
精悍なブラックvs洗練のシルバー。アテッサが誇るオン・オフ兼用時計はどっちが買い?
ビジネス時計の定番として確固たる地位を築いた『シチズン』の「アテッサ」。その名門の看板を担う二大モデルの実力は、目の肥えたファッションのプロをもうならせます。
ビジネス時計の大定番「アテッサ」において、人気の双璧をなす黒&シルバーの2モデル
ビジネスウォッチを語る際、「アテッサ」の名は欠かせません。1987年に誕生した「アテッサ」は、長きにわたって日本の時計製造技術をけん引してきた『シチズン』が展開するブランドです。デビュー以来着実に売り上げを伸ばし、ビジネスマンのための腕時計として確固たる地位を確立。2019年にはオン・オフ兼用を志向する「アテッサ アクトライン」シリーズがデビューし、ラインアップが拡大すると2021年には国内の中価格帯市場において、男性用チタニウム製腕時計ブランドの売り上げトップの座を獲得しました(※注)。
そんな「アテッサ」の名を世に知らしめたのは、そのボディに組み込まれた技術力の高さ。ステンレスの約5倍の強度と耐傷・耐腐食性を付与したスーパーチタニウムや定期的な電池交換を必要としない光発電エコ・ドライブ、時刻を自動修正する電波受信機能、磁気による時刻の狂いを防ぐパーフェックスなど数々の先進的なテクノロジーが搭載され、「アテッサ」はいつしか“最強のビジネスウォッチ”と呼ばれるようになったのです。
では、今大人が買うべき「アテッサ」といえば? ――その答えとなるのが、ブラックの「AT8185-62E」とシルバーの「AT8040-57E」の2本です。ブランドの本分というべきオン・オフ兼用できる汎用性といい、充実した機能性といい、その完成度は数あるラインアップの中でもトップレベル。登場以来、不動の人気を誇る二大モデルの実力を以下でじっくり検証していきましょう。
モデル1
“ブラックアテッサ”の注目株は、マットな黒が男心を刺激する「AT8185-62E」
急速に多様化するビジネススタイルに対応するべく、スーツとカジュアルの両方に似合うデザインを目指す「アテッサ アクトライン」。今や「アテッサ」の主力となったこのシリーズの中で、特に人気が高いのが「AT8185-62E」です。
最大の特徴は、ダイヤルからベゼル、ケース、バンドにいたるまでブラックに統一されたカラーリング。精悍という言葉がしっくりくる面構えに、プッシュボタンや随所にあしらわれたオレンジがアクティブなイメージを付与。また、マットなブラックが基調となる中、ミラー仕上げによる光沢のあるベゼルが全体にモダンなアクセントを利かせています。スペック面でもデュラテクトDLCで処理されたスーパーチタニウムのケースをはじめ、光発電エコ・ドライブや世界4エリアの電波受信機能など、ビジネスウォッチとしての隙は見当たりません。
モデル2
累計出荷本数15万本を突破した金字塔。“シルバーアテッサ”の代表格「AT8040-57E」
1918年に創業した『シチズン』が生み出した数ある腕時計の中で、屈指の名作といわれるモデルが「AT8040-57E」です。特筆すべきは配色の妙。シルバーでまとめられたケース&バンドを、文字盤のブラックグレーがキリッと引き締めています。合わせる服を選ばないモノトーン基調のカラーリングやスーツの腕元にもしっくり馴染む厚さ9.7mmの薄型ケースと、実用性の高さも根強い人気の理由です。
凝った作りのディテールにも注目で、6時位置のサブダイヤルは左右非対称の扇形パーツになっていて、デザインに個性的なアクセントを利かせます。極めつきは機能性。キズに強いデュラテクトチタンカーバイトで処理されたケースやスーパーチタニウム、光発電エコ・ドライブなど、「アテッサ」の基本スペックはばっちり押さえられています。
ファッションのプロは“ブラック”と“シルバー”、どっちの「アテッサ」を選ぶ?
