”感も出てくるよね。やっぱりこういう時計って年齢が行けば行くほど着けやすくなると思うんだな~」
相原「確かに、大人の方が着けると良い抜け感になりそうですね」
中室「デジタルってやっぱかっこいいよね。『Gショック』だからかな~。1990年代の車に搭載されていたスピードメーターみたいな、そんなかっこよさがある」
甲乙つけがたい、歴史の生き証人「GMW-B5000D」と、新時代の旗手「GM-B2100D」
相原「そんな話を聞くと途端に興味が湧いてきますね。最近だと、5000系に興味を持つ若い人も出てきているようですし、もしかしたらこのメタル版から遡っているのかもしれませんね。ただ中室さん、「GM-B2100D」だと、例えばBluetooth(R)でスマホとつなぎ、専用アプリと連動させることで便利な機能が使えるんですよ」
中室「え、何それ、やばいじゃん!」
相原「スマートフォンの位置情報から国内外のどんな場所にいても正確な時間を表示できて、複数の場所を設定しておけば簡単にその場所の時間を把握できるんです」
中室「すげえ! iPhoneの浸透によって“スマホvs腕時計”の図式がクローズアップされてきたけど、共存共栄の道を既に見つけてるんだな~。おみそれしました」
中室「まあ昔から『Gショック』は5000系だけじゃなかったからね。確かに『コンバース』の「オールスター」や『チャンピオン』の「リバースウィーブ」みたいに形を変えず語り継がれるオリジンは偉大だと思う。ただ、とはいいつつ他にも“元祖”デジアナなどいろんなモデルを発表して『Gショック』はその都度シーンを賑わせてきたんだよね。「DW-5000」しかなくていきなり「GA-2100」シリーズにガラッと変わったら、どうした? ってなるけど、個人的にはまた新たな一面を『Gショック』は見せてきたなっていう印象。違和感は特にないよね」
相原「僕はそこまで「DW-5000」を見てきてはいないですけど、中室さんの話を聞いて改めてデジタル時計と向き合ってみたいと思いました。単純に見た目だけの話ではないっていう。その背景に潜むものを知るだけで、がぜん見え方が変わってきますね」
「若い人がここ最近「DW-5000」を手に取り出した、というのもわかる気がします」と相原さん。片や「あえてこんな1本を持っておくのもいいし、何よりスマートフォンと連動できるのは便利そう」と中室さんも『Gショック』のメタル版ニューベーシックに興味津々。メタル化がもたらしたのは、アイテムとしての新鮮さだけでなく、世代間ギャップの払拭。両モデル共に、幅広い年齢層に響くポテンシャルを秘めていることがここに立証された。
世代の異なる2人は『Gショック』のフルメタルをどう着こなす?
それぞれの側に立って、各々のモデルの魅力を大いに語り合った両者。最後は、そのモデルを普段の着こなしへどう合わせたいかお聞きし、おすすめのコーディネートを披露していただいた。プロならではの視点と意見は、今後の『Gショック』コーデの参考になること請け合いである。
「GM-B2100D」を着用
相原さんは、直球的アメカジアイテムを取り入れつつモダンさも意識
「『Gショック』は、やっぱりアメカジのイメージが昔からありました」と相原さん。そこでチョイスしたのが、Gジャンである。軸としたテイストに足並みを揃えるべく、ボトムスにはシックな色のコーデュロイパンツを採用。モダンなテイストもしっかり押さえ、単なる懐古主義で終わらせないよう仕上げている点はさすが。
そして、今回のメタル時計を違和感なく取り入れるべくある仕掛けも。「アメカジにメタル時計だと、やっぱりギャップが生まれますよね。それを少しでも埋めるべく、足元には革靴を取り入れました」。それにより、色褪せたヴィンテージのアウターもどこか大人っぽい印象に。
「GMW-B5000D」を着用
中室さんは、締めるところと抜くところをわきまえた大人カジュアルを提案
「「GMW-B5000D」だったらかつてしていた格好を、サイズ感を変えるなどして今の気分で合わせたいですね」。そのお言葉通り、アメカジで慣らした昔を想起させる色褪せたジーンズを採用。とはいえ、昔ほどのゆとりは感じさせないジャストフィットである。そこへサラッとシャツや革靴を合わせた姿にベテランならではの風格が漂う。
「当時はスケーターのような格好もしていた」と話す中室さん。その腕元は当然『Gショック』。ただ、フルメタルが醸し出す洗練が、年を重ねた今の自分にはちょうど良いという。「きれいめなシャツに端正な革靴を合わせながらも、腕元は『Gショック』。その意外性を楽しむのも大いにアリですよね」
どちらもやっぱりいい。『Gショック』のフルメタルは世代を超えて愛される傑作だ
「DW-5000」のフルメタル化は、樹脂素材の歴史が長かっただけにもたらされたインパクトは絶大。一方、“今の『Gショック』といえば”を若手世代へと浸透させた「GA-2100」シリーズの功績は大きく、そのフルメタル化は登場してまだ間もないにもかかわらず小さくないインパクトを残している。歴史の重みを知ることで俄然「GMW-B5000D」に興味を持ち出した相原さん。そして今の時代に即した最新機能に驚きを隠せない中室さん。今回の注目作の対決は、まさにどちらも引けをとらない互角の勝負といったところか。
Photo_Katsunori Suzuki
Text_Ryo Kikuchi