文字通り『シチズン』の技術力が結集された「アテッサ」の二大モデルは、大人の着こなしにおいてどのような恩恵をもたらすのでしょう? それを教えてくれるのは、さまざまなメンズ誌や広告などで活躍する2人の実力派スタイリスト。トレンドを熟知したファッションのプロが、“ブラックアテッサ”と“シルバーアテッサ”の秘めたる実力を明らかにします。
左:長谷川 渉/ファッション誌、アーティストの衣装をメインに広告ディレクションなどでも活躍。カジュアル・ドレス両方を駆使したスタイリングが得意。 右:宮崎 司/ファッション誌を中心にブランドのカタログや著名人のスタイリングを手がける。繊細な仕事ぶりで、特にドレス系ブランドからの絶大な信頼を得ている。
宮崎さん(以下、宮崎)「ここ最近、ファッションの傾向がシンプル&ベーシックになっているから、その分、存在感のある腕時計のニーズが高まっている気がするんです」
長谷川さん(以下、長谷川)「同感です。ベーシックな服が中心だと、どうしてもコーデが薄味になりがち。そんなときに腕時計の存在がモノをいいますよね」
宮崎「着用するアイテムの数が少なくなる夏場は特にそう。カジュアルはもちろん、スーツを着るときも腕時計の活用は効果的ですよね。ビジネススタイルだと装飾品は限られますし……」
長谷川「そう考えると、「アテッサ」のように存在感があって、なおかつオン・オフ兼用できる腕時計が売れているのは必然だと思います」
宮崎「今回私たちが見ていく2本の腕時計は、そんな「アテッサ」の人気を二分するモデルですね!」
マットな質感が醸す色気と着こなしの引き締め効果。ブラックの「AT8185-62E」が断然使えます(長谷川)
長谷川「私が気になったのは、「AT8185-62E」です。ブラックで統一されたカラーリングは存在感たっぷりで、オレンジの挿し色がスポーティな雰囲気で良いですよね」
宮崎「理屈抜きに男心をくすぐる配色だと私も思いました。しかも、トレンドのラグスポのテイストを色濃く感じさせるデザインですし」
長谷川「スタイリッシュなんだけど、航空機の計器を思わせる武骨な雰囲気もありますよね」
宮崎「最初に長谷川さんが言ったように、オレンジの挿し色の加減がかなり絶妙ですね」
長谷川「そうなんです。ベゼルの下部を取り巻くオレンジのラインは、正面からだと見えなくて、ちょっとケースを傾けると見えるんです。全体的にオレンジが強く利きすぎていないから、あくまで落ち着いた印象にまとまっているんだと思います」
宮崎「長谷川さんなら、どんなスタイリングが思い浮かびますか?」
長谷川「パッと思いついたのは、ダークトーンのきれいめコーデに合わせてこのモデルの色気を強調するスタイリングですね。マットブラックのツヤっぽさを生かしたいなと」
宮崎「確かに、ダークスーツにも良さそう。このモデル、マットブラックを基調にしつつも、ベゼルだけがミラー仕上げになっていて、この部分の光沢感がさりげないアクセントになっているんですね!」
長谷川「そう、オールブラックだけど単調に見えないんです。あと、白やベージュの服でまとめた明るいトーンのコーデの腕元を引き締めるのにも良さそうだなと」
宮崎「なるほど、コーデにメリハリが生まれますね。ここ数シーズン、淡いトーン・オン・トーンのスタイリングも流行っていますし」
長谷川「ホント、オールブラックの腕時計って意外なほど使えるんですよね」
華やかさと男らしさがバランス良く調和。シルバーの「AT8040-57E」は万能のオン・オフ兼用時計です(宮崎)
宮崎「私の推しはシルバーの「AT8040-57E」かな。もともとベーシックな腕時計が好きなもので、この端正な顔つきに惹かれました」
長谷川「これぞ「アテッサ」! というべき正統的なデザインですね。シルバーのケースとバンドに華やかさを感じます」
宮崎「ただ、ブラックの文字盤が全体の印象を引き締めているから、ドレス感が強すぎないんですよね。そのうえクロノグラフだから、カジュアルスタイルにもマッチする。しかも、この文字盤、パッと見はブラックなんですが、近くでよく見るとグレーっぽく見えるんですよ」
長谷川「どれどれ……あ、文字盤はブラックグレーなんだ。それだからか、シルバーのケースとのコントラストが強すぎなくてちょうど良い」
宮崎「薄型のケースも気に入っています。スーツを着たとき、シャツの袖に時計が引っ掛かるのがあんまり好きじゃなくて……」
長谷川「確かに薄い! しっかり機能が搭載されているのに、ケースの厚みが1cmを切るとは……『シチズン』の技術力の高さを感じさせますね」
長谷川「クセのないベーシックなデザインの「AT8040-57E」ですが、宮崎さんならこの腕時計、どんな風にスタイリングします?」
宮崎「スーツとの相性の良さは言うまでもないでしょう。セットアップはもちろん、かっちりとしたストライプスーツにもよく似合いそう」
長谷川「これぞビジネスウォッチの王道というデザインですもんね。カジュアルはどうですか?」
宮崎「そうですね。カジュアルの場合は、ケースとバンドのシルバーを“無彩色”と捉えると、コーデがしやすくなるんじゃないかと。白いTシャツや白いソールのシューズなんかで腕時計のシルバーと響き合わせる、というテクニックが良さそうです」
長谷川「なるほど。シルバーを無彩色と捉えて、爽やかさを演出するわけですか。夏のスタイリングにも映えそうですね」
長谷川「結局、どちらのモデルも幅広いコーディネートができる腕時計なんですよね。それでいて、存在感があるからスタイリングのアクセントにもなりますし」
宮崎「そうそう、さすが「アテッサ」というべきか、守備範囲が広い仕上がりですね。1本で、平日のスーツスタイルから休日のラフなカジュアルまで丸ごとカバーできます」
長谷川「文字通りのオン・オフ兼用時計。こうやって眺めていると、スタイリングのイメージがどんどん膨らんできました。では次は、私たちが考えたオンとオフの着こなしをご紹介していきましょうか!」
それぞれの「アテッサ」の実力を物語る、オン・オフ2WAYの“オレ流スタイリング”
ファッションのプロの感性を刺激した“ブラックアテッサ”と“シルバーアテッサ”。そこでお二人に、お気に入りのモデルを使ったオン・オフのスタイリングを披露してもらいました。長谷川さんはブラックの「AT8185-62E」、宮崎さんはシルバーの「AT8040-57E」をセレクト。それぞれのコーデを見れば、この2本が売れているワケがきっとわかるはず!
▼長谷川さんが提案する“ブラックアテッサ”の活用コーデ
オンの着こなし
ブラック時計の色気を生かすなら、黒スーツのドレスダウンスタイルで
「オールブラックの腕時計が持つ色気を生かすなら、やはりブラックスーツが一番かと。そこで選んだのが、最近私がよく着ているこちらのスーツ。ジャケットはダブルブレストとドレス度は高めですが、ニットポロなどで着崩せば普段使いも全然OKです。腕時計がシルバーケースだとドレス度が上がってしまいがちですが、「AT8185-62E」はマットブラックがベースなので、腕元を落ち着いた雰囲気にまとめられます。ベルトとシューズも色を揃えて、黒が持つ色気を強調しました」
オフの着こなし
白を基調にした同系色レイヤードを、ブラック時計で引き締める
「トップスはオーバーサイズの白シャツとTシャツのレイヤード。そこにゆったりとしたカーキのショーツを合わせてストリート調のスタイリングにまとめました。こんな着こなしに利くのが「アテッサ」。ともするとぼんやりしがちな白の同系色レイヤードに、オールブラックの腕時計がメリハリをつけてくれるんです。さらにスニーカーもブラックを選べば、腕時計が浮いてしまうことはありません。ショーツはブラックと相性の良いカーキ色を選んでみました」
▼“シルバーアテッサ”のポテンシャルを引き出す宮崎さん流オン・オフコーデ
オンの着こなし
シルバーケースとブラックグレーの文字盤がグレースーツの装いに溶け込む
「最近、ナポリのサルトリアが仕立てたこのグレースーツをよく着るのですが、「AT8040-57E」を見た瞬間、これは使えるなと閃きました。実際にコーディネートしてみると、やや明るいグレースーツと腕時計のシルバーケース&バンド、そしてブラックグレーの文字盤が上品なグラデーションを生み出してくれるんです。この色の味わいを生かすべく、シャツもグレーがかった色味のものを選びました。ソリッドなデザインと薄型ケースも、スーツスタイルにしっくりくる理由ですね」
オフの着こなし
シックなモノトーンスタイルにシルバーの時計で軽快感を添える
「スーツに抜群に似合う「AT8040-57E」ですが、実はカジュアルでもバリバリ使えるモデルです。例えば、黒のリネンジャケットに黒のハイゲージニット、淡いグレーのワイドパンツを合わせた今どきのモノトーンカジュアル。ポイントはケース&バンドのシルバーを“無彩色”と捉えて、抜け感を演出するアクセとして使った点です。さらに足元には白いソールを持つ黒のスニーカーをセレクト。白ソールが腕時計と響き合って、モノトーンの装いが一層軽やかに見えますよね」
スペックや汎用性はどちらのモデルも間違いなし! 自分の好みに合わせて選ぼう
スタイリストが腕によりをかけたコーデサンプルによって、その実力が証明された「AT8185-62E」と「AT8040-57E」。改めて2本のスペックやデザインを比べてみると、正直、どちらを買うべきかをはっきり決めるのは難しいと言わざるを得ません。どちらを買っても間違いがない、ということは確かなので、そうなればあとは自分の好みや普段のスタイリングに合わせて選ぶのが正解です。
“ブラックアテッサ”と“シルバーアテッサ”の2択は、使えるオン・オフ兼用時計を探している大人の男性にとって、まさに究極の選択となるでしょう。
※注_5万円~30万円の男性用チタニウム製腕時計ブランドにおいて(スマートウオッチは除く)。2021年における日本国内小売店での販売数量ベース。2022年5月~6月 ユーロモニター・インターナショナル調べ。
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※掲載の金額はすべて税込価格です
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Photo_Shoichi Muramoto
Text_Ryota Osujo